足のだるさと鍼灸治療

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 疲れがたまってきたときは足の下腿にだるさが強くなることが多いですし、患者さんの訴えでもありますが、足のだるさに対する東洋医学的な考え方と治療について書いてみたいと思います。

 下腿のだるさがあると、歩きたくなくなるだけではなく、立っているのも嫌になりますし、座っていても不快感が生じることが多いので、その場所の不快感だけではなく、何もしたくなくなってしまうことがあります。

 

 だるさが強くなってくると、浮腫みも強く感じることが多くなるでしょうし、痛みとして感じてしまうことがあるので、本当に辛い不快感だと思います。

 

 東洋医学で考える場合は、原因についても考えていくことが大切になるので、どういった状況によって悪化をするのか、改善をするのかを尋ねておくことが重要になります。

 

 東洋医学では身体の中には臓腑、気血津液が存在をしているので、まずはどちらの状態を確認するのかを決めておく方が楽だと思いますね。例えば、足のだるさは、気血津液のめぐりが悪くなってしまっときに生じていると考えることが出来るのですが、不足をしているのか、何かが邪魔をして気血津液が流れていないのかを考えることで、原因が虚実のどちらなのかを判定することが大切ですね。

 

 足のだるさとあれば、外邪の湿邪が関係をすることが多いと言われていくので、浮腫みも出ているようだと、湿邪の問題ではないのかと考えていくことができます。湿邪の影響によって発生しているときには、湿邪を取り除く働きを持つ脾に対して治療を行っていくことが大切なので、脾経の経穴から選択をしていくことが多いです。

 

 湿度が高いときに、身体がだるくなってしまい、下肢のだるさが強いようであれば湿邪の問題が中心だと考えていくことができますし、湿邪は飲食とも関係をするので、食事の不摂生があれば、湿邪に対しての治療と同様に行っていきます。

 

 下肢は四肢になるので、四肢のだるさや無力感は脾の病証として考えていくので、脾を用いて治療を行うことができます。この四肢と関係する話は、五主・五体である肌肉と関係をしていくと言われるので、手足のだるさは脾の病証として考えていきます。

 

 脾の病証として代表的なものは、手足に汗をかくというのがあるので、手足のだるさと、手汗・足汗が組み合わされば、脾の問題として考えていくことができます。

 

 湿邪の場合、脾の場合も結局、脾の治療を行うので同じではないかと思うかもしれませんが、これは、湿邪は脾の働きを障害しやすく、脾の働きが低下をすると湿を発生させてしまうという相互の関係があるからですね。

 

 このように考えていくと、足のだるさとあれば脾を第一に考えて治療を組みたてていくというのも間違いではないですね。ただ、水の問題から発生をしていると考えた場合は、湿、脾と考えるのは重要なのですが、水に関係する臓である肺と腎の働きが低下をした場合も水の阻滞が発生をしてしまうので、脾でよくならないときには、他の臓を考えることも大切ですね。

 

 足のだるさで考えるときには、立つということは腎とも大きく関係をしていくので、腎の治療が必要になることがあります。これは五労の考えの中で、久立は立ち過ぎると、立つことを支える骨に疲労がたまるので、骨を栄養する腎の働きが低下をしてしまうという考え方になります。

 

 頑固な浮腫みが生じていて、立つことも辛いという方であれば、腎を考えていくと治療効果が生じることが多いですね。腎の問題であれば、足底の湧泉を用いていくと効果も発生をしやすいのですが、お灸を使うことが多いと思います。

 

 湧泉には鍼を使うことも可能なのですが、切皮の痛みも出やすい上にズンと重く感じる響きも生じやすいので、人によっては使うのが難しい場所ですね。

 

 頑固な足のだるさ、浮腫み、浮腫みと疲労からくる痛みの方がいて、なかなか改善しなかったときに、湧泉に鍼をしたら、風船を割るようにあっさりと改善をしたことがあります。

 

 相手がどこまで鍼灸治療に慣れているのかは大切になっていきますが、治療としてはいろいろなやり方があるので、最初に書いたように病態を把握しておくことが大切になります。

 

 病態を考えた治療であれば、もし、効果がなかったときには、治療は変えた方がいいというのが分かりますし、どういったところを狙うのかも考えやすくなります。そうして、治療を続けていくと、自分の中で病態の理解と効果が実感が出来るので、足がだるいときには、このツボという症状と合わせて行う治療から一歩抜け出て、自分で治療を考えて組み立てていくことができるようになっていきます。

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