心の働きは血の運行、神志(精神)と強く関係をしていて、生命とも大きく関係をするので、五臓六腑の大主という表現があります。
臓は五行では季節とも関わりがあるのですが、心と自然との関わりについて書いてみたいと思います。心は五行では火に属しているので、季節では夏と関係をしやすいもので、五行では火に関係をしているので、熱と関わると言えます。
心は、熱との関係があるので、身体を温める働きがあるということで、陽気が強いと言え、陽気が強い臓と考えることが出来ます。血と関係をしやすいという部分では陰気と関係が深いのですが、もともとの性質は陽気が強いということになります。
臓にはそれぞれ、陰気と陽気が存在をしている中で、心は血・精神と陰気が中心の働きを持っているのですが、その働きを上手く機能させるためには、動きと関係をする陽気が強くないと、血・精神の働きが低下をしてしまうことになります。
夏の時期は暑さが強いので、陽気が盛んなときであるので、心の働きが活発になる時期とも言えます。心の働きが活発になると、血・精神の働きも活発になるので、血の運行は早くなり、表面までめぐります。精神が活発になると活動的になるので、夏の時期には、暑くて動きたくなくなることがありますが、この場合は、熱が過剰に心に影響をしてしまったために、血・精神の働きが低下をしてしまうことになります。暑さがほどほどに落ち着いていれば、活動的になります。
秋になると、暑さが落ち着いてくるので、陽気の低下が発生し始めるので、血・精神の状態は少し低下をしていくことになります。冬になれば陰気の季節に入るので、心の働きも低下をして、血・精神の活動も低下をしていくことになります。
春になると、陽気の働きが活発になってくるので、心の働きも活発になるので、気分も明るくなってくることが多くなります。
このように、一年の季節変化は各臓腑に影響を及ぼすことになるので、季節と五臓は密接な関係があり、身体の働きや精神状態も変化をしていくことになります。
陽気が強い春と夏は、心はそれほど頑張らなくても、働きやすい状態になっているので、機能が亢進しやすい傾向があります。陽気が弱い秋と冬は、心はかなり頑張らないといけないので、心の持っている働きが低下をしてしまうことがあります。
こうやって一年の季節変化によって、身体の状態も変化をしていくので、心のことを考えたときには、秋・冬に頑張って働いているので、春・夏で陽気を補充していると考えていくことが出来ます。
自然と人は一体であり、自然の影響を受けるというのが東洋医学の考え方になるので、季節変化によって、臓の働きが低下をしてしまったり、亢進してしまったり、自然から補充を受けたりというのが一年の中で行われている活動になります。
例えば、夏の時期に心を障害してしまうと、冬に陽気を強く働かせなければいけない時期に力を発揮することができないので、冬に体調が悪化をしてしまいやすくなります。
冬でも体調が悪化をしてしまえば、春・夏で陽気の補充をしっかりとしなければいけなくなるのですが、心の機能低下が強くなってしまうと、心の働きを管理・調整することもできなくなってしまうので、体調がどんどんと悪化をしていってしまうことになります。
もちろん、身体の中には、心だけではなく、他の臓もあり、他の臓もそれぞれ関係する季節と働きがあるので、夏以外の時期は他の臓の機能も重要になります。
心だけではなく、他の臓の働きが低下をしてしまえば、身体は複合した病証を呈してしまうので、体調の悪化はひどくなり、回復するまでに時間がかかってしまいます。
通常の生活では、夏から体調が悪くなった。最近は、こういった症状が出ている。ということで、繋がりを考えることなく、その時々の体調について考えてしまうことが多いですが、身体は一つの物であり、どこかで体調を崩してしまうと、今後の生活の中で影響を発揮してしまうと考えるのが、東洋医学の考え方になります。
すぐに理解をして応用できるというものではないですが、身体と自然との関係をしっかりと踏まえて考えていくと、身体の状態についての理解が深まるだけではなく、東洋医学的な考え方について理解が進むのではないでしょうか。
火で考えるのには水と対応させて理解をすることが分かりやすいので、冬は水の季節で陰気が強いので、水を火にかけてしまえば、火は消えてしまいますよね。身体の火が消えてしまったら大変なことなので、消えないように冬でも心の陽気が頑張っていると考えるとイメージとしては繋がるのかなと思います。
今回は、心と火、夏について試しに書いてみましたが、それぞれの臓にも五行が関係をするので、各季節との関係というのは面白い内容になると思いますよ。