天柱は後頭部にあるので、首肩こりにも使用されることがあり、よく使われやすく記憶にも残りやすい経穴ですね。
天柱は、天を支える柱ということで、天柱という名前なので、頭頚部に対する治療として効果があると言われています。鍼灸師の人であれば、首肩の疲れに対して自分の天柱に自分で鍼をすることもあるのではないかと思います。
天柱という名前は他では星の名前として存在をしていて、北斗七星の七番目の星とも言われています。七番目と言われても分からない場合は、北斗七星は水をくむ柄杓(ひしゃく)の形をしていますが、柄(え)の部分のはじになります。
北斗七星の七番目は揺光・破軍といわれているのですが、天柱も名前として使われていることがあります。他には天柱五星・天柱六星も存在しているので、天柱という名前は広く使われていたというのが分かります。
天柱は頚・肩こりに多く使われる場所でもありますが、身体の表裏・陰陽で考えると喉の裏にある場所なので、咽頭の疾患にも用いていくことが出来ます。他にも目の疾患に対して天柱と風池が用いられることが多いので、顔面部の疾患に対しても効果が高い場所になります。
1㎝程度刺入をすると奥の方で響く感じが出やすく、場合によっては後頭部全体にも響きが出ることがあります。響きが強すぎると痛みや違和感が残ってしまうのは他の経穴と同じなのですが、天柱の辺りの違和感や痛みは不快感を伴いやすいので、刺激量には注意をしておくのが必要です。
天柱の刺入に関しては直刺で刺入をするのがいいのですが、頭部と頚部の境目になるので、直刺で刺入しようとするときには、反対側の目の内方に向けて刺入をするのがいいです。刺入のイメージとしては天柱に刺して何センチでも刺していくと目に届くという感じで、ゆっくりと刺入をしていくと、1㎝に到達しないぐらいでも目に響きがくることもあります。
顔面部の治療ということで鼻疾患に対しても用いることができるので、頭顔面部の治療にも重要な経穴になります。
手技で圧を加えるときにも、目の内側に向けて圧迫を加えることが大切になります。うつ伏せのときはイメージをしやすいのですが、いろいろな方の手技を受けてみると、仰向けのときに方向を意識出来ている人が少ないように感じています。
仰向けのときの場合は、中指の上に示指を重ねて押すと圧も入りやすいし、コントロールしやすいと思います。押すというよりは「引く」というのを意識すると天柱に正確に圧が入りやすくなります。手技で行っていても、目や頭部に響きが出ることがあるので、眼精疲労が酷い人では、気持ちがいいと感じることが多いです。
お灸を用いて施術を行うことが出来るのですが、髪の生え際になるので、灸点紙を使って行うと、髪を燃やしてしまうことがないですし、温かさも残り、スッキリ感が出やすいです。ただし、のぼせやすい方だと、お灸の後は辛くなってしまうので、症状や体調に合わせて用いていくのがお勧めです。