瘂門

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 瘂門穴は学校の授業では禁灸穴ということで習いましたが、あなたは卒業後に意識して使っていますか?

 私は卒業してから使っていませんでした。1年ほど前から瘂門穴に注目するようになり、最近は瘂門の反応を重視することがあります。瘂門穴の瘂は話せないという意味があり、門は入口でもあるので、話せない場合に使う場所だという意味になります。

 

 瘂門穴にお灸をすると、話せなくなってしまうと言われているので、もちろん実験する必要はないとは思いますので、基本的にはお灸をすることはありません。場所的は舌の裏側にあるので、舌に対しての治療効果が高いというのも分かります。

 

 刺入に関しては、深く差してしまうと危険な部位になるので、刺入をしても1cm程度にしておくことをお勧めします。もちろん、人によって皮下脂肪の厚さが違うので、痩せている方だったら、5mm程度の刺入でも効果があると思います。

 

 瘂門穴に注目をするきっかになったのは、花粉症でした。いつも治療をしている人の声がかすれたように出なくなっていて、身体の調子もいつもよりよくないし、触った感触もいつもと大きく違うのでどうしようかと思いながら施術をしていました。

 

 治療をしていて、だんだんと身体の状態が変わって緩むのが分かりましたし、治療が終われば、声の調子は少なからず改善するだろうという目論見はあったのですが、治療後に人と話をしなければいけない状況なので、どうにかもう一息、改善を出来ないのかなと考えていました。

 

 治療をしながら、どうしようかなと迷っていた状態なのですが、頚部も辛いと言うことで触診をして部位を確認していたら、瘂門が閉じたように感じたのです。瘂門が閉じるっていうのはどういう感覚かと言うと、頚部の筋緊張が高くなり、腫れているように感じたので、左右の筋肉によってくぼむところにある瘂門の幅が狭く感じました。

 

 おかしいと思ったときに、瘂門は声に関しての治療稀穴だというのを思い出し、最初は左右の筋肉の硬結が緩めば瘂門も問題がなくなるのではないかと思ったのですが、左右の筋肉がゆるんでも瘂門の辺りの触った時の違和感が消えないので、思い切って直接、治療をしてみることにしました。

 

 瘂門は卒業以来、ほとんど触っていない経穴だったので、まずは瘂門に刺入を行ってみて、中の状態はどうなっているのかを少しずつの刺入で確認していきました。5mmぐらい刺入したところで、ズーンと感じるという話があり、鍼先に硬結が触れたので、硬結が緩むように刺入も抜鍼もしないで揺らすような雀啄を続けていたら、30秒程度で硬結が消えていきました。

 

 硬結が緩んだのを確認して、抜鍼をしてから、瘂門の反応を確認してみたら、最初に触ったときのような嫌な感じがしなかったので、声を出してもらったのですが、音が戻ってきたと感じ、患者さんも声が出しやすいという話になりました。

 

 効果があったのですが、使い慣れていないから、劇的な効果になっていないのかと思い、その後は、瘂門に軽くだけ刺入をして時間の手助けを借りようと思い、置鍼をしました。置鍼時間は5分程度だったと思うのですが、置鍼後は先ほどよりも効果があったのがお互いに分かりました。

 

 やっぱり瘂門は舌、発語には効果があるのだなと実感をしたので、文献で調べてみたら、外邪によって五臓の気が衰え、声が出なくなった場合は、瘂門が効果的という文章を見つけたので、これなのかという理解が出来ました。

 

 今、診ている方で花粉症が酷いと言う人はいないのですが、花粉症が酷い人がいたら試してみようかと思っている状態ですね。もちろん、風邪を引いたときの喉の違和感にも効果があると思うので、そういった状況があれば瘂門を使ってみたいですね。

 

 ちなみに、現在に診ている方でも花粉症の人や、今でもあるという人はいるのですが、長く治療をしている人が多いからか、それほど悪化することがないのですよね。悪化するとしても鼻と言われることが多いので、声のときには瘂門ですね。

 

 瘂門は督脈にも関係をする経穴でもあるので、頭がボーとするときにも効果的なので、パソコンやスマホを使いすぎたときに、天柱や風池と一緒に瘂門に鍼を刺したまま、作業をしていることがあります。

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