鍼治療を行うと鎮痛効果が得られるので、痛みがあるところには鍼治療を行うというのは有名な話しになっています。
1972年に米国のニクソン大統領が中国を訪問した際に、鍼灸で痛みが軽減するというのが分かって、それ以降、鍼の鎮痛に対する研究が行われるようになったと言われています。その当時から行われるようになった研究の一つに鍼麻酔があります。
鍼麻酔は、四肢にある経穴に対して10~20分程度刺激を行うと痛みが消えていくという方法で、時間と手間がかかるので通電療法を用いて行うことが多いです。麻酔を使わずに手術や分娩を行うことが出来るので、一時期は研究も含めて広く行われましたが、段々と行われなくなっています。
手術の痛みを止めるのに、麻酔が使われることが多いですが、麻酔薬のコントロールが難しいのと、当時の中国ではまだまだ貧しく、現代医学を広く取り入れることが出来なかったという点で研究も含めて行われていましたが、鍼麻酔は不確実性があるというのが分かったのと、現代医学を取り入れられるようになったので、だんだんと廃れていったのだと思います。
もちろん、不確実性を踏まえても効果があるものになるので、現在でも使われている方法になるのですが、
手術をするのに痛みが消えたり、消えなかったりした場合は、リスクが非常に大きくなってしまいますし、鎮痛効果が得られるまでに時間もかかってしまうので、予定を立てられないというのは手術をする上では非常に不便になりますね。
医療は人体実験の歴史でもあるので、鍼麻酔を行ってみたところ、術後の状態がよくても内臓の治療では牽引痛が取れないので、危険性もあることから、鍼麻酔が使われ続けているのは歯科領域が多いです。
鍼麻酔が知られるようになったのでよかったのは、鍼灸に対する研究が世界で行われるようになったということだと思います。鍼を行うと、脳内麻薬が発生して、痛みを軽減するというのが分かったのは鍼治療のメカニズムを知る上では役に立っています。
手術に用いられるぐらいの鎮痛効果があるので、通常の治療の中でも、鎮痛効果が期待できるので、鍼治療は鎮痛効果が優れていると言われています。
鍼鎮痛は脳内麻薬だけではなく、局所の血流改善にも役立つので、血流がよくなって、痛み物質の軽減を行えるのも鍼による鎮痛効果になります。痛みというのは不快なものですし、痛みが軽減できるのであれば、それだけでも凄いことなので、鍼による鎮痛は重宝されています。
関節などの痛みや神経痛に対しても効果を発揮するので、鍼灸治療を受けようと考える人の多くは、痛みを主訴として持っている人が多い傾向があります。義務教育で鍼灸治療の効果について習う訳ではないのに、鍼灸治療が痛みに効果があるというのは広く普及しているので、治療効果が見られる人も多い証拠ですね。
鍼麻酔の効果に個人差があるように、鍼の鎮痛効果にも個人差が見られるので、鍼の治療を受けても鎮痛効果が少ないという人もいます。
ツボの効果に対しても研究が行われているのですが、結論としてはどのような効果があるのかは分かっていないです。鍼をすると、働きが亢進している場合は減退させると言われ、働きが減退している場合は亢進させると言われているので、鍼で治療を行うことによって、身体の持っている正常な状態に近づける働きがあると言えます。
鍼鎮痛に関しては、多くの鍼灸師も経験していることで、自分の身体で痛みが生じた場合は、自分で鍼灸治療を行うことが多いです。鎮痛効果も、治療後すぐに効果が見られる場合もありますが、薄皮をはがすように段々と痛みが低下をしていくこともあるので、身体の状態や個人差によっても鎮痛効果に違いがあります。
痛みを軽減するのには痛み止めしかありませんが、痛み止めは物によっては胃粘膜を荒らしてしまうので、長期に服用すれば消化器に問題を発生させてしまいます。痛みは止まっても他に問題が生じてしまうのであれば、他の病気や痛みが発生してしまうので、よくなっている訳ではないですし、痛み止めを服用せずに痛みが軽減できるのであれば、その方がいいですよね。
腹痛などの内科系の痛みでも鍼による鎮痛効果が得られるので、鍼灸師の女性で生理痛があるような人は、生理前から鍼をして痛みを軽減させている人も多いです。患者さんの場合は、自分で鍼をすることができないので、治療院に行くしかありませんが、鍼灸師の特権として痛みのコントロールがしやすいというのがあります。
痛みは運動器疾患だけではなく、いろいろな原因で発生する割には原因も不明なことが多いので、そういった日々の痛みに対する鎮痛は薬だけで対処するのではなく、鍼で鎮痛を狙うのもいいですよ。
どれぐらい効果があるのかという実体験は鍼灸師が知っているので、お近くの鍼灸師に相談してみるといいと思います。