技術の上達の仕方

Pocket

 技術職だと技術が上達しないと結果を残せないことが多いですが、技術を習得しようとする側に立つと本当に上達するのか全く分からないことが多く、道のりが困難に感じてしまうことが多いのではないかと思います。

 技術は教わることも大切ですが、一番、重要なのは自分自身で考え、気づき、変えていくことです。いかに早く“気付き”を得られるかが課題になっていくのですが、課題を克服するために重要なのは、“疑問”です。

 

 今は疑問があればネットを調べれば、“疑問”は解消をしていくことが多いですが、それだけでは“気付き”が得られなくなってしまいます。例えば、何かの料理を作ろうとしたら、ネットを検索すれば、包丁の使い方、具材、味付け、時間も分かり、そのままの通りに作っていけば、望みの品が手に入ります。

 

 “料理を作る”ということを目的にした場合は、目的に到達したので成功と言えますね。ただ、“調理人”になるということを目的にした場合では、人を真似ただけになり、技術を習得したとは言えなくなります。

 

 最初の段階では、真似るというのが重要なので、何度も真似ていくことが大切なのですが、真似ているときに“疑問”を感じ続けていくことが大切になっていきます。材料を切るときに、包丁の切れ味がよくなれば味が変わるのではないか。材料の切り方で味が変わるのではないか。切り方は線維をどう考えていけばいいのか。材料によって熱の加え方を変えた方がいいのではないか。調味料を変えてみた方がいいのではないか。入れる順番も変えた方がいいのではないか。お皿を変えてみたら変わるのか。

 

 料理は食べるというシチュエーションが重要になるので、雰囲気作りを考えた方がいいかも。食べる人というのも重要なので、その場に集まる人を考えていくのもいいかも。

 

 一瞬でなくなってしまう料理について考えたら、これだけ多くの考えるべきことがあり、確認する作業を行うのであれば、考えて作って食べ、考えて作って食べ、考えて作って食べ、違いは何か?を意識することによって、切り方での味の違い、熱の入れ方での味の違いを理解していくことになります。

 

 ここで行ったことは、時間がかかって非効率的だと言えるのかもしれないです。全てのパターンを教われば、簡単に到達できるだろうと言えますが、それだけのパターンの組み合わせを有効活用しようとしたら、どれが正しいのか選択するまでに時間がかかります。これは技術を習得したのではなく、状況に合わせて答えを探し、当てはめるものになるので、考えるという力が抜けてしまっています。

 

 もちろん、チェーン展開などを考えるのであれば、ある程度の効率化は必要になり、料理の数を制限することで均一の物を作れるようにするというのはビジネス手法としては大切ですし、利用する側からしたら安心とも言えます。

 

 技術の向上という視点から見たら、答えをもらうというのは向上しないというのに等しいので、人の気づきを理解して、自分の経験として身につけていかない限りは、技術の上達は難しくなってしまいます。

 

 技術が上達すると、常人では見えない物が分かるようになります。

 

 技術の向上は、原始人の生活とも似ているのではないかと思います。原始人は農耕などもしていたでしょうが、狩猟を考えたときに、どうやったら食事にありつけるのかをとにかく考え、遠くまで意識を張りめぐらし、考え、獲物を獲得していきますよね。

 

 獲物を得られなければ食料が手に入らないので、死を意味しますよね。獲物が取れるようになるまでは時間がかかるでしょうし、獲物が継続的に取れるようになったら、食料が手に入りやすくなります。

 

 初めて狩猟に出た人は、継続して獲物を得られている人の見えているものは、見えるのでしょうか。多分、見えないと思いますし、気付かないと思います。

 

 技術の上達も同じです、手取り足取り指導を受けることも大切なのですが、“疑問”と“気付き”という技術の発達に取って重要なアイテムを手に入れていなければ、指導する人がいなくなった時点で、その人の技術の向上は終わりになってしまいます。

 

 指導する人と同じを目指すのであれば、指導をする人がいればいい訳で、指導を受けている人はサポートのみしかできないとも言えます。だって、指導をする人は“疑問”と“気付き”を手に入れているので、どんどんと変わり、成長していくことになり、指導を受ける人は“気付き”という餌を与えられない限り伸びないです。

 

 技術の指導は非常に難しいもので、一度、出来るようになると、出来なかったところから出来るようになるまでを文章化するのは困難です。例えば、自転車に乗れるようになった人が自転車に乗れない人を指導しようとしたら、どうやったら乗れるようになるのか言葉で説明するのは困難なのではないでしょうか。自分の成功体験を基にこうやったら乗れるようになったと伝えるしかないですよね。

 

 技術の上達に大切なのは“疑問”と“気付き”ということでしたが、苦行に感じてしまう人もいるのではないでしょうか。苦しく感じるのであれば、“疑問”と“気付き”を支える心を変える必要があります。

 

 技術者として大成をされている人は、“疑問”が解決しないと納得できないと感じる人が多く、“疑問”が解決し、“気付き”を得ることが“楽”の状態になっていることが多いです。この状態を経験するのには、一つのことをただひたすらに何十時間も行うのが気付きに向かいやすいと言えますね。

 

 ただ一つのことを何十時間も行うというのは、自分に向かい合い続けないといけないので、この最初のステップを通り抜けられるかどうかが技術の上達に取っては重要なところだと思います。

 

 鍼であれば、一つのツボを選択して、使う鍼の太さ、長さを変える。いろいろな鍼と灸をやってみる。深さを変えてみる。方向を変えてみる。一つ一つの違いは非常に小さいでしょうね。その小さな差を積み重ねていくと、大きな物に変わります。

 

 紙の厚さは0.1mmです。1回折ると.0.2mmです。14回折ると163cmです。42回折ると月まで到達します。小さなことだと感じるものは実は、大きな力を秘めています。

 

 技術に関してはこちらのブログも参考にしてみて下さい。

技術の上達を感じるときがありますか?

 

Pocket