私が鍼灸師の専門学校に入ったときには、学校が少なくて複数の学校を受験した記憶があるのですが、最近は鍼灸と柔道整復師の学校が増えたので鍼灸師を目指しやすくなったのですね。

　私が学校に入ろうかと考えていた時には、学校の数自体が少ないですし、鍼灸学校に入るための専門学校があったみたいですから、本当に狭き門だったのですよね。あまりに狭き門なので、鍼灸学校に入るためには裏金が必要という都市伝説を聞いたことがあります。

　私は裏金を使うなんてことは考えもしなかったですけどね。裏金が必要な状況だったとしたらお金がない私が合格する訳はないで都市伝説だと思っていますけどね。

　私は学校が増えたときに入ったのですが、まだまだ入学するのに倍率があった時期なので、後で鍼灸学校は倍率がかなり高いものだと知ったのですが、よく受かったのだなと思いましたね。

　学校が増えると言うことは鍼灸師が増えるということにもなりますが、何事にもメリットとデメリットを考えていくことができますし、東洋医学では物事を陰陽両面から考えていくので、学校が増えたこともメリット・デメリットの陰陽両面があると思います。

　陽、つまりメリットとして考えられるのは、今までなかなか入学することが出来なかった人が入ってくることが出来る状況だと思います。いくら入試で筆記や面接をしても、その人の将来を推測することは難しいので、優秀な人材でも落ちてしまっていたでしょうけど、母数の拡大によって優秀な人材が増えたというのはあると思います。

　陰、つまりデメリットとしては、鍼灸師のスキル・知識の低下というのもあるのでしょうね。モチベーションも低いまま学校に入学して卒業後もモチベーションが上がらなければ、危険なこともあり得るので、数が増える分だけリスクが大きいと言えます。

　ただ、鍼灸師は国が決めている国家試験を合格しないと取得できないですし、受験資格を得るためには学校に通わないといけないので、とてつもない酷い状況というのは発生しにくいのではないかと思います。数が増えて質が悪くなるというのであれば、国家試験と鍼灸学校の教育の問題ということになってしまうでしょうし、国家試験の大幅な見直しが必要になると思いますね。

　私が入学した時は、現在ほどは学校がなかった状況なので、まだ制限をされていたと言えますが、それでもクラス全員がとてつもなく優秀だったかと言えば、そうではないですから、学校が少なく制限をしたからと言って質を維持できるかは微妙なのではないかと思います。

　資格取得者が多くなったことで、仕事が減ると言うのも考えられるのですが、資格取得者が多くなったことで、その家族・友人・親戚も鍼灸というのを意識することになるので、鍼灸の普及には役立つこともあるのではないかと思います。

　スキルが低い人が乱立してしまうという危惧もあるのでしょうけど、あまりにもスキルが低いと、仕事としてやっていくのも大変ですし、仕事へのモチベーションが低下をしていくでしょうから、自浄の働きも出てくると思いますね。

　資格者が増えることで、情報の拡散が早くなり、新しいことにもチャレンジをする人達が増えるでしょうから、そういった革新という点では学校が増えることでメリットが多いと思います。もちろん、全体の数が増えれば、事故の件数が増えるのは当然なので、一人一人の鍼灸師だけではなく、業界全体で危惧をしていくというのは健康に取っては大切なので、日々、心がけておかなければいけないことだと思っています。

　鍼灸学校が多くなったということは、どういう教育をしているのか気になるので、鍼灸師に会った時には、学校の様子を聞いてみることが多いです。私が学生中は、外部の話しよりも自分のことに夢中なので、どういう雰囲気だったのかを気にしたことはないですし、今まで話を聞いた人もあんまり学校外のことは考えていなかったようですね。

　授業や実技は学校によって違いもあるようですが、驚くほど勉強をしている、実技をしているという所は少なく、似たような感じだなと思うことが多いです。たまに、宿題などが多いという話しも聞きますし、実技が厳しかったと聞きますが、卒業して役に立っている人もいれば、全く使っていないという人もいるので、学内よりも卒業後に何をしていくのかが重要なのではないかと思います。

　どの学校でもお灸はそれなりに練習をしているようですが、臨床でお灸を全く使っていないし、卒業以来触っていないという人も多いような印象ですね。やはり、臨床の中では火傷を危惧しているので、台座灸などの火傷をしないお灸を使っている人が多いのかなという印象ですね。もちろん、日本全国全ての鍼灸師に聞いた訳ではないので、あくまで私個人の感想です。