交会穴(こうえけつ)

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 経絡の書籍を読んでいると見かける表現に交会穴というのがありますが、これは経絡が交わるツボという意味があります。

 有名な交会穴は三陰交があり、肝・脾・腎経が交わるツボということで、「足の三陰経が交わる」を省略して三陰交になったと言われていますが、交会穴は全身に多く存在をしています。

 

 経絡は電車の路線で経穴は駅名ということで以前のブログ(「東洋医学の特徴は何か?」)で紹介をしましたが、交会穴はターミナル駅ということで、治療効果が高い場所の一つになります。

 

 交会穴として有名なのは、先ほども出てきた三陰交ですが、他にも百会(督脈・膀胱経・三焦経・胆経・厥陰経)や大椎(督脈・大腸経・胃経・小腸経・膀胱経・三焦経・胆経)がありますが、交会穴自体はかなりの経穴が該当します。

 

 全部の経穴が361あり、約80穴が交会穴になるので、全体の約23%が交会穴になります。ということは、治療の中で交会穴を使っている可能性は高いですね。

 

 交会穴が多い経絡は、流注が長い経脈に多いので胆経・膀胱経・胃経は交会穴が多いという特徴があります。交会穴が多い部位は、頭部・顔面部・腹部になるので、機能として重要なところには、いろいろな経絡が走行をしているというのがよく分かります。

 

 交会穴などの経穴の話しは古典文献では『鍼灸甲乙経』に書かれているので、古典文献や中医学の文献を見れば載っているのですが、鍼灸学校の教科書には、ほとんど記載がないですね。もし、記載があったら、国家試験の出題に含まれるので省いたのでしょうかね。

 

 治療をする上では、経絡がどこを走行しているのかをイメージするのに、交会穴は大切なのですが、学習する時のことを考えると、多すぎて嫌になってしまいそうですね。

 

 交会穴の特徴としては、督脈と任脈以外の奇経は自経のツボを持たないという特徴があるので、全てのツボが交会穴になるので、奇経と交会穴の関係は深くなります。正経と奇経の話しについてはこちらを参照してください「経絡は何本あるかー正経と奇経」。

 

 交会穴を使えば、一つの経絡だけではなく、他の経絡に対しても治療することが出来るので、治療自体を交会穴だけで行うという考え方もすることが出来ると思うので、簡便な治療スタイルということでは、交会穴治療でもいいのではないかと思います。

 

 例えば、百会、三陰交、内関、中脘は交会穴でもあるし、頭・足・手・腹部を治療として取り入れられるので、何となくよさそうではないですか?

 

 一時期、経穴の書籍を見ているときに、そういったことを考えて、治療スタイルをシンプルにしてみたことがありますが、こういった治療もある程度の効果が見られるので、楽だし、スピードもあがるので、状況次第では使いどころがある治療方法だと思います。

 

 背中がなかったですが、大椎も交会穴の一つなので、日々の治療の中で大椎を行うと体調管理にいいのではないでしょうか。

 

 頚部は仕事や運動でもストレスが貯まりやすいところですし、日々の疲れが取れるだけでもかなりよさそうな感じがしますし、交会穴であれば、督脈以外にも治療効果を発揮できるので、臓腑の調整にもいいと思いますしね。

 

 治療スタイルは、人によっても変わるでしょうが、経穴の知識が入ってくるだけでも、治療の幅や考え方が変わるので、経穴の書籍は時間があるときに開いて見ておくと、自分の治療イメージが広がっていくことが多いです。

 

 本当にたまにで、開いているだけではイメージが出てこないので、経穴の書籍を開いているときは、東洋医学にどっぷりとつかってみてはいかがでしょうか。もちろん、現代医学的に考えるのも治療として大切なので、現代医学でも構わないですけどね。

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