学校に通っているときは、解剖学は覚えることが多くて面倒な科目の一つでしたが、卒業してしばらくしたら、しっかりと学習しないといけない科目だと感じるようになりました。
内臓の構造に関しては、目にするものでもないし、病気の話しとしてもあまり必要性を感じることがないのですが、体表解剖に関しては臨床の現場にいると重要性を、強く感じているので、最近はアプリなどを使って治療をしながら確認をしています。
例えば、鍼を刺入しようとして、この部位で刺入をしたときに、硬いのを感じるのは何だろうかと感じることがあるかもしれませんが、太い神経や血管のこともあり、あまりに強い刺激をした場合、神経や血管を傷つけてしまうことがあります。
傷をつけると言っても髪の毛程度の太さしかない鍼では内出血をしてしまうぐらいになるのですが、神経に対して強い刺激を加えてくと強い痛みが残ったりしてしまいます。中国の鍼は太くて長いものが多く、刺激量も多いので、治療後に痛みが残ったり、悪化したりすることがあるようで、書籍も出ています。
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東洋医学を行っているから臓腑経絡で全てを説明するから、解剖学はいらないという人がいたら、それは医学を否定してしまうことになります。何故、医学を否定してしまうかと言えば、東洋医学は独特な考え方をしていますが、東洋医学の古典の中にも解剖学の記載があり、刺鍼についても注意をする部位がありますが、これは知識と経験が合わさったものなので、書籍としてまとまってはいませんが解剖学を使っていると言えます。
現代は、せっかくこれだけ解剖学として解明していることも多いので、体表解剖に関しては詳しくなっていないと、過去に戻ってしまうだけになり、現在まで積みあがった歴史を否定してしまうことになります。
私も最初は東洋医学をしっかりと行っていきたいと思ったので、解剖学はおろそかにしていたのですが、最近は、反省をして体表解剖をもう一度、学習しないといけないと感じて、少しずつ見ている状態です。
解剖学は、ただ覚えるだけだし、何にでも名前が付いていて、本当にめげそうになってしまいますが、体表解剖だけだと思って学習すれば、量は格段に減りますよ。そう、減りますよ。けど、それでも多いですよね。少ないから大丈夫だと自分を励ましていても、めげてしまいそうになることが多いです。
学習する内容は筋、血管、神経を中心にすればいいと言っても、筋肉だけでも400ぐらいあるので多いですよね。ただ、学生でなければ、骨のついている細かい名前を全て覚えておく必要がないので、覚える量は減らすことが出来ると思います。
胸膈周りはどこまでが危険かが分からなくなるので、肋骨と鎖骨、肩甲骨と言う名前は最低限必要ですが、それぐらいであればすぐに出てきますよね。
体表解剖が本当に必要だと思ったのは、肩上部や背部は注意をしていたのでいいのですが、腰部はどこまでが本当に危険なのかを考えた時があり、12肋骨の付近まで肺が来ることがあるので、12肋骨がしっかりと触れていなければ、肺底に鍼が当ってしまう可能性があるので、腰部でも注意をしないといけないと思ったからです。
体表解剖という知識が入っても、知識だけのままで触って分からなければ、勉強した意味がなくなってしまいます。触診するときに、この位置に本当にあるのかを考え、鍼を刺すときにどこまであるのかをイメージすることによって、頭で学んだ知識が技術として生きます。
知識をベースとした経験に変わってしまえば、自分のスキルが大きく向上するので、少しずつ、ベースを高めるように勉強している状態ですね。低い土台からだと高く飛べないですが、土台が積みあがっていれば高く飛べるので、知識という土台と技術という土台がしっかりすれば、大きな飛躍が出来ますが、知識が落ちないように気を付けないといけないですね。
知識が落ちる状況は自分では土台をつくったつもりだったのに、アンバランスな土台だったという場合ですね。例えば、東洋医学はしっかり学習しているけど、体表解剖が弱くて、自分の興味だけでしか知らないと、本当に覚えておかなければいけないところを抜けてしまって、そこが自分の弱さになってしまうことは現実ではよくあるので、地道が積み重ねしかないと思います。
まずは、骨の構造と位置をしっかりと覚えて、筋肉・神経・血管という構造を覚えておくことが大切で、内臓器に関しては深く刺鍼した場合に触れてしまいそうなところを中心に見ていくのが大切ですが、治療でよく使うことろから段々と知識を広げていく方が楽だと思います。
臨床に出ながら解剖学をもう一度勉強するようになると、こんな構造になっていたのかという新しい発見が意外と多いので、勉強の扉を少し開けると楽しさも待っていますよ。
身体を触っていくには、体表で触れやすい解剖学も詳しく知る必要があるので、解剖学に詳しくなると、身体を触る力もあがります。体表で触れる部位に関しての触り方はこちらのブログで書いていますので参考にしてみてください。
「棘突起を触るコツ」