消濼

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 消濼は手少陽三焦経の経穴で、学校の授業以外ではあまりみかけないものだと思いますが、治療効果が高い場所になります。

 消濼は上腕後面に存在していて、肘頭の上方5寸の位置にあります。腋窩横紋から肘関節までは9寸になるので、半分よりやや上方の位置に存在をしています。治療としては、邪気が停滞して治りにくいものに効果があると考えられていて、熱に対して効果的なところになります。

 

 消という感じは消渇(現代の糖尿病)で使われているので、消渇の病にも効果があります。卒業して消濼を覚えているという人はかなり少ないのではないかと思いますね。

 

 私は名前が変わっているし、解剖学的にも効果がありそうなのでよく使うところになります。解剖学的には、深層に上腕骨の橈骨神経溝があるので、刺入を深くすれば、橈骨神経にも作用をします。

 

 橈骨神経は手の橈骨側に走行している神経で麻痺も起こりやすい神経の一つですね。上腕三頭筋だけではなく、母指側の筋肉にも関係をしているので、母指の動きが悪いときや腱鞘炎のときにも使っていくことができます。

 

 筋肉としては上腕三頭筋だけになるのですが、上腕三頭筋が緩むと、肩関節の動きが改善されることが多いので、肩こりも緩むことが多いです。上腕三頭筋の長頭腱は、肩甲骨の関節下結節に付着をしているので、肩甲骨の動きにも関わっています。

 

 鍼を深く刺入してしまうと、橈骨神経にそのまま触れてしまうので、響きが強くでやすいのですが、腕の太さにもよりますが、1㎝程度の刺入であればそれほど響かないです。他の経穴に比べると響きが感じにくいところなので、刺入もしやすいところだと思います。

 

 お灸を加えていくと、橈骨神経に関係をするからか、肩から前腕部がすっきりする感じも出やすいので、腕のだるさにお灸を加えるのもお勧めですね。

 

 もちろん、火傷をしてしまえば、半袖だと出てしまうところになるので、火傷には注意をした方がいいと思います。

 

 手技で触れていく場合は、真っすぐに押すよりも消濼を触れて、外か内に少しはじくようにして触ると、上腕三頭筋の緩みが生じやすいので、鍼灸と同じような効果が得られることが多いです。

 

 上腕部は押すと筋肉が逃げてしまいやすいところなので、正確に垂直で押せるスキルが必要なので、日々、触りながら確認することが必要になります。滑らないように触れる技術を見に付けるのには、自分の症例をはじくようにしていくと見に付きやすいです。

 

 消濼に刺激を加えると、上腕三頭筋だけではなく、上腕二頭筋も緩みやすくなるので、上腕二頭筋長頭腱の治療でも使うことが出来ます。

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