陽陵泉

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 八会穴の1つに筋会と言われる陽陵泉は、腓骨頭の前下際にあると言われていますが、内側の陰陵泉とペアになると考えられるので、陰陵泉・陽陵泉は高さを同じとして取穴をすると分かりやすいです。

 八会穴は国家試験にもよく出題されるので、卒業してもなかなか忘れない経穴の一つだと思いますが、臨床で使おうとすると、取穴が今一つ分からないので、使いにくい場所の一つにもなるのではないかなと思います。

 

 というのは、私自身が陽陵泉で効果がしっかりとあったと理解できたのが3年ぐらい前なので、それまでは陽陵泉を取穴しているつもりでも陽陵泉を取穴できていなかったというのが理由になります。

 

 陽陵泉は胆経に所属をしていて、筋会とも言われ、病が上にあるものやのぼせてしまった状態を取るとも言われているのですが、それまでの治療の中では陽陵泉ですっきりと改善をすることがなかったのですが、ある患者さんの治療をきっかけとして使えるようになってきました。

 

 その方は、頚部痛を強く訴えていたのですが、継続して通っている方だったのもあり、どこから治療をしても効果は出るというのが分かっていたので、どこから治療をしようかなと考えていたのですが、ふと陽陵泉を試してみてもいいのではないかと思いました。

 

 頚部を動かしたときに強い痛み強いということなので、運動は筋と大きく関係をするので筋会の陽陵泉が適切ではないかという考えですね。他の治療でもよくなるという自信もあったために、ちょっと回り道をしてみるのも可能だという余裕があったので、挑戦をしてみようと考えました。

 

 それまでは取穴をするのは陰陵泉とセットだと考えていたので場所は問題がなかったはずなのですが、深さと方向が分からなかったので治療効果が少なかったのだというのも分かりました。

 

 陽陵泉を触ってみると、非常にコリコリとした索状の硬結物があり、そこを押したり、弾いたりすると症状がある陽陵泉は痛みを強く訴えたので、その索状の硬結に鍼を当ててみようと考えました。

 

 索状の硬結自体は、深さは5㎜程度しかないので、刺入は丁寧に行って、索状に当る程度で鍼の刺入を止めて、刺さらないように抜けないように索状に対して雀啄をしたら段々と動けるようになって、痛みも取れたので、陽陵泉を用いる場合は索状を必ず探すようになりました。

 

 索状の硬結を探すようになると、どんな症状の人にでも陽陵泉の効果を確認するようになったので、下腿の張りがある場合や身体の外側の症状の人にも使うようになったのですが、効果を実感できることが増えてきました。

 

 側頭部痛みのときには、足の井穴や足底を使っていくことが多かったのですが、陽陵泉を使えるようになってからは、陽陵泉から治療を行うことが増えてきました。索状の硬結は陽陵泉の下にあることもあれば、少し前方や後方にあることもあるので、陽陵泉から索状に向けて刺入をすることが多いです。

 

 前方に硬結が生じている場合は、胃経にも近いので消化器系の症状を持っていることが多いイメージがあります。後方に硬結が生じている場合は、膀胱経にも近くなるからなのか、下腿や殿部などの腰下肢疾患に多いイメージがあります。

 

 索状の硬結に当ったときでも響きが出るというのは少ないのですが、総腓骨神経が走行している場所になるためか、電撃様の響きが出ることがたまにあります。その場合は、刺入深度が深いことが多いので、もう少し浅いところで索状の硬結を探すと治療効果があがるのではないかと考えています。鍼のひびきに関してはこちらのブログも参考にしてみて下さい。

「鍼の響きが出る深さ」

 

 お灸でも効果があるので使っていくことが出来ますが、うつ伏せだと出来ないので、仰向けで使うことになりますが、がに股が酷い場合はベッドに陽陵泉が付いてしまうので、そういったときには膝枕を入れるとやりやすくなります。

 

 他には、灸頭鍼を使っていくことも出来ますが、硬結を緩めるという点から考えると刺入深度が浅くなるので、短めの鍼にして、刺入深度は浅く灸頭鍼を行うと効果的だと思います。灸頭鍼については、こちらのブログも参考にしてください。

「灸頭鍼の効果と使い方」

 

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