切皮置鍼は効果があるか?

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 鍼の治療では、身体の中に深く刺入するのではなく、皮を切った程度で行う治療もあるのですが、それだけで効果はあるのでしょうか。

 私は全ての治療が分かる訳ではないので、自分で体感をしたことと知っている程度でしか話しは出来ませんが、切皮置鍼だけでも効果があります。

 

 切皮置鍼が気や血に及ぼす影響という視点で考えると、治療の考え方も重要になるので説明が難しくなるので、イメージとして簡単に理解する上では刺激量として考えられるのではないかと思っていて、実際に自分が理解を出来たところを書いてみたいと思います。

 

 鍼の治療においては、身体の状態が変わるという適切な刺激量を入れる必要があります。名人であれば、鍼の扱いもずば抜けて上手いでしょうから、1穴に鍼を当てたり、刺入をしたりするだけで十分な刺激量を加えることが出来るのかもしれないのですが、私自身にはそんなスキルもないので、どういう刺激量がいいのかを考えてみました。

 

 身体に鍼を刺入するというのは、生体に取っては刺激が強いものでしょうけど、切皮置鍼だと、同じ刺激量を出すのが難しいので、浅い分で弱くなってしまった刺激量を数や時間で補うと、変化が出やすいと思いました。

 

 切皮置鍼でも効果があるというのは円皮鍼や皮内鍼でも体感をすることがありますが、こういった物は皮膚に長時間貼付することが出来るので、それだけで症状が大きく変わることがあるので、数十分の間、切皮置鍼を行うと刺入と変わらない効果を実感することがあります。

 

 例えば、足のだるさがあったときに、下腿に鍼を刺入すると鍼の重さが残ったりすることがありますが、楽になりますよね。切皮置鍼だと、刺入をしたときのようにすぐに切り替わることがないのですが、時間をかけていくと刺入と同じぐらいの効果が発揮されることがあります。

 

 しかも、切皮置鍼だと刺入していくことによって感じる鍼の響きがないので、鍼の刺激に弱い人や、響きが嫌いな人にも使いやすいので、治療の中でもよく使っていきます。ただ、時間という味方を付けることにはなるのですが、刺激量も時間とともに増えていってしまうので、どのぐらいの時間がいいのかという点は考えないといけないと思います。

 

 私だと10分以上だと効果が分かりやすいので、患者さんへの治療では10分程度行って、それでも足らない場合は、時間を伸ばすことがあります。切皮置鍼のいいところは、そのままの状態にしても、刺入した鍼よりは危険性が低くなるので、リスク管理という視点で考えるときにも重要だと思います。

 

 数で補う方法は、刺入であれば2穴と考えたときに切皮置鍼だから刺激量を考える上では倍にしてみるということが出来ますし、いくらでも増やすことが出来るので、簡単に刺激量を調節することが出来ます。

 

 先ほどの下腿の話しですが、刺入の練習を兼ねて行うときは何か所もやりますが、刺入よりも多い場所を使って切皮置鍼するとそれだけでも効果が上がることがあるので、これも簡単な方法だと思います。

 

 こういったやり方を使用としたときに悩むのがどこまで増やしていいのかということでしょうが、患者さんの必要な刺激量までは増やしてもいいのではないかと思っています。だから、どれぐらいかということになれば、症状が変化をする、脈が変わる、圧痛が変わるという一つの指標を自分の中で決めておくと本数の管理はしやすいと思います。

 

 この時間と数を調節すれば、患者さんの身体に与える刺激量の調節は自分次第で大きく変えることが出来るので、治療のパターンも増やすことが出来ますし、対応する力は向上していくのではないかと思っています。

 

 数と時間ということで実験したことがあるのは、鍼を切皮置鍼してそのまま数十分寝てしまうということをやりましたが、実際にやってみると、段々と眠たくなってきて、置鍼中は寝てしまい、終わったらすっきりしていましたよ。

 

 数に関しては一姿位で何十本とやってみたので、トータルでは100本近くで切皮置鍼を行ってみたことがありますが、この時は時間がなかったので、置鍼時間は仰向け・うつ伏せでそれぞれ15分程度だったと思います。

 

 それだけ鍼をしたらだるくなるのかと思っていたのですが、終わった後は、びっくりするぐらい身体が軽い感じになっていました。数時間するとやはり刺激量が多かったからか、段々と眠気が出てきて、身体がだるくなっていきましたね。

 

 なかなか実験をすることが出来ないのですが、もっと多くの鍼で切皮置鍼を長くしたらどうなるのかと思っている状態が長い間続いています。

 

 さらに刺激を上げるのであれば、全ての鍼で刺入をしてみれば変わることもあると思うのですが、さすがに鍼当りをして数日調子を崩してしまいそうなのでやりたいけど、やれないですね。やってみたいことは沢山あるのですが、身体は一つなので、全部をできないですね。

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