排尿のメカニズム―東洋医学で考える排尿、病気、治療

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 排尿は病証としては腎と膀胱を考えることになりますが、排尿のメカニズムは膀胱の気化と言われますが、腎の気化とも言われます。

 水を飲むとすると、身体の中で吸収され、身体の循環や栄養されるものに変わるので気化によって津液になります。気化については以前も書いたように、物や名前が変わることが気化になるので、水分を摂取して身体の水分が補給されたら気化による働きになります。体内の水分は身体の外に出ると、汗や尿と名前がかわるので、これも気化と言われます。

 

 尿を貯めて出すところは膀胱になるので、膀胱の気化によって排尿をすると考えるのが排尿のメカニズムになります。ただ、排尿の問題は膀胱だけだという話しになってしまうと、身体の連携によって成り立っているという東洋医学の考えが出来なくなってしまうので、他の機能も大きく関係をしていきます。

 

 膀胱は腎と表裏関係にあり、膀胱の働きは腎によって管理・調節をされています。そのために、膀胱が行う排尿は腎の主水という働きによって管理・調節をされています。膀胱では排尿は津液が尿に名前が変わるので気化という表現をしたので、膀胱の気化を調節する腎の働きも津液が尿に変わるのに関係をすることから腎の気化とも言われます。

 

 では、もう少し、働きについて掘り下げてみると、排尿は水が関係するので水は陰陽で言えば陰に該当します。陰は寒・暗・下・静というのを現す用語になり、水は静と言うことができます。静だとどうなるかというと、水は重さもあるので、何かの力がないと動かないと考えられます。

 

 水を動かすのには、動という力が必要ですが、動は陰陽で言えば陽になります。そうなると、排尿を行うためには、陽気が必要になるので、腎の陽気が働くことによって膀胱の水を動かすことになります。排尿は腎陽の機能が大切だという話しがあるのは、水が動くための機能についての話になります。

 

 腎陽が不足をしてしまうと、水を動かすことができなくなるので、排尿が上手くできなくなるので癃閉(りゅうへい)という病になります。癃閉は尿の出が悪くなり、止まったりしてしまうことを現す単語で、年を取ると排尿が上手く出なくなるのは腎陽の低下によります。

 

 排尿は、水に関係をしているものなので、水に関係をする脾・肺の働きが障害をされてしまったときにも発生をしてしまいます。脾の働きが問題になると水の生成に関与をするので、水の生成不足が生じてしまうと、体内の津液が不足をしてしまうので、結果として排尿できなくなってしまうので、脾の働きの低下によっても癃閉が生じてしまいます。

 

 肺は身体の水の循環に関係をしていますが、肺の働きが低下をして水が不足をしてしまう状態があります。肺は水を貯めて全身に送るところであり、燥の働きが生じると肺の機能が低下をしてしまいます。

 

乾燥は肺水の不足を生じてしまうために起こるものであり、口渇や多飲が生じてしまいます。身体の津液が少なくなることによって、尿が少なくなってしまい出なくなる癃閉も生じてしまいます。

 

 腎・肺・脾についての話しを書きましたが、それぞれの状態によって治療で使う臓が変わるので、どのような排尿異常が生じているのかと原因が何かを考えることが大切になります。

 

 水に関係するのは三焦も通路として関係をしているので、排尿に関する治療では三焦を使うことが可能なのですが、三焦の下合穴である委陽は排尿トラブルには大切な経穴になります。

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