置鍼は置鍼で良さがある

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 鍼治療では、鍼を触れていくタイプの治療と鍼を刺入をして置いておく置鍼のタイプの治療がありますが、どちらがいいのでしょうか。

 置鍼は中国では留鍼(りゅうしん)と言われるので、どちらの単語も鍼を刺入した後に置いていくという意味になります。一般的には整骨院での鍼治療のイメージの方が多いでしょうし、鍼を刺入したら、置いておく置鍼が鍼治療のイメージとしても定着をしているのではないかと思います。

 

 美容鍼の説明の画像でも鍼を刺入して置いてあるシーンで撮影をされているので、やはり置鍼が一般的なイメージでしょうね。鍼を置鍼しないで、治療をしていく場合は、つきっきりになるので、メリットとデメリットがあります。

 

 つきっきりになるメリットは、身体の変化を敏感に診ることで、治療の刺激を調整するのも簡単ですし、患者さんとの会話の中で、情報を聞き出せることがあります。リスク管理という視点で考えれば、目と手を離すのは危険なこととも言えるので、大きなメリットと言えます。もちろん、漫然と治療をしていたら、リスク管理が出来ないので、意味がなくなってしまいますけどね。

 

リスク管理ということを考えるのであれば、ハインリッヒの法則が重要なのですが、過去のブログの中で書いているので参考にしてみてください。

鍼が抜けなかった経験はありますか?

 

 つきっきりになるデメリットとしては、手を離せなくなるので、急患や電話などの対応がしにくくなることがあり、収入面では伸ばせない原因にもなっていきます。治療で忙しいときに患者さんが集中するのはよくあることですし、そういうときに限って、いつも来ている方がぎっくり腰になってしまい、急遽、治療をしなければいけない状況になったりしてしまいます。

 

 つきっきりでしか治療ができないと、そういった患者さんの治療はどうしても後回しになってしまいますが、急患こそ急がないと治療院という場所ではなくサロンと言う状態にもなりやすいです。

 

 病院でも通常の治療と同時に急患の対処をするので、つきっきりの治療の場合でも手を離して何かをするという状況は絶対に身につけておいた方がいいと思います。

 

 つきっきりで治療を行うということは、一日で診られる人数にも制限が出てしまうので、治療スピードを上げていくか、料金をあげていかないと収入は頭打ちになってしまいます。もちろん、営業時間が患者さんで埋まるという状況になった先の話ですけどね。

 

 治療のスピードが上がったとしても、患者さんとしてみれば、いつもは長くしてくれたのに、段々短くなっていったということで不満に感じてしまい、来院されなくなることもあります。相手があることなので、自分だけの都合で全部を決めてしまっては、相手は悩んでしまいますよね。

 

 私はつきっきりで治療をするときもあれば、置鍼での治療を選択することがありますが、割合としては置鍼を使うことが多くなっています。全体で言えば、9割は置鍼を使った治療と言えますね。

 

 置鍼にもメリットとデメリットがあるのですが、先にデメリットを説明していきます。置鍼のデメリットは先ほどの話で出てきたリスク管理の話ですね。置鍼をしている間に患者さんが動いてしまい、鍼が曲がってしまったという状況は発生することがありますし、調子が悪くなってきたときの対処がつきっきりよりも遅れてしまうことになります。

 

 私は、このデメリットをなくすために、置鍼中の鍼は切皮程度にしておくので、動いてしまって鍼が曲がったり、痛く感じてしまったりするのを防いでいます。置鍼を使っていくと二人でも同時に治療を出来るのはメリットでもあるのですが、リスク管理で考えれば二人以上を同時に管理しなければいけないので、リスク管理で言えばデメリットになります。

 

 車だって、乗っていなければ事故を起こす可能性が少なくなりますが、毎日、一日中乗っている場合は、事故を起こす可能性があがるので、行う数が増えればリスク管理もより重要になるのは、どの状況でも同じですね。

 

 置鍼のメリットは、治療の腕が足らない場合でも、時間を味方に付けるというメリットが多いです。特に初心者の内は、技術も稚拙なことが多いので、どんなに気合を入れて鍼を扱ったとしても、上級者と比べ、結果が低くなってしまうのは当然とも言えますよね。 もし、初心者がすぐに結果が出るようであれば、技術職とは言われないですからね。

 

 鍼を刺すと、身体が変化をしていきますが、技術が稚拙なうちは、置鍼という時間を味方に付ける方法を身につけておくと、鍼で身体が変化をしてくのだというのが理解できると思います。もちろん、時間を使えばよくなるからという考え方をしてしまうと技術の状態には時間がかかるので、置鍼という治療を使っていても、身体の状態を注視することが大切です。

 

 置鍼治療は、誰にでも出来るし、パターンを作るのも簡単なので、治療として行っていないのではないかと考えることもできるかもしれないですが、結果としてよくするというのであれば、それは治療と言えますね。

 

 置鍼を使うのは技術がないという表現をすることもできるかもしれないですが、自分の力量を知って鍼の力を使うのは当たり前のことですし、出来ることをやることが大切なので利用できるものは利用した方がいいと思いますよ。

 

 ただ、時間をかけた治療をすると、疲労してしまって悪化をする場合もあるので、そのときは治療時間を短くしなければいけないこともありますが、自分の力量に合った患者さんが来院することが多いので、自分の力量を知って、鍼を上手に使いながら、地道に治療技術をあげていくのが重要だと思いますよ。

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