治療をするときには問診をしますが、主訴に関することを聞くのが当たり前と言われますね。
患者さんに取っては、主訴が重要なので主訴に関してしっかりと聞いておかないと、本当に治療をしてくれるのかという不安にも繋がってしまうのでしっかりと聴かないといけないです。
丁寧に細かく主訴の状態を尋ねいくことで、どういうときに痛みが出たり、悪化したりするのかを知ることが出来るので、どういった状態なのかを把握できるので、病能把握することが可能になります。
主訴に対する問診だけではなく、仕事や生活習慣、既往歴についても尋ねていくことも多いですが、会話の中での情報収集になるので、まとまりがない状態で患者さんの身体や生活についての話を聞くことが多いですね。
ばらばらに尋ねた内容をそのままメモのようにするという方法もあるのですが、それだと患者さんの身体の状態がどのような変化をしたのかが分からなくなるので、問診で集めた情報は時系列にまとめておく方がいいですよ。
例えば、5年前に足を骨折して、2年前から腰が痛くなり、最近は首が痛いという時系列で把握することができたら、その患者さんの身体のストーリーを作っていくことが可能になります。
その患者さんの生きている状態のストーリーを病能把握しとして考えてみると、5年前に骨折してから、歩き方がおかしくなって、腰痛が発生したのかなと考えることができ、腰痛が発生していることから、腰部や背部、下肢などの筋肉が硬くなってしまっているというのが分かります。その場合は、身体のクッションである椎骨のS字カーブが崩れてしまったことで、首に痛みが出たのかなと考えられますね。
首の痛みがなかなか取れなくて悩むようであれば、一度、身体の情報を時系列で捉えなおしてみることが大切になります。例えば、この例だと、最初の問題は足の骨折が原因なので、骨折した部位に圧痛や不快感が残っていないかと考えることが出来るようになります。
圧痛や不快感、違和感が残っているところが見つかれば、そこを治療すると首の症状が大きく改善することも多いです。足に問題がなければ、腰の治療をすると首の症状を軽減することが出来るので、時系列にした意味が出てきます。
患者さんは怪我などを忘れていることもあるので、治療をしていてなかなか改善して来ない場合は、過去の怪我や病気などを再度、尋ねていくことが大切ですね。ただ、いきなり情報が出てこないこともあるので、自分の経験も話しをすると意外に出てくることがあります。
例えば、「小学校の時は、みんなで木に登ったりしたのですが、落ちて肩をぶつけたことがあって、あれは痛かったですよ。そういう経験はありますか?」と尋ねると、患者さんもその当時の状況を思い出しやすくなるので、「そういえば、小さい頃に・・・」と情報が出てくることが多いです。
他にも背中や頚部の痛みがあった場合に、5年前にお腹の調子が悪くなったことがあり、それ以降もあまり調子がよくないという話しが聞ければ、同じようにストーリーを考えることが出来ます。
お腹の調子が悪い時の姿勢がどうなるかを考えてもらうと、お腹の痛みや不快感があるときは、身体を丸めてしまう傾向がありますよね。そのときは、背中は丸められてしまうので、背部にある筋肉は牽引され続けてしまいます。
ここまでストーリーを考えることが出来ると、そういえば、この患者さんは初めて来院されたときも現在も背中を丸めた感じで歩いているなという情報と統合されることによって、お腹の治療をしたらよくなるのではないかと考えられます。
お腹の調子についても、「最近のお腹の調子はどうですか?」という質問をすれば、現在の調子を確認することも出来るので、お腹の影響がどの程度残っているのかを確認することができます。
機械などでも、何か音がするようになったという違和感が生じて、しばらくしたら突然動かなくなってしまったということもありませんか。壊れるのには何かの原因があり、ドミノが倒れるように悪くなっていってしまうので、時系列のストーリーとして把握することが問診では重要になります。
場合によっては、患者さんの方がストーリーを持っていることもあるので、その時は患者さんのストーリーを把握する必要があります。
例えば、ストレスが強くて食べ過ぎたのが続いてから、身体の調子が悪くなったのという患者さんのストーリーがあるのであれば、そのまましっかりとストーリーを把握した後に、さらに細かいストーリーの肉付けをこちらがしていくことが大切になります。
例えば、昔に食べ過ぎることがあったかどうか、ストレスがあると食べることが今まであったのかを尋ねていくと、過去に同じような状態になったかどうかを確認することができます。その当時に行ってみた方法を試してみるとよくなることもありえるので、患者さんへの気づきを与えるためにも、時系列で問診情報をまとめるのは重要なポイントになります。