東洋医学を学ぼうとすると三陰三陽という言葉が何度か出てきますが、三陰三陽にはいくつかの意味があります。
三陰三陽という物事を陰陽に分けた上にさら3つに分類をするというのは、陰陽論と三才思想が組み合わさった考え方になります。2つの哲学を組み合わせているので高度なことなのですが、日常でもよく発生することで自然と行っているので意識をしていないですね。例えば、食べ物があったときに、好き・嫌いという2分類を行って、食べるなら、食前・食中・食後のいつがいいかを分類するようなものですね。普段、そんなことしない?そうですよね、しないですね。
陰陽や三才思想、過去に三陰三陽について書いたブログがあるので、こちらも参考にしてみて下さい。
三陰三陽という言葉を使うときには、身体を分類して経絡の話につながる場合と六経弁証の場合があります。身体を分類していくという考え方については以前にも書いたのですが、身体を三陰三陽に分けることで、経絡の名前をつけていくのが可能になります。通常は三陰三陽にさらに上下の考え方を入れて12経脈にしていきます。
三陰三陽というときには、三陰三陽病という言葉で表現をされることもありますが、病気の分類としての機能があり、中医学では六経弁証と言われる方法になります。この考え方のもとになったのは、『傷寒論』になります。『傷寒論』に関しては、こちらのブログも参考にしてみてください。ちなみに『傷寒論』は六経弁証だけではなく、八綱弁証の考え方もあります。
六経弁証とも関係をする三陰三陽は病気が三陰三陽という6つに分類をすることができ、分類した状況によって漢方の処方も変わるものです。太陽病は発病の初期であり、太陽病から厥陰病に病が進行をしていくと言われます。傷寒の病についての話なので、簡単に言ってしまえば、冷えによって生じる病の進行と治療の仕方です。
三陰三陽 | 症状 |
太陽病 | 悪寒、発熱、悪風、うなじの強張り、脈浮など |
少陽病 | 口苦、喉の渇き、往来寒熱など |
陽明病 | 高熱、お腹の張り、便秘など |
太陰病 | 体力低下、身体の冷え、腹痛、腹虚満など |
少陰病 | 寝ていて起きたがらない、脈微細など |
厥陰病 | 下半身の冷え、喉の渇き、空腹だが食べれないなど |
もともとは、傷寒という病が流行をして多くの人が亡くなっていったので、その病気と過程をまとめたものが三陰三陽病と言われます。この6つの分類だけではなく、さらに症状によって細分化をされていくので、治療方針は多岐に渡ります。
何故、このように2つの考えがあるのかと言えば、身体をまず分類するのが、分類の三陰三陽で、病気はこの分類と関係があるのではないかとまとめたのが六経弁証とも言えます。
鍼灸師の勉強では六経弁証はあまりないのですが、新教科書や中医学の書籍の中では当たり前のように出てきています。
日本の鍼灸師の場合は、漢方薬を扱えないので、三陰三陽病(六経弁証)を学習しても、処方することが出来ないので、内容と考え方としては重要なのですが、ツボの話にならないので、それほど深く勉強をする人が少ないと思います。
鍼灸師でも漢方や中医学を中心で学習した人に取ってみれば、当たり前のことになります。東洋医学を学習する医師や薬剤師は漢方薬が中心になるので、鍼灸師以外からしてみたら、三陰三陽と言われれば、六経弁証のことかなと考えることが多いですね。
医師や薬剤師とも東洋医学で話をして治療もしたいのであれば、この六経弁証については詳しく学習するのがいいと思います。もちろん、その場合は、漢方薬の勉強にもなっていくのですが、東洋医学の用語を用いて身体の中がどのようになっているのかを学べるので、東洋医学の知識を深めるのであれば、漢方系の書籍は必読だと思います。
かくいう私も漢方は全く分からなかったのですが、漢方に書かれている書籍で病態・治療を読んでみて、東洋医学の知識が深まり、繋がっていきました。弁証や病因病機についても書籍などで学習できるのですが、漢方の方が細かい傾向があります。
例えば、気に効果があるけど、身体は一つの統一体なので、気に問題が生じれば、血や津液にも問題が生じるので、気の治療をしながらも血と津液にもアプローチは必要だよということが書かれています。
普段はゆっくり読む暇がないのですが、手が空いたときなどに、漢方の書籍をパラパラと読んでいることがあります。