直感で診察する

Pocket

 初心者鍼灸師と話をすることがあると、どうやって東洋医学的な治療を決定していいのか分からないという話しがありますが、直感で診察をするのも一つの方法だと思います。

 東洋医学では臓腑を使って、治療を行うので、5つの選択肢から直感で選んでみるというのもいい方法ではないかと思います。望診では顔色を五色に分類することによって、五臓を決定することが出来るので、直感から身体の状態を考えていくというのはあながち間違いではない方法です。

 

 例えば、顔色が白いと感じたのであれば、五色では金に属しているので肺の問題ではないのかと考えていくことが出来ます。肺と考えたのであれば、肺の働きは呼吸と関係をしているところであり、働きが弱くなると咳や鼻の症状が発生をしやすいところになるので、咳がよく出ないのか?鼻の調子が悪くなることはないか?というのを尋ねていくことで、肺の機能低下が生じているのかを確認していくことが出来ます。

 

 直感で肺と思ったのを症状で肺と確認できたのであれば、肺で治療をするのは正しいことになるので、直感と知識を利用していくことで治療方針を決定していくことが出来ます。

 

 東洋医学の診察では、四診を使っていきますが、検査器具を使う物ではなく、自分の感覚が重要になるので、最初は間違っていても直感に従って考えていく癖を付ける必要があります。

 

 直感だけでは間違いをおかしてしまう危険もありますが、五臓の症状を確認することによって、間違いを正していけるので、直感の誤りを正すチャンスは沢山あります。

 

 直感を正すのには五臓の働きを知っておくだけではなく、五臓の働きと発生しやすい症状を覚えておかないと対応することが出来ないので、知識が非常に大切になります。症状を覚えておいても、患者さんがそのままを話してくれる訳ではないので、会話で引き出すスキルは大切になっていきます。

 

 初心者の段階では直感が危険だったりするのはもちろんですし、慣れてきても直感だけは危険になるのはもちろんなのですが、何となくの直感は有効性があるのも事実でしょうから、直感を信じた後に、直感を疑っていくのがいいですね。

 

 直感を使おうとしても、色の違いということだけでも、漠然としていて分からないということもあるでしょうが、とにかく、分けてみるというのが病能を診断していくたの一歩になるので、一歩を踏み出すことが重要で、正しいだけではないというのは頭の中に入れていていいと思います。

 

 何事も一歩を踏み出していかないと進まないので、東洋医学を用いた治療をしたいというのであれば、直感の一歩は大切ではないかと思います。

 

 例えば、治療に関してではなくても、友人や知り合いなどを直感で五臓に分類をしてみて、本当に五臓と関係をしているのかを、症状や性格などを基準にして答え合わせをしていくようにしたら、経験を付けていくことが出来るので、自分の診断スキルを向上させることにつながっていくと思います。

 

 私自身も最初は東洋医学を使おうと思ったときに、どうしていいのかが分からなかったのですが、五行の分類表を使って、五官だったらどこが気になるのか、五色だったらどこが気になるのかという簡単な入口を使って、症状と照し合せてやってきました。

 

 資格を取得して最初の頃は本当に正しかったのかという疑問がありましたが、五臓という選択肢で考えれば、適当にしていたとしても正解にたどり着く確率は20%。五色で直感を使って、さらに五官で直感を使っていくのを繰り返していけば、正解にたどりつく確率は高くなるのではないでしょうか。

 

 この時に、違う答えが出た時に不安になるでしょうが、例えば、五行の分類表や症状を尋ねたときに、肝腎肝肝肺と出たのであれば、本体としては肝であり、肝の働きは腎・肺との関係もあるので、肝の問題から腎・肺に障害が発生したのではないかという過程を作ることができますよね。

 

 この場合は、肝が最初の症状であり、腎・肺の症状が後から出たというのが分かれば、本体は肝で考えるのが正解ではないかと考えられるので、複数の選択肢が出たとしても冷静に分析を加えていくと確定をしやすいと思います。

 

 確定の診察として役に立つのは、圧痛や脈になるので、脈診・腹診の結果を足してみると、現在の状態の診断の役に立つのではないかと思います。例えば、本体は肝で考えたときに、脈とお腹は肺に問題があるのであれば、今は肺が表に出ているけど、本態としては、肝の治療をしたら肺が変わるでしょうし、肺の状態が今は酷いと考えれば、まずは肺を行ってから肝の治療に入れば、治療の標本をつかむことになり、治療の手順が導き出せると思います。

 

 診断をすることにおいては、これが絶対の正解というのを決めるのは難しいので、自分の中で一つ一つ積み重ねて、経験にしていくことが大切だと思っています。

Pocket