健康の定義

Pocket

 日々、治療に出ていると痛みや症状に対処をすることが多いので、目の前のことに集中してしまい、本当の健康とは何だろうかと振り返ることがあります。

 健康ということではWHOでは以下のように定義をしています。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

 健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的、精神的、社会的に満たされた状態のことを言います。

 

 学生のときに勉強をしたような気がしますね。確かに病気でもなく、弱ってもいないで、何事にも満たされた状態であれば、幸せな状態とも言えるので、全てにおいて健康なのだろうなという感じがしますね。

 

 けど、全く問題がなく、全てに満たされた状態って、人生の中ではどのぐらいの時間があるのかなと疑問に思いました。ちょっとした疲労は、どんな時でも発生をしますし、全てに満たされた状態はなかなかないのではないかと思います。

 

 人が成長するためには、ストレスが必要であり、ストレスがかかった状態だと、眠れない、休めないという状況になることは多いですし、一次的には、健康の定義からはずれてしまうこともあるはずです。

 

 年を取ってくれば古傷が痛くなるときもあるし、身体の衰えによって、何かしらの問題を抱えてしまうこともあるはずです。そう考えると、健康の定義通りに健康な人というのは、小さい子どもぐらいしか当てはまらないのではないかと思います。

 

 小さい頃は、何も考えることはなく、たまに調子が悪くなるときがあったとしても、風邪をひいて体調を崩す、食べ過ぎてお腹が痛いという程度のことが多いでしょう。ただ、子どもと言っても、家族、保育園、幼稚園、小学校などでは社会を学ばなければいけない場所でもあるので、精神的にストレスがかかることがあるので、やはり子どもでも健康の定義通りの状態が長く続くというのは難しいことなのだろうなと思います。

 

 それだけ健康と言う部分からはみ出しやすく、大切なものなのでしょうかね。

 

 患者さんを治療していたり、自分の体調を振り返ったりしてみると、健康な状態というのは、病気に苦しんでいない状態で、よく食べられ、よく出て(排泄)、よく眠れるという3点が揃うのが大切なのではないかと思います。

 

 精神的なストレスが発生すると、睡眠や食事に影響をすることが多いですし、胃腸の働きも低下をしてしまうので、ちょっとした不調でも変化が生じることが多い物です。

 

 食・排泄・睡眠は、生物に取っては重要なものなので、これがスムーズにいっていないと病気になってしまいますし、病気の状態だとしても、この3点がスムーズにいくと、生活はしやすいことが多いです。

 

 気持ちよく食べれて、お腹が苦しくなり過ぎることがなく、食べた物がすっきりと出ていくと、身体が軽く感じることが多いですし、ぐっすりと眠れる状態が続くと、本当に身体が楽で、調子もあがっていくことが多いですね。

 

 患者さんの治療でも、痛みや症状、病気がなかなか改善をしないことはよくありますが、そういった場合でも、食・排泄・睡眠の状態が変わっていくと、治療効果が上がることが多いです。

 

 そう考えると、この3点を重視する生活に変える方がいいので、患者さんへの予後説明でも良く使う項目になっています。

 

 食事に関しては、当たり前のように言われることですが、間食をせずに、腹八分目を心がけるようにすると、胃腸の調子もあがるので、何度も注意をするところになります。甘い物などについて禁止をする人もいますが、食事の中には甘みは必ず含まれるものですし、全ての食材を自給自足して、全てを自炊することが出来ないのであれば、完全に気を付けるのは難しいので、細かいことはあまり言わないことが多いです。食事は息抜きでもあるので、あまりにも制限が多いと嫌になってしまいますよね。

 

 状況がとてつもなく悪い場合は、改善を強く促すことも多いですが、基本的には、ほどほどにしましょうということが多いです。

 

 排泄に関しては、食事と関係をしやすいところでもあるので、食事を考えるようになると、自然と整っていくことが多いですね。もちろん、それでよくならないという人がいるので、便秘の場合は排便習慣をつけることも大切なので、トイレにいく時間をいつも同じに決めた方がいいという話しをすることがあります。

 

 下痢の場合は、体調によって生じると言う人が多いのですが、体調や食事の影響によって生じるという原因があることが多いので、原因を理解してもらうことが大切になりますね。

 

 睡眠に関しては、出来るだけ同じ時間に布団に入ることによって、身体にリズムを教え込むことが出来るので、生活習慣を出来るだけ整えるようにしてもらうようにしています。

 

 ただ、高齢者であれば、仕事がないので、生活習慣が崩れてしまうことが多いですし、子育てをしている方であれば、子どもの生活にも合わせないといけないので、睡眠時間を取れないのが当たり前の場合も出てきてしまいます。その場合は、昼寝を勧めるのもいいのですが、仕事をしている人だと、会社で理解をされないことがあるので、難しいところでもありますね。

 

 自分の健康でも、この3点を考えることが多いですし、自分に治療をしてみて、この3点に効果が出たら、症状だけではなく、治療効果も高いのだろうと考えるようにしています。

Pocket