小児の喘息と東洋医学

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 喘息はひどくなると呼吸困難も起こる発作性の咳嗽になりますが、繰り返し発生をするものになるので、咳嗽とは違うと考えていくものになります。

 咳嗽と喘息の大きな違いは、痰がもともとある方に発生をしやすいものだとされています。環境の変化によって咳が出るというのは、正常な方にもありますが、この場合は、環境の影響が臓腑に影響をしてしまい、咳嗽が発生をします。

 

 痰が身体にもともと貯まっている方は、こういった環境の変化があると、通常の咳ではなく、呼吸困難も出るような喘息(哮喘:こうぜん)になってしまいます。

 

 哮喘が発生している場合は、問題となっている臓の治療をするだけではなく、身体の中に停滞をしている痰(水・津液の停滞したもの)を取り除くというのが大切になります。

 

 哮喘と関係をしやすい臓は、脾・肺・腎と考えていくことが出来ます。肺は呼吸と関係し、腎は納気という吸気と関係をするので、肺と腎の相互関係を考えると、肺は呼気、腎は吸気と関係をすることになります。

 

 痰の停滞は水の上源であり、貯痰の器である肺に発生をしやすいものなので、もともと痰が身体の中にあるのであれば、肺の機能が十分に働けない状態になってしまいます。この状態で呼吸と関係をする肺・腎の機能が低下をすると、咳嗽ではなく哮喘になりやすい状態になります。

 

 脾は消化吸収と関係をしやすいところであり、脾の働きが悪化をしてしまうと、痰を生みだしてしまう性質があり、発生した痰は、貯痰の器である肺に停滞をしてしまうので、もともと痰が身体の中に停滞をしているのであれば、肺は処理をしきれないので、外に出そうとする咳嗽が強くなる哮喘になります。

 

 小児の喘息は、小さい時に酷かったけど、体力が強くなったことでなくなることがありますが、これは臓腑の機能が十分に発達をしたことで、哮喘を発生しなくなるという点と、身体に停滞をしていた痰が除かれることによってよくなると言えます。

 

 年を取ってから哮喘が発生をしてしまう場合は、長い年月をかけて身体に痰をためてしまったことにより、痰が多く身体の中にあり、肺が働きにくい環境になっていることで発生をすると考えられます。加齢は臓腑の機能低下も生じてくるので、停滞は多いし、機能低下もあるので、加齢による哮喘は治療効果が出るまではかなり時間がかかるということが分かります。

 

 小児は臓腑の働きも未完成な状態なので、身体を強くしていく必要があるのですが、食事に注意をしないとすぐに痰を生成してしまうことになります。飲食は脾の働きによって気血津液精が生成されていきますが、生成が十分に出来ないと、痰を生成してしまうことになります。

 

 子どもはエネルギー(気血津液)が沢山必要ですが、消化吸収の力である脾の働きが弱いので痰を生成しやすい傾向があります。体力が強くなるだけではなく、身体を動かすことで、気血津液の流れがよくなるので、身体の停滞している痰も除かれやすくなります。

 

 患者さんの話を聞くと、子どもが小学生ぐらいになると、身体が十分に発達はしていないのに、大人並みの食事をすると伺うので、身体の持っている力以上の食事をすることが多いのでしょうね。

 

 さらに、おやつも食べても太らないので、良く食べることがあるようなので、しっかり運動をして気血津液を動かすことが大切なのですが、運動量が多くなると、労倦(ろうけん)という動き過ぎになるので、今度は、脾の働きを低下させてしまうことがあります。

 

 こういったことを考えると、適切な食事量と運動量というバランスを保って生活をしていくのは、本当に難しいなと思いますね。適切な量というのは人の体質によっても変わるのは当然ですし、人には感情があるので、限界でも“もっと”という気持ちが湧くことがあるので、量が過ぎるというのは大人でもよくあることですしね。

 

 最適な量を知るというのは、足らない、多すぎという失敗の経験を積むことで初めて分かってくることになるので、失敗をするのはいいのですが、病気にならないように注意はしないといけないですね。

 

 小児の喘息は本当にひどくなると大変ですが、多くの場合は、身体の成長とともに落ち着いていくことが多いと言われています。

 

 喘息は現代医学的に調べればアレルギー性のことがあるので、アレルギー性の場合は、原因を取り除かないとよくならないことが多いですね。鍼灸治療を行っていくことで、アレルギー検査は陽性でも症状が出ないということはあるので、普段の体調や精神状態も重要になってくると思います。

 

 私は、喘息はないですが、鼻の症状が出た時に、アレルギー検査をしたことがあり、花粉症の陽性反応はでました。疲れているときや体調が悪い時には少し、鼻水が出たりしますが、鍼灸を続けているおかげなのか、花粉症で辛いということはないですね。

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