鍼灸治療を現代医学的に考えた場合は、刺激療法として捉えられることがありますが、東洋医学を行っている方だと刺激療法ではなく、気の医療だという話しを聞くことがありますが、これはどちらが正解なのでしょうか。
正解は、鍼灸治療は気の医療ですが、刺激療法です。2択で正解を尋ねておいて、両方とも正解とはずるいと言われてしまいそうですが、人生には正解はないですし、どちらも正解というのは多いので、そんなもんかと思って許してもらえればありがたいですね。
気の医療に用いるものというのは、東洋医学は気を中心とした考え方を行っているものなので、東洋医学で使う鍼灸は気の医療だと考えて正しいです。鍼灸だけではなく、東洋医学の病態把握を行って、漢方や手技を行ったのであれば、それも気の医療と言えます。
東洋医学の考えを使わずに、気の医療というのは意味が分からなくなってしまいますが、気という表現は一般でも使われているので、東洋医学でなくても気を考えて治療をするという話が出てくるのは当たり前かもしれませんね。
東洋医学を学ぶのには気という概念を理解するところから始まると言われるのですが、イメージがしにくいものなので、どのように考えるかの参考として過去の記事で書いているので参考にしてみてください。
「気は見えるのか」
気の医学として鍼灸を考える人に取ってみれば、鍼灸が刺激療法という表現になると否定をしたくなる人もいるかもしれませんが、気を動かすのには「気」または「何かの道具」によって「相手の気」を動かすということなので、「物質」に対して「物質」で治療を行っているので、刺激療法と言えますね。
気を相手に送るということを考えたときにも、送れるということは「存在」をしているはずなので、気を送るという行為も刺激療法と言えてしまいます。そうなると、何かを与えたりして変化を起こすということが医療だと言えるので、現代医学も東洋医学も刺激療法と言えるのではないかと思います。
鍼灸は刺激療法という話をどこかで読んだか、聞いたときに、鍼灸は刺激療法なのかと疑問に感じていたことがあるのですが、最近は「何か」に対して「何か」を行うのであれば刺激と考えられるので、鍼灸も刺激療法だなと自分の中で納得をした状態です。
医療は刺激療法と考えると、現代医学も東洋医学も身体に適切な刺激を入れることが大切になるので、鍼灸でも刺激量を考慮することが大切になると言えますね。では刺激量をどのように決定するのかというので、基準がないといけないので、基準として身体の虚實を決定して、治療では補瀉という概念を取り入れたのだと思います。
虚実・補瀉も東洋医学では重要な用語になるので、理解をしておくのが大切なので、こちらも参考にしてください。
虚実・補瀉で刺激量を調整することは大切なのですが、鍼灸ではほかにも使うツボの数と深さ、時間によって決めるので、どういったツボで、どのぐらいの数のツボを使うか、深さや時間をどうするのかを決定するのが治療として大切になります。
刺激量が多いと瞑眩(めんげん)が発生してしまうことがあります。瞑眩は副作用・好転反応ともいわれます。好転反応は、よくなるために一度、悪くなったように感じることです。例えば、筋力をつけたいと思ってトレーニングをしたら、筋肉痛が出てくることも多いですが、筋肉痛があると動くときの不快感が生じますね。この筋肉痛が筋力をつけるための瞑眩とも言えます。
鍼灸での瞑眩は、だるい、眠い、痛みが強くなるなどが起こることを言って、鍼灸治療後に生じる、好ましくない反応のことを言います。身体は部品を取り換えるように、何かをしたら、すぐに改善とはいかないので、瞑眩のような反応が起こるのは当然とも言えますが、出来るだけ少ない方がいいので、治療の中でも注意をしているところですね。
鍼灸という刺激療法では、身体に対する刺激だけではなく、心に対する刺激も発生することが多いです。鍼灸治療では現代医学の治療よりは、相手といろいろな話をしながら治療をすることが多いので、心に対する刺激が治療中に行われています。
心に対する刺激と言っても、精神的な治療を提供することがメインではないのですが、心に対する刺激する方が得意という人はいるかもしれないですね。長く治療をしている人だと、ふとした一言がその人を励ましていることがあるので、心に対する刺激が行われていたのだと、後で分ることがありますね。
この心に対する刺激というのは、非常に難しいものの一つだと思うので、やり方によっては洗脳にもなってしまうでしょうし、深入りしない方がいいと思います。