病気をしたり、怪我をしたりした後に回復していくためのことをリハビリテーションと言いますが、リハビリテーションと鍼灸は非常に相性がいいものだと思います。
リハビリテーションを行っていくためには、痛みや疲労を管理しながら行う必要があるのですが、鍼灸で痛みや疲労を除去しながら行うと相乗効果を発揮できると思います。
ただ、リハビリテーションは理学療法士が担当をする分野であり、病院内で行われているので、鍼灸が入っていくのがかなり難しい現状があります。病院内は、保険診療を行う機関であり、鍼灸を治療で行おうとすると、制度上やりにくいこともあって、病院内でリハビリと鍼灸を同時に行うことは、残念ながらほとんどありませんね。
脳血管障害の後遺症で拘縮をしている場合は、鍼灸を行うと拘縮が緩むことが多いので、緩んだ後にリハビリをしたら効果が高いのではないかと思うことがあります。鍼灸をしてからリハビリをする順番で行えたら、いいのでしょうけど、そうなってくると一番の問題は時間管理になるでしょうね。
スポーツ選手のリハビリの場合は、動ける程度の回復ではスポーツに復帰することが出来ないので、通常のリハビリとは違い、より高度な状態まで持っていかないといけないので、リハビリテーションの後にアスレチックリハビリテーションが必要になりますが、このときにも鍼灸を取り入れることで復帰が早くなるのではないかと思います。
日本のスポーツトレーナーの世界では鍼灸師が多く活躍していますが、症状の改善、痛みの管理、疲労の回復効果が高いから使っているのでしょうね。
スポーツの場は制度とは関わらずに、結果が重視をされるので、鍼灸もリハビリも必要であれば、積極的に採用をしているのだと思います。一般の人も同じように行えればいいのでしょうけど、そうなってくると制度を整え、技術や知識を合わせていかないといけないので、鍼灸師はリハビリの勉強をして、理学療法士やリハビリに関与する人達は鍼灸と東洋医学の勉強が必要になるでしょうね。
内容を細かく知らなくても有用性があるというのを知っていればいいのでしょうけど、どういったときに使えるという程度の知識は、どちらの側も知っておいた方がスムーズにいくのでしょうけど、そうなってくると国家試験の内容変更が必要になってくるので、現実的ではないですね。
鍼灸師の側が積極的に外部にアピールをしていくことによって、周りから認知をされ、理解をしてもらうというのが大切になってくると思うので、これからの鍼灸師に求められるのは外部との連携なのではないかと思います。
高齢者が増えていく現状もありますが、身体の状態や管理に関しては、他の医療職との連携を図っていくことで、地域システムの一環として支えていけるのでしょうね。
鍼灸の勉強を始めると、東洋医学という独特な世界になってくるので、周囲との知識の解離が大きくなり、だんだん周囲との会話が難しくなってしまうでしょうから、分かりやすく説明するスキルが今後は非常に大切なってくるのだろうと思っています。
例えば、鍼灸は気を整えますからと言えば、正解になるのですが、東洋医学の学習をしている人でなければ、「そう、気なんだ」で話しが終わりになってしまって、どうやって連携をしたらいいのかが分かりにくくなってしまいますよね。
私自身も課題として、現代医学や制度を理解することで、どういうところに参加していけるのかと考えことが多いですし、積極的に関わっていかなければいけないのではないかと感じている状態です。
いくら自分達がいいという話しをしていても、外部から認知されない限りは、外に普及することはないですからね。
ただ、自戒という意味で考えると、本当にいい物であれば、勝手に普及をして利用するのではないかという気持ちもあるので、自分の治療も含めて客観的に見て行くのが非常に大切なのかなと思っています。
所見や症状としてはいいかなと思っていても、外部から見たら大きな違いはなく、結果としては、良いとは思っているけど、数値には表れないというのは治療の中ではよくあることなので、大きな変化で、誰でも気付くようなものでないと、理解はされないのは当然ですしね。
私は過去に怪我をしてリハビリをしたときもありますが、その時に鍼灸をやれていればよかったと思っていますし、今後もリハビリが必要なときには、痛みや疲労のコントロールを行うために、鍼灸を使っていきますね。