要求の多い患者さん

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 治療をするようになって最初にどうしていいか分からないのは要求の多い患者さんだと思います。

 要求が多い患者さんは自分がして欲しいことが全て満たされないとクレームになることが多いので、初心者治療家には登竜門になると思います。慣れてくると多少は対処に慣れていくのですが、治療家だって一人の人なのであまりにも理不尽だと切れてしまいそうになることは多いのではないでしょうか。

 

 よくある事例としてあるのは、治療方針はどうでもいいから、ここだけに鍼を刺して他を触るなということを言われることもありますが、そこに鍼をしてもクレームを生じる場合があるので、どう対処をしようか悩むと思います。

 

 特に、開業して長い治療院だと、そういった患者さんがいることがあるので、初心者鍼灸師に取っては悩むことが多いですね。鍼灸院でスタッフが少ないところであれば、そういったことは少ないのですが、病院や整形外科では離職率も高いので、スタッフが度々入れ替わるので、自分がよかったと思う治療や鍼をしてもらいたかったという気持ちがあることもあるので、スタッフ数が多いところでは発生しやすいものだと思います。

 

 自分の受けたい形がある人の場合は、治療をする人を見ている訳ではないので、やってもらいたいことのみが目的になります。マッサージ系の治療院だと特に多い傾向があるので、例えば、治療方針はどうでもいいから刺激が欲しいところだけをひたすら押せという要求がくることがあります。

 

 刺激を過大にすれば、その局所は一時的にすっきりすることが多いですが、長期的にはどんどんと刺激に鈍くなり、刺激を強く求めるだけになり、最終的には身体を壊すような刺激でしか、反応をしなくなるので、治療家としては悪化をするので、止めた方がいいと言う場合もあります。

 

 慣れている治療家だと、そういう人は変わらないから、言われたことだけをしてお金をもらうという考えをすることがあるので、その時には頭を使わないでひたすら刺激を加えるということに専念する人もいます。

 

 何が正しいのかは分かりませんが、何も考えないとその先の成長も少なくなってしまうので、私なりの考えをまとめてみたいと思います。

 

 要求の多い患者さんで局所のみという患者さんを対応することは今までもあったのですが、最初はよくしようとしてやろうとしたことも出来ないし、やりがいも感じないというのが正直な感想で、出来るだけ担当をしたくないという気持ちが多かったのですが、自分の技術を向上させるのには、そういう患者さんも必要だと思うようになりました。

 

 練習でも治療でも、全身の状態や局所について考えることはありますが、ひたすら局所だけというのは練習でも治療でも行うことがないので、そういう患者さんの場合はひたすら局所の観察をしていきます。どこまでやれるのかという自分の経験にもなるので、それを行うようになってからは、局所についての理解が非常に深まりました。

 

 細かいところを触るようになると、この硬結は何だろうか?何の筋肉だろうか?何経と関係しているのか?を考えるようになるので、今までの知識だけでは足らないことが分かるので、どんどんと局所の知識が深まっていきます。

 

 もちろん、やって欲しいことや局所の施術であまりに危険を伴う場合や、自分の技術力では事故につながると判断したときにはしっかりと断ることが大切だと思います。その際に、患者さんによっては罵倒をされることもありますが、出来ないことは出来ないという姿勢をはっきりさせることは大切になります。

 

 ちょっとの背伸びであれば自分の技術力を向上させるものにもなりますが、リスクだけが高いと、技術の向上ではなく事故の発生になってしまうので、自分の力量を踏まえた上での判断が大切になるので、この辺りの判断をするのには少し経験が必要になるのではないかと思います。

 

 出来ないと伝えた後に、しばらくしてから出来るということを伝えるときには、最初に断ったときに気分をあまりにも害してしまったときには二度と行うことが出来ませんが、問題がなく断った場合には治療を受けてもらえることがあるので、そこで自分の力量が伸びたかどうかが分かります。

 

 ビジネスの話の中ではクレームはお金をもらっても欲しいという物なので、そこにニーズと技術向上がある場合があるので、リスクをしっかり判断した上で、対応していくのが大切だと思います。

 

 鍼灸に限らず、手技療法では前の先生と同じようにしてくれという要望を言われることがありますが、これも対応するのがあまりにも無理なものは断ることが大切ですが、その要望に答えることによって得られるものがあります。

 

 自分が出来ないことを当たり前に行っていた先生がいて、患者さんに誘導されながら行うことによって、会ったこともない先生の治療を自分の物とすることが出来るので、リスクが強くないものであればチャレンジをしてみることもあります。

 

 患者さんの身体を通して、知らない先生に手取り足取り教えてもらえるようなものなので、そういうチャンスがあれば手に入れてみると自分の治療が高まると思います。

 

 ただ、このツボセットで治療をお願いしますという場合には、同じ効果を出すことが難しいので、セット治療は断って、多少アレンジを加えますということもあります。

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