エアコンの身体への影響を東洋医学的に考える

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 まだまだ残暑がありますが、夏の間に欠かせないものはエアコンですね。エアコンを使わなくなるまでは、まだまだありますが、今回はエアコンの身体への影響を東洋医学的に考えてみたいと思います。

 まず、エアコンのことを考える前に、人の身体どうなっているのかを考えてみないとエアコンの及ぼす影響が理解を出来なくなってしまうので、気温変化と身体の関係について考えてみます。

 

 冬の厳しい寒さが収まる3月になってくると段々と気温が上がってきて、8月にピークに達します。8月がいくら暑いと言っても3日でピークに達することはないですよね。これだけゆっくりと気温が上がっていくのは自然ですね。

 

 自然の気温が温かくなっていくので、自然の中で生きている我々は、環境の変化に合わせて行こうという働きがあるので、冬の間は身体を温める力を強くしていたのを、今度は、暑さに対応できるように、身体を冷やす働きを強めていきます。これは現代医学的には自律神経によって成り立っていると考えているのですが、東洋医学では気によって調整をしていくと考えていき、こういったことを天人合一思想とも言えます。

 

 夏の間は、気の推動作用を高めていくことで、気血の循環を高め、身体の中に停滞をしている熱を体外に排出するように働きかけます。具体的な現象としては、身体の熱くなってしまった水分と気を体外に放出することによって熱を下げるので、体表の固摂機能を弱め、汗腺(腠理:そうり)を開きます。気のことに関しては過去のブログを参考にしてください。

「気には分類がある」「生命現象と気―気の作用」

 

 この熱を放散する働きは8月の暑さのピークで最大にならないといけないので、だんだんと働きを強くしていくことが大切です。しかし、現代にはエアコンがあるので、室内仕事の場合は、暑さに対応する力を伸ばさずに、冬と同じように冷えに対応する力を継続して求められる場合があります。

 

 人の身体は自然の気と協調しているものなので、外が暑くなる状態であれば、暑さに耐えるようにならないと、身体のリズム現象が作れなくなってしまうので、冬には冷えに対応する力が低下をしてしまう可能性があります。

 

 身体は自然の状態を判断しているはずなのに、環境が許さないという状態になってしまうので、ストレスが強い状態とも言えますよね。これがエアコンで体調を崩してしまう原因と言えます。

 

 ただ、現代は、昔と違って、アスファルトという熱がこもりやすい状態になっていて、家の作りは気密性が高いので熱が抜けなくなってしまいます。しかも、車・室外機という熱さを増やす機器があるので、夜になっても熱が抜けないことが多いです。

 

 こういった状況もあるので、自分の持っている力だけで対応をしようとすると、自然ではない状況に対応をしようとすると、身体の力も限界になってしまうことがあります。もちろん、真夏でもエアコンを使わないで生活をすれば、暑さに強い身体になるとは言えるのですが、汗を大量にかき過ぎると、身体の津液だけではなく気も失ってしまうことになります。

 

 健康オタクな方だと、エアコンは絶対に使わないという人もいるのですが、自分の力をしっかりと把握して無茶をしないようにすることが大切になっていきます。なので、エアコンは自分の身体に合わせて使うようにして、身体が疲れきってしまわないように調整することが大切ですね。

 

 暑がりの方は、エアコンをきつく効かせてしまう人がいますが、夏の間は気血の循環も活発で、身体から汗を排出する時期なので、イメージとしては身体の表面に穴が開いてしまっている状態になるので、エアコンで寒さと身体に強く当ててしまうと、身体の中に冷えが侵入をしてしまい、夏ではなく、冬に調子が崩れてしまうことがあります。

 

 夏にエアコンをきつくつけている方で、冬に大きく体調を崩してしまう方は、夏の生活習慣の見直しをして、少しずつ変化に対応出来るように身体を作りかえると、段々と身体の力が強くなっていきます。

 

 エアコンで行われることは、風を送るのと、寒えを送るという働きがあるのですが、東洋医学的には、風邪(ふうじゃ)、寒邪(かんじゃ)と考えることが出来、体調を悪化させてしまう可能性があります。エアコンで冷えを身体に強く当ててしまうと、風寒という外邪が身体に影響をして、風寒証という状態になってしまいます。

 

 風寒証は、悪寒、発熱、頭痛、うなじの強張り、ふしぶしの痛みになるので、一般的に言う風邪(かぜ)をひいたという状態です。

 

 ではドライにしたらどうかというと、ドライは乾燥をさせるということなので、この場合は風邪(ふうじゃ)と燥邪(そうじゃ)が身体に影響をしているので、風燥という外邪が身体に影響を与えてしまい、風燥の状態になってしまいます。風燥の状態は風寒と似てくるところもあるのですが、乾燥が主体になってくるので、喉の乾燥と痛みが強く発生をしてしまうことになります。

 

 食事もそうですが、エアコンという文明の利器は身体のためにも補助として使うのもいいのですが、メインになり過ぎてしまうと、身体の力を低下させてしまうだけではなく、外邪の影響を受けてしまいます。こういった気候変化と身体の関係に関しては過去のブログでも書いているので参考にしてみてください。

「気候変化と身体の関係」

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