大結節の触診

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 体表から触れられる構造物は、筋肉、神経、血管がどこを走行しているのかを知るためには必要な知識であり、技術になりますが、触り慣れるまでは、すぐに触れることができないので、始めは苦労をすると思います。

 大結節も体表から触れられる指標として大切なポイントになるのですが、正確に触れるようになるまで時間がかかる場所なので、注意をしながら触れていく必要があります。大結節に近い物だと肩峰や肩甲骨、烏口突起がありますね。触診に関しては過去にいろいろ書いていますので、参考にしてみてください。

「肩甲骨を正確に触れていますか?」

「肩峰を正確に触診する」

「棘突起を触るコツ」

 

 文章や図で見ることも勉強になりますが、3Dで見るのが一番分かりやすいと思いますよ。私はアプリで確認しながら触れるようにしています。

 

 大結節は上腕骨の骨頭付近になり、肩関節の外方にあります。体表から見ると肩の端のように見える場所になります。大結節をしっかりと触るためには、解剖学的肢位にしないと大結節を触るのは困難になってしまいますので、上腕骨がしっかりと解剖学肢位になっているかどうかを確認していく必要があります。

 

 解剖学的肢位が分からないというのは論外ですよ。身体を触る上では解剖学肢位が重要になるので、手のひらを前に向けたポーズが前面になるというのは覚えておかなければいけないことになります。

 

 解剖学的肢位を取れたら、そのまま触ってもいいのですが、肩峰が触れないと大結節か小結節か肩峰かを鑑別することが出来ないので、鎖骨と繋がっているところが肩峰で、上腕を動かしたときに動かない場所が肩峰とも言えます。

 

 解剖学的肢位にしたときに、肩峰があり、そのすぐ下が鎖骨と繋がってきているというのが分かると思うので、肩峰と鎖骨の位置を最初に確認をしていく必要があります。

 

 肩峰と鎖骨の位置を触ることができたら、肩峰の下5mm~1cmぐらいのところに突起物を触れることができますが、それが小結節に当たることが多いです。小結節はでっぱりから下部が陵のようになっていて、その部分を小結節陵と言います。

 

 大結節は小結節の外方にあるので、小結節を触れたら、突起物のすぐ外側が結節間溝になります。小結節と大結節の間は人によっても違うのが当然なのですが、大体1~1.5cm程度あると思っておくとずれが少ないと思います。

 

 小結節だろうというのを触ったら、今度は触れている側の肘関節を屈曲させます。この時に、右肩を触れている状態であれば、左の母指か示指・中指で小結節を触れておく方が分かりやすいと思います。右手が余る状態になったところで、肘関節を屈曲させた状態の右の手関節を包みこむような状態で握ります。

 

 肩関節が内旋をすると、大結節が前方に出てくるので、小結節を触れている左手にゴロっと転がる感覚があるので、それが大結節になります。細かい感覚で言うと、小結節を触れているときに、皮下に近い硬い物(小結節)を触れていますが、ゆっくりと肩関節を内旋させていくと、硬い物(小結節)が内側に向かっていき、凹みに変わります。

 

 凹みの先が大結節になりますが、肩関節の内旋の動きで言えば、10~15°程度なので、3°刻みぐらいに細かく動かすようにしていくことが大切になりますね。

 

 小結節と大結節を触ることができれば、その間が結節間溝部になるので、上腕二頭筋の長頭腱が通過をする場所になります。

 

 肩の痛みを生じている場合に上腕二頭筋の問題が生じていると、結節間溝部に痛みが生じやすいので、小結節・大結節の触り分けをしているときに、痛みを強く感じることがあるので、圧加減に注意をしながら触れる必要があります。

 

 大結節の下部には、大結節陵があるので、そこには大胸筋が付着をしているので、肩こりの人の治療にも大切な場所になります。あまり強く刺激をしてしまうと、痛みが残ってしまうことがあるので圧加減は注意が必要です。

 

 小結節・大結節・結節間溝部は腱と関係をしているので、分かりにくいからと言って、圧を強くしてしまうと痛みが残ってしまうので、軽い圧で分るようにしていくことが大切になります。

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