鍼と針

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 鍼灸師と書く時には「鍼」という漢字を使いますが、資格は「はり師」ということでひらがななので、鍼と針はどちらを使ってもいいと言えます。

 このブログでもそうですが、鍼灸と言う場合には、「鍼」という漢字を使っているのは、鍼灸師という業界では「鍼」を使うのが一般的なので、そちらに合わせています。「針」は注射針や縫い針という表現の中で使われることが多いので「鍼」は歴史があり、意味もあるので使っている人が多いのではないかと思います。

 

 中国では「鍼」は使わずに「針」と書かれているので、中国鍼も中国針と書かれることがあります。使う側のこだわりというのがあるのはもちろんなので、「鍼」で構わないと思うのですが、「鍼」という漢字も読めないという人もいるかもしれないということを考えると、「針」でもいいですね。

 

 「はり」の本来の漢字は「鍼」であり、細く、刺す、縫うものという意味があり、漢字を書くのが大変なので「針」という漢字が使われ始めたと考えられ、小学校で習う常用漢字では「針」で習います。

 

 街中や書籍、ネットで「鍼」という漢字は見かけても、それが「針」だという認識をしないと意味が繋がらないので、分からないという人がいてもおかしくないですよね。

 

 漢字に限らず言語を書くようにできるというのは、人が書いたのを書き写して学習して身に付けていくものですが、人が書くということはミスや手抜きが生じるので、同じ意味でもいろいろな感じが存在をしています。

 

 例えば、渡辺の「辺」や斉藤の「斉」は煩雑で分からない感じの場合もあり、難しい漢字の人が沢山いると思ったら、それぞれが微妙に違うという現象になることがありませんか?

 

 「私の名前はこの漢字ではありません」という声は一度ぐらい聞いたことはないでしょうか?

 

 漢字は本来の意味を考えたら、しっかりと使った方がいいのはもちろんなのですが、使いにくくて歴史によって変えられてきたのであれば変えてもいいのではないかとも思います。

 

 あまりにも省略しすぎてしまうと余計に分かりにくくなるかもしれませんが、中国は簡体字としてまとめてしまっていますね。簡体字も見慣れれば分かりやすいし、文章の何となくの意味をつかむのには十分ですね。

 

 漢字そもそもの意味から理由を考えるという専門職でない限りは漢字にはそれほどこだわらないのでいいのではないかという気持ちもありますが、東洋医学は昔から漢字なので、昔の文章を見ようとするといろいろな漢字が出てくるので結局、少しは漢字の勉強をしている不思議な状態ですね。

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