衛気は気の種類の一つであり、脈外を巡るものだとされていますが、衛気の機能を考えていくと、衛気には陰陽が存在します。
衛気は、水穀の精微から作られてくるものであり、動きが早くて活発なことから、水穀の悍気と言われています。悍の漢字には、猛々しいという意味があり、こわい、強情という意味があります。
衛気は環境変化による外邪から身体を守る働きがあるので、獰猛でないと、外邪に対抗する力にもならないので、こういった強い意味が含まれた言葉になります。意味合いとしては、身体を守る警備員みたいなものなので、弱々しいと簡単に外邪に負けてしまいますよね。
外邪に抵抗するために活発に動かないといけないので、水穀の陽気だと考えていくことが出来ますし、対応する営気が脈内にあり、衛気は脈外にあることから、衛気は陽に分類をしていくことが出来ます。
衛気の働きを考えていくと、身体の中と外に関わり、身体を守り、活発動くので身体を温め、腠理(そうり:汗腺)を開閉する働きにより発汗と関与するので体温調節に関与をしています。
こうやって細かく衛気について考えていくと、衛気は身体の中と外に関係するので、衛気の働きには、外である陽に対する働きと、内である陰に対する働きに分けることが出来るので、衛気を陰陽で考えていくことが出来ます。
衛気の陰としての働きは、身体の中を守るだけではなく、動きという陽を足すことで、身体を温める働きがあります。運動をしたら熱くなるように、衛気の働きが正常であれば、身体は温かい状態を保つことができます。
陰に陽を足している状態として考えると、陰陽が合わさっていると考えていくことができますね。人の生命は身体が温かい状態だと考えることが出来るので、身体を温めるということは身体を養っていると考えることができるので、全身を温めて養うという働きが衛気にはあります。
気が巡ると言うことは身体を滋養することにもなるので、脈外でもあり、身体の外側と関係をする皮膚・肌肉にも影響を与えていくので、身体の外側を温め、養う働きがあるとも言えます。
衛気は、活動性という陽気が強い状態になるので、動きが早いだけではなく、身体を温めて養うという働きが与えられているので、衛気が弱まってしまうと、体温を保っておくことが出来ないので、冷え症が生じてしまうことがあります。
衛気の働きが弱くなってしまった状態としては易感冒(えきかんぼう)が代表的でもあり、これは身体を守る働きが低下をしてしまうことによって、外邪に身体を壊されてしまいやすくなるので、風邪(かぜ)をひき易いという意味になります。
風邪(かぜ)を引いたときに寒気がするのは、外邪によって衛気の働きが障害をされてしまうので、身体は外邪に影響を受けやすい状態になっているので、外邪の特に風寒の邪にやられやすくなってしまうのと、衛気の温める働きが弱くなってしまうために発生すると考えることができます。
背中や関節にも違和感が生じますが、衛気の温め養う働きが低下をしてしまったので出てくる症状とも言えますね。
衛気は昼間に体表部を25周し、夜間に25周し、合わせて50周していると言われるのですが、活動時は外邪の影響も受けやすいので、体表部でもある陽を守るために働き、夜は、身体を休めて体内を回復させていかないといけないので、体内を巡るということで考えたのだろうと思います。
衛気の働きが障害をされてしまうと、発汗調節が上手くできなくなるので、自汗や無汗が発生をしてしまうことになります。無汗は汗が出ないということで分かりやすいと思いますが、自汗は汗が出てきてしまうだけではなく、汗が止まりにくいという状態も自汗と考えていくことが出来ます。
学校に通っているときには、衛気については対して考えもしなかったのですが、再度、勉強をしていくといろいろな疑問が生じますし、自分の中でもイメージしていくことが出来るので、患者さんの状態だけではなく、自分の身体の状態も体感して考えていくのが東洋医学を理解するのに大切なのではないかと思います。