エヘン虫の原因と治療法―梅核気

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 風邪をひいた訳ではないのに、喉のつまりからくる咳をエヘン虫と呼ぶことがありますが、日常的にあると不快感もあるので辛い症状だと思います。

 エヘン虫は現代医学的にはヒステリー球や咽侯桃神経症とも言われるもので、ストレスや体調不良、ホコリが関係をしていると言いますが、原因も治療もよく分かっていないものになりますが、東洋医学では梅核気(ばいかくき)と呼んでいます。

 

 梅核気は喉の奥に詰まった感じがすることから、「梅の種が詰まったような不思議な状態」と考えられています。梅核気という名前で東洋医学にも存在をしているので、昔の人達もヒステリー球で困っていたのだと思います。

 

 梅核気で悩んでいない人に取ってはどういう状態かが分からないかと思いますが、イメージしやすい状態は、咳払いと似ています。咳払いが起きやすいのは、人前で話しをするときなので、例えば、自己紹介をしようとするときに、風邪を引いている訳でもないのに、軽い咳払いをしてから話し始めるときはありませんか?

 

 この咳払いをする原因を考えてみると、何もないのですが、何となく咳払いをしてから話し始めることは多いので、これが一時的な梅核気になります。咳払いをする状態を考えてみると、人前で話をするとか話しにくいことを離すときに生じやすいものになります。

 

 こういった場合は、話しをしようというストレスがかかっているので、東洋医学では肝気のうっ滞が生じていると考えることになります。多くの人は一時的なので、肝気がうっ滞をすると、咳払いで済みますが、酷い人は、常時あるので話をしようとする度に咳払いをする必用があります。

肝の働き

 

 常時、梅核気がある人の場合は、肝気のうっ滞だけではなく、痰湿が関係していることが多いです。痰湿は湿邪の性質とも関係をするものであり、湿邪は重濁性、粘滞性、下注性があり、この中の粘滞性の働きによって、痰湿がある部位に停滞してしまい、取れにくくなってしまっています。

 

 湿邪の性質は外邪の特徴になるので、こちらを参考にしてください。

気候変化と身体の関係

 

 痰湿と肝気のうっ滞が関係をしているので、病能が複雑化しているので、痰湿と肝気に対して治療を行わないと改善していかないものになります。ストレスが関係しているから、肝の治療ということでは正解になるのですが、痰湿の存在を忘れてしまうと、治療効果が下がってしまいます。

 

 痰湿が関係しているので、ストレスだけではなく、痰湿の発生原因として食生活の問題も考えられます。痰湿は、味が濃い物、油っこい物、甘い物、お酒などをよく摂取している人は貯めやすい傾向があるので、食生活の見直しが必要になります。

 

 例えば、ストレスがかかると甘い物をよく食べている人は、肝気がうっ滞しているときに痰湿を摂取する傾向があるので、梅核気がより発症しやすい状態を作っていると考えることができます。

 

 痰湿の発生は脾の働きの低下によっても生じやすいのですが、脾の働きは肝の働きによって制御されてもいるので、肝気のうっ滞は、脾の働きを低下させてしまい、痰湿の発生につなげてしまっているので、ストレスがかかったときには、痰湿と関係しやすいものは摂取しないようにすることが重要です。

 

 梅核気が日常的に生じている状態は、痰湿が粘滞性によって咽喉部に付着をしてしまっているので、気の働きによって、痰湿の阻滞を改善しないといけないのですが、肝気がうっ滞してしまっていると、気の推動作用が低下をしてしまうので、付着している痰湿を除去できないので、さらに痰湿が阻滞し、だんだんと症状が悪化してしまうことがあります。

 

 エヘン虫というだけでは、食事や治療に関して考えていくのは難しいので、梅核気として考えることによって、東洋医学の考えと治療を利用することが出来ます。梅核気がひどいようだと、胸脇部の動きの悪さも生じてしまうので、肋間を自分でマッサージをしていくのも効果的です。

 

 肋骨の間は隙間になっているので、その隙間に指を入れて左右に動かすのも効果的です。具体的なやり方としては、例えば、椅子に座った状態か立った状態を考えてもらい、右手の示指先端の掌側を左乳首の下の肋間に置き、その下の肋間には中指先端の掌側を置き、薬指、小指と続けて肋間に置いていきます。

 

 4本の指先が肋間に収まったら、圧を加えたまま左右に動かすと肋間のマッサージをすることができるので、反対側も同様に行います。この動作をすることで、気のうっ滞を改善することが出来ます。梅核気は肝気のうっ滞と痰湿なので、痰湿に対する処置は、下腿にも刺激を加えることが必要なので、座った状態で、右手で左下腿を軽く叩き、左手で右下腿を叩きます。コツは、手はグーの状態にして、小指側でトントンと叩くと脾経に働きかけることが出来るので、膝下から、叩けるところまで下がっていくといいですよ。

 

 脾の詳細な働きに関しては以下を参考にしてください。

脾の働き

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