陥凹部の正体

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鍼灸だけではなく、手技療法を行っていると陥凹部が問題だし、治療点だと言われることがあります。

 鍼灸だけではなく、手技療法では身体を触ったときに、陥凹や硬結を見つけるので、診断と同時にその場所が治療点になるので、診断即治療(しんだんそくちりょう)という考え方がベースにあります。

 

 それだけ陥凹部という表現は言われているのに、陥凹部とは何かという話はすくないので、自分なりの視点で陥凹部について考えてみたいと思います。

 

 人の身体を考えたときに、筋肉や脂肪によって体表部が成り立っていて、その表面には皮膚があるので、軽く触ったときに感じる陥凹部は皮膚、筋肉、脂肪について診断しているのではないかと思っています。

 

 身体全体を一枚で覆っているのが皮膚になるので、身体の使い方によっては、よく動かす方向や部位が決まってくるので、皮膚の動きにも偏りが生じると思います。例えば、その偏りとして見やすいのは、顔のシワだと思います。顔のシワは筋肉によって、皮膚が動かされ、その動きが当然のようになると、皮膚も曲がった状態が当然になるので、シワとして刻まれていきます。

 

 美容鍼灸だと、筋肉が牽引している状態なので、筋肉を緩ませれば、シワは取れると言われますが、シワが出来る原因を考えれば当然のことと言えますね。

 

 ということは、陥凹部を探せば、その陥凹を作っている筋肉を考えていくことが出来るので、陥凹部から治療点を拡大していけるのではないかと考えています。この考え方をするようになったのは最近なので、どういったところで応用が効くのかは分かりませんが、美容鍼灸ではよく使われているので、まずは、陥凹部付近の筋肉の硬結を探すことで、陥凹部の変化が出るのではないかと思っています。

 

 他に触りやすい陥凹部としては、筋溝があります。例えば、ボディビルダーは皮下脂肪を少なくして、筋肉を鍛えていきますが、鍛え上げた身体では、筋溝がはっきりと見えるので、筋線維の交わるところや筋線維自体の溝が陥凹部として触れるのではないかと思います。

 

 皮下脂肪が多い方は、簡単に触ることは出来ないでしょうが、それでも筋溝という溝は存在しているので、手の感覚が鋭くなってくれば、例え皮下脂肪が厚くなったとしても、筋溝としての溝を発見して、陥凹部を認識出来るのではないかと思っています。

 

 シワも筋溝も陥凹だけではなく、溝のように存在をしている物なので、それが本当に陥凹を引き起こしているのかは分かりませんが、凹みを作るという点ではありえる話なのではないかと思っています。

 

 他には、皮膚表面には皮下静脈が走行をしているので、皮下静脈の血流が少ないときには陥凹に感じることもあるので、皮下静脈も陥凹と考えていくことが出来るのではないかと思います。

 

 古典文献の中にも陥凹部という表現が出てきますが、静脈、筋肉、脂肪、皮膚が複雑に重なり合った中で見られる点を、その当時から認識していたのではないかと考えられるのではないかと思っています。

 

 何が正解かとうのは誰にも分からない物ですが、陥凹とは何によって作られるのかというのを考えていくと治療方針もいろいろと考えられるのではないかと思って、ちょっと考察をしてみました。

 

 感覚としては、陥凹部は凹みという状態を呈していることが多いのですが、陥凹の中に硬結があったりもするので、その場合の説明に関しては、どういう状態なのかなと考えている最中です。

 

 隙間として存在している部位は陥凹が出やすいと言えるでしょうし、陥凹の中の筋肉や静脈が硬くなって、陥凹の中の硬結として触れているのでしょうかね。全く答えが無い状態にはなるのですが、1か月後か数年後、数十年後に自分なりの解答が見つかるかもしれないですね。

 

 身体の状態を自分なりにいろいろと考察するのは、治療にも繋がってくるので、楽しさもありますし、こうやって考えていたことが、治療をしているときに、急につながってくることもあるので、頭の片隅には入れ続けて置こうと思っています。

 

 治療で忙しくなってくると、余計なことを考えなくなるので、段々とシンプルになり、観察力もあがってくることがあるので、考えがまとまったり、治療で思いついたりするときは、大体は忙しいときが多いですね。

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