漢方薬で売れている商品に大建中湯というのがありますが、小建中湯という漢方薬もあります。
私自身は漢方の勉強は詳しくはないのですが、大建中湯・小建中湯はあまり使わないという意見もネットの中では見られるので、詳細に知りたい方は、漢方を専門でやられている方に相談をすることをお勧めします。ここでは、漢方薬の処方や働きについての記載になります。
大建中湯も小建中湯も、用いてくる病証は、脾陽虚になるので、それぞれの名前にある中という漢字は中焦という意味になります。意味としては、中焦(脾胃)の働きを強める漢方薬というところでしょうかね。建の意味は「たてる」という意味が含まれるので、胃腸をしっかりと作っていくというイメージになるのではないかと思います。
大と小の違いしかないので、含まれている生薬はあまり違いがないのではないかと思って調べてみると、大建中湯は乾姜(かんきょう)、山椒、人参が含まれていて、小建中湯は勺薬(しゃくやく)、甘草(かんぞう)、桂皮(けいひ)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)、膠飴(こうい)になるので、ほぼ違う漢方薬になっています。
調べるまでは同じような名前なので、含まれている生薬も同じようなものかと思ったのですが、全く違う漢方薬ということで驚きました。含まれている生薬をみてみると、脾胃の働きを高めるものが含まれているのですが、身体を温める作用も入っているので、両方とも脾陽虚なのだなと言うのが分かります。
大建中湯と小建中湯の違いと言う点で見てみると、大建中湯は痛みが強い場合に用いるもので、嘔吐がある場合に用いられているようで、小建中湯は脾虚だけではなく、肝気の問題が出てきているときに用いられているようです。
現代医学的な使われ方だと、子どもの虚弱体質に小建中湯を使って、腸閉塞の手術後に大建中湯を使っていることが多いようですね。
小児で発達に関して問題が出ている場合には、八味地黄丸を使っていく方がいいみたいですし、お腹の問題が生じているのであれば、補中益気湯が基本的な処方になることが多いようですね。
鍼灸で大建中湯・小建中湯について考えていくのであれば、大建中湯に対応する鍼としては、脾胃を中心に治療をするのが当然になるでしょうし、陽虚が発生している状態なので、温法を使用すると効果が高そうなので、お灸を加えていくのも良さそうですね。
そう考えると、胃の六つ灸はお腹の調子を整えるのに使いやすいものになるので、大建中湯・小建中湯に対応する治療と考えていくことが出来ると思います。
小建中湯に対応する鍼灸としては、肝の問題も発生をしていると考えることが出来るので、肝胆を治療で加える必要がありますね。肝の問題を取り除くのを先にしてから、脾胃に対応する治療をした方がいいと考えられるので、仰向けで肝に対する治療を行い、うつ伏せで胃の六つ灸を使うようにすればいいのではないでしょうかね。
発達障害や陽虚などの陰陽の問題は、陰陽の元と言われる腎も考えて治療を組み立てることが大切になるので、適時、加えると治療効果が高まるのではないかと思います。
胃の六つ灸に腎兪を足せば、お腹の治療と陰陽に対する治療が同時に出来るので、この場合は、背部を中心に治療を加えるという方法もありますね。背部兪穴は治療で使っていくと、お腹に動きを感じることも多い場所なので、腹部系疾患では背部は使うのがいいですね。