原気(元気)と宗気の陰陽論

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 気の種類は身体の機能を陰陽で分けて詳細に機能と名前を分類したものですが、物事には陰陽両面があるので、気の種類にもそれぞれ陰陽が存在しています。

 前回は、衛気の陰陽について書いていきましたが、今回は元気の陰陽について書いてみたいと思います。元気は先天の精から出来てくるものであり、下腹部に存在をしていて、生命現象に大きく関係をしていきます。

 

 元気がないという表現はこの元気が不足したことになるので、生命力が低下した状態のことになります。陰は存在をあらわし、陽は働きをあらわしているので、元気の陰陽ということは、元気から生じる状態を元気の陰と考え、元気から生じる機能を元気の陽と考えることができます。

 

 元気は生命と関係をしているので、人が生きているという生命状態を作っているのは元気の働きと言えるのですが、生命は生きているその瞬間だけでは存在できずに、連続した中で生きているので、動の中のあると言えます。この動を生み出しているのが広く言えば、宗気と言えるのですが、元気には生命現象に関係をしていると言えるので、元気にも陽があります。

 

 人が生きているのは一瞬だとしたら、生きたり死んだりを繰り返してしまうことになるので、まるでスイッチがあるロボットのように、動いたり休んだりしてしまうことになりますよね。そんな状態だと考えることができなし、生活することは不可能なので、生きているという状態ではないですね。

 

 この生きている状態は連続した中にあるというのが東洋医学の基本概念として言われる、気が流れているということになるので、元気が存在しているだけではなく、元気が働き続けると言う陽の機能があることで、人が存在していることができます。

 

 人としての器の形成が元気に取って大切で、器は存在し続けていないと消えてしまうので、存在を継続するのが元気の陽としての機能になるので、元気にも陰陽両面の働きがあります。

 

 同じように宗気にも陰陽両面の機能が存在しているので、宗気の陰陽についても考えてみたいと思います。気の種類で説明したときにはそれぞれの機能と元気との関係性だけだったのですが、宗気単体の陰陽を考えるのは東洋医学の特徴を知る上でも大切です。

 

 宗気は身体機能と関係をするので動気と言われますが、宗気は身体の動きだけではなく、心血の運行や呼吸にも大きく関係をしています。身体の動きは動くということで考えた場合は、動は陽に該当するので、宗気の陽の機能と言えます。

 

 宗気の陰の機能として考えられるのは、一つには身体の中と関係をするということで、心血の運行・呼吸をあげることができます。陰の中でも動としての陽の機能が中心となっているので、やはり宗気は陽が強いものだと言えますが、心血は身体の中の脈の中という陰中の陰にあるもの関係をしているので、陰に対する働きもあります。

 

 呼吸は吐くと吸うという身体機能と関係をするので、動という陽の働きが中心になっていますが、吸うというのは身体の陰の中に強く関係をすることなので、宗気の陰は陰に対する機能と考えていくことができます。

 

 宗気・元気と二つを比較して考えていくときには、宗気は陽、元気は陰として考えていくことができるのですが、陽は動、陰は静になるので、陽だけであれば、その場所に停滞することができないので、発散してなくなってしまいます。逆に陰だけであれば、その場所に停滞だけをしてしまい、身体に対する機能が失われた状態になってしまうので、宗気・元気にはそれぞれ陰陽の機能が絶対的に必要になります。

 

 生命現象を考えていく場合には、いろいろな事柄が多すぎて考えていくのが難しいのですが、陰陽という二つで分けて考えれば、何となく分けていくことが出来るので、その分けた集大成が元気の種類と考えていくことができます。

 

 例えば、食べ物で好きなか嫌いかが分からなければ、いろいろな食べ物を食べていけば、自分の中で好きと嫌いが段々と確立していきますが、東洋医学の陰陽での分類というのはこの好き・嫌いという連続性を作ることによって、分類が出来るだけの知識の集大成となるので、元気・宗気は生命現象を陰陽で現した姿になります。

 

 それぞれを陰陽に分けてしまっておしまいかと言えば、陰陽は相互に影響をし合い、陰には陰陽が含まれ、陽には陰陽が含まれることから、元気・宗気を陰陽に分類し、さらに元気・宗気を陰陽で考えていけるということですね。

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