子どもがいる家庭で困るのはいろいろあるでしょうが、多くの家庭で発生しやすいのが夜泣きだと思います。
子どもが夜泣きをするようだと、親が眠れなくなるので、母親が最初に対応していたとしても、一日中起き続けられる訳ではないので、父親も対応していくことになり、両親が代わる代わる対応していても、寝不足が続くので、一家がボロボロの状態になってしまうことがあります。
患者さんでも、夜泣きが激しくて、もう限界に近いですという話を伺うことがあるので、眠れないというのは子どもだけではなく、両親も辛い思いをしてしまうことになります。
子どもも好きで寝ないで泣いている訳ではなく、辛くて泣いているので、何故、泣いているのかを考えてみることが大切なのではないかと思います。
夜泣きが発生している子どもを触れていくと、お腹の張りが通常よりも強いことが多いので、お腹の働きが低下している状態なのではないかと考えることが多いです。もちろん、その他の原因の可能性があるので、お腹以外も診ていくことが必要になるのですが、印象としてはお腹の問題が多いのではないかと思っています。
鍼灸師からしてみたら、子どもが健康である方が嬉しいですし、親のためにも子どもの治療をしたいと思う人が多いでしょうが、鍼灸の年間受療率は約5~7%なので、一般の方からしてみたら、子どもに鍼灸治療を受けさせようと考える人は少ないのは当然の結果になってしまうと思います。
こういった現状があるので、子どもの治療をしたいと思っていても、なかなか機会がないので、子どもの身体を知る機会が少ないので、私もキャリアが積み重なって、自分の診断できる手の感覚が出来てきたのと、それなりの数を診る機会があったという2つが合わさって、子どもの夜泣きはお腹の張りが原因ではないかと思うようになってきました。
子どもで特に小さい乳児は、成人と比べるとどこを触っても柔らかいので、成人の治療で慣れていると、子どもは軟らかすぎてどこが硬いのかが分からなくなってしまうのではないかと思います。
子どものお腹の張りを見るのは押して診断するとも言えるのですが、身体も小さいですし、押す力はほとんどかけないので、手をお腹の上に乗せる程度の圧のみで診断をすることが大切だと思います。
小児の治療に関しては、どこまで診ていけばいいのか分からないので、ベビーマッサージの書籍や動画を見たのですが、非常に柔らかいタッチが多いので、圧の加減は身体の状態を把握するためにも、治療としても大切になると思います。
押すけど押さないという微妙な圧加減は調整が難しいのですが、感覚のイメージとしては、風邪(かぜ)を引いたときに、発熱したかどうかを額に手を当てて診断することがあると思いますが、その程度の圧で硬さを診ていくと思うといいのではないかと思います。
もちろん、人によっても圧加減は違うのでしょうが、強い圧は子どもが深いにも感じてしまうので、軟らかい圧で深部の状況を診られるように、自分の手の感覚を鍛えていくのが重要だと思います。
成人でもそれぐらいの軟らかい圧で診断を出来るのは触診技術として重要なので、普段から押す前に軟らかい圧で診断をして、診断を確認するために、押していくのが大切だと思います。
手技療法だと軽擦に始まり軽擦に終わると言われますが、治療の手順ということだけではなく、診断としても弱い圧から入っていくのが重要なのだと思います。
お腹の張りが改善をすると、乳児であれば、いきなり失気(しっき:おなら)が出ることもあるので、思ったよりも大きい音で最初は驚くかもしれないですね。
何かをほぐそうという認識よりも、触れる程度の力で行うと、結果的にほぐれていくことが多いですね。私は、お腹だけではなく、関節運動を行って、柔軟を高めていくことが多いですね。
運動法は本当に慣れていないと危険があるので、いきなりいろいろとやると危ないですよ。子どもは親が一番触っているので、最初は子どもがいる知り合いの両親や仲が良い患者さんの子どもで、子どもに触れるという練習をさせてもらうのがいいと思いますね。
親戚などでも子どもに触れる機会はあれば積極的に利用をして、子どもに触れるのに慣れていくのがいいと思います。もちろん、重大な疾患が隠れている場合はあるので、状態をしっかりと確認をしておくことが大切ですし、酷過ぎるようであれば病院で一度、診察をすることを勧めるのも大切です。