治療院を変える

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 整骨院を変える、鍼灸院を変える、整体院を変える、病院を変えるという話を患者さんからたまに伺うことがあります。

 それまで通っていた治療院を変えるというのは患者さんに取っては非常に不便ですし、通って築いた人間関係や信頼も放棄をしてしまうことになります。治療院を変えたとしたら、また人間関係や信頼の構築をしていかないといけないので、治療者だけではなく患者さんに取って負担が大きいことだと思います。

 

 治療院を変えるという話をされることがあって、変えたら劇的に改善をしたという話を聞くこともありますが、それは本当によかったなと思います。ただ、患者さんの治療結果として十分な成果が出せなかった方は悔しい思いをするのですが、この悔しいという気持ちがあるからこそ練習と勉強をするようになるのだと思います。

 

 誰しも完璧な人間はいないですし、自分では偏っていないつもりでも特異な疾患が出てくるので、苦手な疾患が出てくるのは人間である以上、仕方がないことなのかもしれないですね。

 

 鍼灸院や整体院を変えるという場合は、実費で支払をしている場合が多いので、いつ変えても問題がないのですが、整骨院や病院を変えるときには注意が必要になってきます。注意するのは、治療や対応ではなく、保険の部分ですね。

 

 整骨院や病院では保険を使った状態が多いので、制度をしっかりと守らないと転院できても、費用負担が増えてしまうことになります。例えば、膝の痛みがあって、Aで治療をしてもらっていたとして、Bがいいからという話を聞いたので、BとAを交互に行こうとした場合には、同じ疾患で複数の治療院に通うことが出来ないので、片方は自費になってしまいます。

 

 保険医療制度というのは全ての人に均一の料金で均一の医療を安く提供しようという国の制度なので、個人の感情というのは除いて運用をされています。個人としては、いろいろ行ってみて選びたいということになるのでしょうが、それを全員が行ってしまうと通う治療院を決定するまでに多大な医療費がかかってしまうし、複数の医療が同時に進行すると、他でやっていることが分からないこともあるので、副作用を生じやすくなってしまうという問題があるので、一つの疾患に対しては一つの医療機関という決まりになっています。

 

 複数の医療機関を行くというのはセカンドオピニオンやドクターショッピングと言われていますが、これらは時間もかかるし、検査も二重、三重にしないといけないので、医療費が莫大になってしまいます。現在の日本では、医療費の増大が問題にもなっているのもあるので、基本的には複数というのは禁止になるので、二つ目は実費として支払う必要があります。

 

 保険を使った治療だと、その人の負担割合によって決定するので、例えば、3割負担の人が窓口で3000円を支払ったという場合は、1万円の医療費がかかっています。ということは、セカンドオピニオンをしようとすると、同じぐらいの費用を自分で全て払うことになります。

 

 整骨院・接骨院では特に急性外傷(骨折・打撲・ねん挫)を扱うところなので、そういった急性外傷の対応は治療院によっても大きく変わる訳ではないし、通う期間が短いという前提があるからなのか、複数の治療院に通うことが禁止をされています。

 

 例えば、6月1日にAという整骨院・接骨院に行った場合は、同月に違う整骨院に行けないという決まりがあるので、7月1日以降に違うところに行く必要があります。

 

 保険を使ってない場合は、治療院を変えるのに、不都合はなくなります。保険を使っているところと、保険を使っていないところを併用することは問題がないので可能ですが、治療内容が重複してしまうことや、相反する治療を行ってしまうことがあるので、複数に通う場合は注意が必要です。

 

 これは薬でも関係をするのですが、複数の医療機関を受診して薬を処方されると、飲み合わせによっては重篤な副作用が生じてしまうので、複数に通う場合は注意が必要だということですね。

 

 複数に通うのはいいのですが、治療者に対して、複数を通っていると伝えた方が治療内容なども含めて考えていきやすいですね。他でも治療をしているのを言うのは後ろめたいからか言わない人も結構いるのですが、素直に伝えた方がありがたいことが多いです。

 

 ただ、治療者によっては複数を通うのを嫌う人がいるのは事実なので、他にも通いたいとか通っているという場合は、例えば、他にも通ってみたいという話を振ってみて、どういう反応をするかを見てから伝えるといいと思います。

 

 セカンドオピニオンは、人は間違いを起こすのが当然なので、再確認のために重要なことだと思うのですが、ドクターショッピングになってしまって、いろいろなところに行って、過去の文句を言っている場合は、医療者側はこちらも文句を言われるだけではないかということで、手は抜かないですが、いい対人関係を作るのは難しいと思います。

 

 ドクターショッピングをしている場合は、とにかく症状を改善したいという気持ちがあるのは事実で大変だとは思いますが、完璧な物はないですし、出来ることには限りがあるので、妥協点を考えるのも必要なのかなと思います。

 

 自分がなかなか治らない状態になったときもあり、複数の治療を試しても改善をしなかったという経験はありますが、時間によって解決するもと解決しない物が出てくるので、やはり身体は簡単にはいかないなという気持ちがあるので書いてみました。

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