鍼灸師に運動の知識が必要か?

Pocket

 鍼灸師だと気という用語などには敏感になる人がいますが、運動という言葉になると、現代医学がベースになることが多いので、苦手な人が多いですが、鍼灸師には運動の知識が大切になります。

 東洋医学の運動では、導引という言葉で表現をされているのが昔からあるので、東洋医学の中では運動を重視しています。日常的に身体を使っている人は運動し過ぎに注意をする必要があるのですが、運動が少ない傾向にある頭脳労働が中心の人は運動を行うのが大切だと古典にも書かれています。

 

 さて、鍼灸師は身体を使って仕事していますし、患者さんがいる間は仕事になるので、肉体労働に近いものはありますが、筋力を使っている訳ではないので、鍼灸師をしていれば運動が足らない人になってしまうので、鍼灸師こそ運動が必要になります。

 

 鍼灸師だけではなく柔整師も運動が必要な仕事なのですが、運動を定期的にやっている人はどれぐらいいるのですかね。運動が好きという人はいるかもしれませんが、たまにしか運動を行わないようだと、身体の機能がどんどんと低下をしてしまうので、あまり効果がないのですよね。

 

 私は反省をして、最近は少し身体を動かすようになっていて、少し走ったり、筋トレをしたりしています。本格的ではないので、週に数回軽く走ったり、5分ぐらいの筋トレをしたりしていますが、半年ぐらいしてから身体が大きく変化をしたのを感じています。時間はかかっていますが、時間をかけて身につけたものは低下しにくいので、ゆっくりの変化が最適ですね。

 

 運動の知識ということで書き始めたのに、運動しましょうという内容になってきてしまいましたが、元の話に戻りたいと思います。

 

 運動の知識は確かに、筋肉・関節と関係をするので、現代医学の知識が中心になっているのですが、治療をするときには、身体の構造や深さということで、筋肉・関節という現代医学の知識が必要になるので、運動をすると勉強にもなります。

 

 運動をするということで、運動を作る時間に対する工夫や続ける工夫が出てくるので、患者さんに運動に対して話をするときに、自分の経験が役立つので、患者さんも運動をしようという気持ちになりやすいです。

 

 その人の合った運動を指示・指導する場合は、運動処方とも言えるので、その人のことを本当に考えてないと、処方することができないので、身体を見る力が強くなります。

 

 もし、あなたが「運動をした方がいいですよ」という話をされたら運動をしますか?

 

 多分、そうだよな、何かしようかなという気持ちになるだけで実際に運動をしようという気持ちにならないと思います。

 

 もし、あなたが「この痛みを改善するのであれ、日常生活でこの動作だけを1日10回するとよくなりますよ」と話をされたらどうでしょうか?

 

 運動をした方がいいと言われるよりは、具体性があり、何をすればいいのかが分かるので、少しは運動をしようという気持ちになるのではないでしょうか。もちろん、それでも運動を取り入れないという人もいるでしょうが、この具体性を持った発言が運動処方になります。

 

 治療の中で、どの部分の力が弱いのかを考えているので、身体の動きに対しても考えながら治療をすることができます。なかなか改善をしなかった人が運動をしたら劇的に改善することも多くあります。

 

 運動をさせないで継続して通ってもらうというのも一つの方法ですし、自分で管理が出来ないのであれば、他人に任せるというのも一つの方法ですけど、出来ればお互いに努力をしながら、良くなっていく方が達成したときの喜びが2倍になりますね。

 

 怪我をした人などは、今まで動けたものがダメになってしまうことがあるので、リハビリを考えないといけないですし、治療効果を発揮するためには、リハビリの知識があると改善しやすいので、運動の知識は必須のものだと思います。

 

 運動処方もやってみてよかったかどうかという経験が必要なので、少しでも勉強したことを試してみながら、運動処方の力をつけるといいですね。本格的に処方をしようとするのは難しいかもしれませんが、膝・腰・肩の治療は多いので、この3つぐらいの知識はあった方がいいと思います。

 

 運動を適当にやって痛みが悪化してしまうことはよくあることで、腰痛があるから腹筋をしたけど治らないというのもよくある話なので、適切な運動の知識が大切ですね。マスコミで扱わるような運動は、特殊なものが多いので、安易に取り入れてしまうと、怪我を招くことがあるので、情報の精査をするためにも知識が必要だと思います。

Pocket