肩こりの治療と東洋医学

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 鍼灸院・整骨院での多いのは肩こり・腰痛だと思いますが、肩こりの方に対して東洋学の治療をしようとすると、説明をどうしていいのか分からずに最初の頃は苦労をすることが多いのではないかと思います。

 私自身も最初の頃は、肩こりの治療だけではなく、全身の治療をした方がいいと思ってはいたものの、どうやって説明をしたらいいのかで悩みました。

 

 例えば、肩こりの患者さんが来院されたときに、肩付近の状態を現代医学的に把握してから治療を始めると思いますが、経絡を使って治療すれば、それだけで東洋医学の治療になるので、東洋医学の説明をする機会があるので、最初のうちは積極的に経絡を使った治療をしていくといいと思います。

 

 それだけではなく、気血津液や臓腑の異常が発生したときに生じる症状をとにかく覚えておいて、患者さんとの問診や会話の中で気血津液や臓腑の異常がないかというのを考えていくことが大切になります。

 

 例えば、肩こりの患者さんで話しをしていたら、最近は足がつることがあるという話しをきくことが出来れば、気血津液は血虚の状態で、臓腑は肝の問題ではないかと考えていくことが出来ます。

 

 血は臓腑や皮膚などを栄養するだけではなく、筋の栄養にもなっているので、血に異常が出れば、筋の働きが低下をしてしまい、結果として肩の問題が生じているのではないかと考えていくことが出来ます。

 

 こうやって、気血津液と臓腑の状態を少しでも知ることが出来れば、治療は血と肝に対して行えるので、肩こりでも肝経を使えば足から治療をすることができます。これで東洋医学の考え方と治療を少しでも理解をしてもらうきっかけにもなります。

 

 これで足のつり、肩こりが改善をしたら非常にいいのですが、大きく改善をしない場合があるので、その時にどのように説明をするのか、どうやって考えていくのかを知っておくことが大切になります。

 

 先ほどの肩こりと足のつりという方の場合、足のつりやすさは改善したけれども、肩こりが全く変わらないという話しをされることがあります。その場合は、血虚の状態の改善が見られているので、今後に肩こりが改善をする可能性があると言うことが出来ます。

 

 随伴症状が改善しても主訴が改善しないということは臨床上ではよくあることなのですが、継続して治療をすることで、体調がよくなるだけではなく、主訴も大きく改善をしていきます。

 

 もちろん、その時々で治療を変えることもあるので、主訴が全く改善をしないということはないのですが、主訴がなくならないという点では改善をしていないと言えます。例えば、最初の痛みや不快感を10としたら、治療をすれば、大きく改善をしなかったとしても8ぐらいにはなるでしょうし、次回来院されたときに、最初の治療前を10としたら、9程度になっていることがあるので、全く改善をしていないということは、ほとんどありません。

 

 こうやって数字を使ったりしながら、患者さんに随伴症状だけではなく、主訴も改善しているということが伝わると、患者さんのモチベーション維持にも繋がりますし、体調改善にも大きく役立ちます。

 

 私が診ている患者さんでも長く治療をしている人は、その時々の症状が出てくることや、弱いところは変わらないこともありますが、体調自体はよくなっていますし、症状の出てくる頻度や強さも大きく改善をしています。

 

 最初は何が主訴で来院したのかを忘れてしまうような人もいるので、人は辛いことしか分からないもので、変化を感じることって凄く難しいのだなと思います。私は治療者でもあり、自分の身体で実験をするので、身体の状態が変わっていくというのはよく分かっているのですが、一般の患者さんからしてみれば、少しずつの変化は理解をしにくいし、現在の思考法の中では理解しにくいところでしょうしね。

 

 思考法は現代医学と同様の考え方をすることが多いので、治療をすれば、病気が治るというのが前提なので、1回で大きく改善をすることを求める傾向にあります。もちろん、身体はなかなかよくならないというのを理解してくれ人もいるのですが、元気だった人ほど、すぐに元に戻らないのが不思議に感じてしまう場合があります。

 

 そういった方に取ってみれば、症状が出たのも時間を経て出てきたというのを理解しにくいですし、治療も一歩ずつ戻っていくというのを理解するのが難しいので、しっかりと説明をして、身体の状態をよくするようにしてもらいたいですね。

 

 鍼灸師になったのであれば、身体を良くしてあげたいと思ってやっている訳ですし、患者さんの身体がよくなれば、周囲の人にも笑顔を出せるようにもなるので、多くの方の健康と幸せを助ける手伝いをすることができますしね。

 

 技術、知識、話術、結果という複合要素が組み合わさったのが、治療でもあるので、日々の研鑽と話し方を身に付けていくのが大切だと思います。私自身もまだまだなので、こうやってブログに書いてみて、反省する点が出てきますね。

 

 やっているつもりでもやっていないのではないかという疑問が出たので、また明日からしっかりとしていきたいと思います。こうやって、自分自身を修正しないと、すぐにぶれてしまいますしね。

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