中医学の書籍を読むと良く出てくるのが四字熟語ですが、絶対に覚えておかなければいけないものなのでしょうか?
私は、中医学の書籍を何冊も読んでいますし、治療で調べるときにもよくみているので、何となく慣れてきたので、全てではないにしても、ある程度を覚えていますが、普段に使うことは少ないと思います。
大人数でカルテを共有しているような状況であれば、四字熟語で書いてあれば、どんな状況だったのか、治療としては何をしたかったのかが分かるのでしょうが、一人でやっている状況では、情報共有する相手がいないので、覚えていなくても何とかなっていきます。
ただ、情報共有するということは、そこにいる人が同じだけの知識量がある必要がありますし、鍼灸師が全員、中医学で治療をしている訳ではないでしょうから、四字熟語で表現をしても情報共有になるのかは疑問もありますね。
四字熟語で表現をすれば、どういった状況なのかを判断することが出来るので、非常に有用性があるのは事実なのですが、使えるかどうかは、その場所や相手によっても変化をしてしまうので、使える場所が限られるとも言えます。
私の周囲の鍼灸師でも四字熟語だけで会話が成り立つ割合ってどれぐらいなのかを考えたら、かなり低い確率になるだろうなという印象がありますが、これは全体にも当てはまるのではないかと思います。
ということは学習として覚えなくてもいいのかとなってくるでしょうが、四字熟語で簡潔に意味をまとめているので、中医学で持っているイメージを学習するのには四字熟語を覚えたり、理解したりすると中医学だけではなく、東洋医学を学ぶためには役に立つのではないかと思っています。
普段、使う所がないので、覚えたまま使用することはないですが、東洋医学イメージとしては役に立っているなと思うことが多いです。例えば、四字熟語ではないですが、肝の話しで、柔肝(じゅうかん)という表現があるのですが、この熟語に含まれる意味としては、肝は軟らかく、柔軟であるというのが正常な状態なので、曲直である伸びやかな性質だと考えることが出来るので、考えさせられることが多いと思います。
基本は二字の熟語を組み合わせて四字熟語になっているので、二字の意味が理解できるようになると、四字熟語の内容を深く理解出来てくるのではないかと思っています。
英語や平仮名にすると、身体の状態を説明するのに長文になりますが、漢字には意味が含まれているので、内容を省略することが出来るので、熟語というのは本当に便利だなと思います。
ただ、熟語を話すということは相手も熟語を知っている必要があるので、相手の力量によって、どの程度使えるのかが決まってしまうので、日常の中では使用することはやはり少ないですね。
患者さんとの話しの中でも「治療方針は柔肝が大切ですね」と言っても、内容が伝わらない、イメージも伝わらないので、熟語をそのまま使用することが出来ないですね。ですから、熟語の意味を理解して、噛み砕いて説明をしないといけないので、東洋医学の理解には役立ちますが、使いどころが少ないでしょうね。
ただ、四字熟語を自分の言葉を足すことによって、文章にしていくことが出来るので、病能把握・治療方針の説明にはかなり役立つことは多いです。
例えば、脾気虚証と判断したのであれば、言葉を足すことによって、「東洋医学で重要だと考えている脾という臓があるのですが、その働きが弱くなっています」と文章にすれば、そのまま説明文になるので、四字熟語を利用するのはいいことだと思います。
さらに言葉を足すと「消化吸収に関する働きが弱くなっているので、消化吸収の働きをよくしたいと思います」という文章に変えていくことは可能です。この文章では脾の運化という働きが低下をしているという話しですよね。
脾気虚証に対する治療方針だと健脾益気になりますが、「脾の働きを強めることで、気の生成を増やすことが出来るので、身体の弱りに対処をしていきたいと思います」という文章に置き換えることは可能なので、四字熟語だから覚えるのが大変というのではなく、説明するのに簡潔な文章にしていくのに便利なツールだと思います。
もちろん、使いこなすのには経験が必要になってくるので、話してみて相手に理解をされるのかを考えながら説明をしていかなければいけないので、四字熟語がどういった内容を示しているのかを考えてみると、東洋医学の理解につながりやすいと思います。
四字熟語に慣れてさえしまえば、いろいろな本を読める力になるので、漢字が多くて嫌だと拒絶をしない方がいいと思います。