全日本鍼灸学会は、学生会員もあるので、学生時代から入会している人もいるのではないかと思います。鍼灸の団体を簡単に言えば、論文などを発表する学術団体、仕事を相互に助ける業団体、治療法を学ぶ流派の団体がありますが、全日本鍼灸学会は学術団体になります。
全日本鍼灸学会は、鍼灸の学会の中でも最大規模もので、いろいろな団体や人が参加をしているものになります。基本的には学術団体になるので、開業・経営・治療とは違うので、初心者・開業者からすると近寄りにくいところがあるのではないかと思います。
発表者を見てみると、その学会の傾向が何となくつかめるのですが、学校などの団体からの発表が多いですね。鍼灸学校は、専門学校がほとんどですし、論文を読むということは学校では行っていないので、こういったところに参加をしても、多くの人が分からないのではないかと思います。
私は大学時代に卒業論文を書いた経験があるので、何となくは読めますが、論文に親しみがない環境の鍼灸師からしたら、参加をしても何を言っているのか分からないでしょうし、学会誌も読めないこともあるのではないかと思います。
大卒の人や社会人を経験した人ならまだしも、高校を卒業してすぐに学校に通った人からしてみれば、鍼灸の資格を取るのも今までの勉強と違って大変だったでしょうし、論文まで頭がなかなか回らないでしょうから、論文について勉強をするか、読み慣れないと参加しようという気になれないかもしれないですね。
しかも、論文は全体ではなく、一分野を詳細に調べているものなので、知らない単語だらけの文章にしか見ないのですよね。例えば、鍼灸学校時代に病気についても習いますが、病名と症状を大まかに覚えて行く程度ですが、病気の研究になれば、どの臓器の何の働きが低下をしているのかを見て行くので、ホルモン・神経など、かなり細かく特殊な物まで知っておくことが必要です。
つまり、全ての論文を読みこなそうとすると、東洋医学だけではなく、様々な分野についての細かい知識が必要になるので、しっかりと読みこなすのはかなり難しいものです。
現代医学でいろいろな科が分かれていて、他の科を対応できないように、論文も分野が違うと全く分からないということもあり得ます。
そんなところになかなか参加できないというのはもちろんですが、慣れていないと読めないというのも事実なので、少しずつ論文を読む力がついていけば、自分に役立つ情報を得ていくことは可能だと思います。
例えば、研究論文であればサンプル数が必要なので、Nとあれば、被験者・サンプル数のことになります。Nの数が多ければ、研究としてはいい物だと考えることができます。ただし、サンプルが非常に少ない場合は、稀な物を扱っていることが多いです。
論文の読み方としてはいくつかの方法があるのですが、論文を書くのであれば、参考・引用文献をしっかりと見て、誰かの持続した研究なのか、続報なのかを確認しておくことも大切です。
論文の知識を活用する程度であれば、要約と結果を見れば、結果がよかったのか悪かったのか程度が分かるので、ポイントを絞って読むことが大切になります。全部を理解して読めるようであれば、論文を書く側と同じですが、すぐにそこまで到達するのは難しいので、まずは要約と結論を読むことですね。
要約と結論を読むようになってくると、何をしてよかったのかなどの疑問が出てくるようであれば、方法と考察を見ると、どうやって行ったのか、論文から分かったことや考えられることは何かが書いてあるので、疑問に思ったことが解消できるだけではなく、その人の意見や考え方の参考になることが出てくると思います。
興味が深くなって、深く知りたいのであれば、参考・引用文献を辿っていけば、自分の知りたいことに到達できることもあるので、後半もかなり参考になることが多いです。興味が出た参考文献などは、公共の図書館に相談をすると文献の複写を取れるので、知りたい情報を手に入れることが出来ますよ。
全日本鍼灸学会は年に1回、学術大会が行われていますが、年によって開催場所が変わるので、どういう学会なのかが知りたいときには一度、参加をしてみるのがいいと思います。