東洋医学の診断法を身に付けるのに必要なこと―四診

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 東洋医学の診断法は四診と言われていて、見ることと関係する望診(ぼうしん)、聞く・臭いを嗅ぐのと関係をする聞診(ぶんしん)、話を聞いて身体の状態を把握する問診、身体を触って確認をしていく切診(せっしん)があります。

 東洋医学は現代医学と違って診断機器の発達とともに発達した医療ではないので、人の持っている五感が非常に大切になります。普通の人でも、友人が風邪をひいたり、調子が悪かったりすれば何となく分るようになりますが、何がどうなっているとどこが悪いのかをまとめているのが東洋医学の診断法になります。

 

 東洋医学の診断法を身につけていくために必要になるのは知識が絶対です。例えば、体調が悪い人がいれば何となく悪いというのは分かりますが、それが何から体調が悪くなっているのかを診断するためには、何となく見ているだけでは判断することが出来ないので、細かく見極めていくことが大切になります。

 

 例えば、切診に含まれる内容には腹診(ふくしん)と言う、お腹の硬さなどの状態を判断する方法があり、過去のブログの中でも「お腹の硬さは病気のあかし?」や「腹診―難経系腹診と傷寒論系腹診」で詳細を書いてあります。

これはお腹の痛みや硬さによって、どこが問題になっているのかを判断する方法になりますが、腹診という知識が無ければ、お腹の調子を聞いても、実際に触っても何も分からないことになってしまうので、診断法に強くなるのであれば、知識が絶対に大切です。

 

 現代医学の治療においても、症状が何によって起きているのかを考えていくことが大切で、発生している症状はどの臓器の問題によって発生しやすいのかを覚えて、問題となっていると思われる臓器の検査をすることによって身体の問題を把握するので、知識がベースにないと医療という診断をするのは困難になります。

 

 けど、試験がないのに勉強をするというのは自分の意思の力しかないので、卒業してから勉強を継続するというのは本当に辛いことだと思いますよ。勉強には終わりがないし、覚えても忘れていくし、時間をかけても知識が定着するには足らないことが多いです。

 

 診断法が強くならないと、患者さんの状態を把握することが出来ないので、治療家という仕事を選んだのであれば継続して勉強を続けるのは仕方ないことでもありますね。他の仕事でも、勉強をしていないとどんどんと知識が古くなってしまい、情報が古くなってしまうので、治療家に限らず多くの仕事は継続した学習が大切になっていきます。

 

 そう考えると勉強を続けるというのは当たり前になるのですが、試験などがないとやる気が出ないという人も多いでしょうね。私も自分の興味を持っていることはやりますが、必要だと思っても後回しになってしまう勉強は多いですね。

 

 講習会に出るのも一つの勉強にもなるのですが、講習会の弱点は自分が勉強をした気持ちになってしまって身に付かないことが多いので、講習会に出たとしたら、その後が非常に大切になります。実際に治療の中で使ってみたり、考えてみたりすることによって、使いにくいものがあるのがわかるので、そこからが初めて勉強のスタートになります。

 

 話がまた反れてしまいましたが、東洋医学に限らず、診断をするというのは知識が非常に大切になってくるので、診断能力を上げるためには知識の向上が必須になります。

 

 腹診での説明をしましたが、脈診だって東洋医学の重要な診断法になりますが、触れて感じてみた脈がどういった形や感触をしているのかを覚えて、それが何を意味するのかは自分で考えないといけないので、脈診に関する知識は非常に大切になります。脈診は、細かく見ようとしたら非常に数が多いので、鑑別するのは大変ですが、出来るだけ簡単にした方法で脈診を行うのも重要な考え方になります。そういった脈診の簡単な使い方に関しては「脈診の簡単な使い方」を参考にしてください。

 

 望診という見る診察では見る能力を鍛えていかないといけないので、知識だけではなく、あるがままの状態を見て感じ、分類をすることが大切になっていきます。例えば、“ほうれい線”と言われても、“ほうれい線”という知識がないと、何を言っているのかが分からないので、分からない単語が出てきたときには、ネットで検索をしてみると答えが見つかることが多いです。

 ほうれい線については、こちらの「ほうれい線はなくした方がいい?」でも書いています。

 

 東洋医学の診断法は、身体の五感を使って行うので、五感を鍛えるのも大切なことになります。五感を鍛えると言っても、どうやって鍛えればいいのだと思うでしょうが、意識をして反復していくしかないのですね。

 

 望診であれば見るということと関係をするので、多くの人を見ることが大切で、町中や電車の中で人を観察するのが望診の力をつけることにもなります。例えば、こういった顔色をしている人は、身体の状態はどうなのかなと考えてみたり、今は何か心配ごとがあるのではないかと考えてみたりすることによって、その人の生活を見ただけで想像することになるので、望診の力がついていくことになります。

 

 整体をしている方が参考になるのは、日常生活の中で、歩いている人を見たら、身体のどこかが悪いのではないかというのを考え続けることで、動作について見る目が養えるということですね。

 

 聞診の聞く・嗅ぐという行為は伸ばすのが非常に難しいのですが、いつもと違う声の調子のときは何かがあるのではないかと考えるのが一つのきっかけになります。臭いは、本人が自分の臭いについては分からないものなので、はっきりと言うと相手を傷つけてしまうことになるので、臭いに関することは人に話さずに自分の中で情報を蓄積していくことが大切になります。

 

 問診はとにかく知識量が試されるものですが、知識があっても会話が出来ないと相手に尋ねていくことが出来ないので、コミュニケーション能力も大切になります。この問診をうまくなるためには、例え話もよくするようにしないと相手にイメージや感覚が伝わらないので、とにかく話して、失敗して、考えて、実行を繰り返すことが大切になります。

 

 東洋医学の診断法は、自分の能力次第ではいくらでも伸びるので、日々の勉強と反復練習が非常に大切になります。東洋医学の診断法に関してはこちらの「東洋医学の診断法―四診」でも書いています。

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