ツボが疲れると言われても意味が分からないと思いますが、ツボは疲れることがあります。答えになっていないですね。
臨床をやられている方と話をすると、たまに聞く表現がこのツボが疲れるという話が出てくることがあります。鍼灸師全員が感じて話をしているのかは分かりませんが、そういう話や現象があるのだというのは知っていてもいいと思います。
ツボは効果があるポイントなのは当たり前なのですが、あまりにも同じツボばかりを使ってしまうと効果が薄れてしまうという意味になりますね。
人間というのを考えたときに、仕事が出来る人、処理が出来る人に全てを頼み続けていけば、いつか限界にきて、対処しきれなくなるのは当たり前ですよね。料理が出来るから、休ませずに料理を作らせ続けたら、そのうち料理の味も質も落ちていってしまい、食べられなくなるものが出てくる可能性がありますよね。
毎日、同じ靴を履いていれば痛むのが早いですが、何足かを履きかえると、期間としては長く持ちますよね。包丁も長く使っていれば砥ぐ必要も出てきますし、使って砥いでの繰り返しをすれば、最終的には包丁自体がなくなることになりますよね。
自然界をみても、草木が生い茂っている中、通りやすいところを毎日、使っていればケモノ道と言われる道ができますよね。さらに踏み固められていけば、草木が生えてくることができないので、道になります。
ツボは人の身体の中にあるものなので、使い続けていれば傷むのは当然とも考えることが出来るので、ツボが疲れるという表現をすることができます。
治療でツボを使ったときに、まさに“ツボにはまった”と言えるぐらいの劇的な効果が出ることがあります。あまりに劇的な改善が見られたので、次回も同じ効果を狙って使ったら、あまり効果がなかったということや、劇的に改善をしていたので毎回のように使っていたら、段々と効果が薄れてきたという現象があります。
この場合に言われるのが“ツボが疲れる”という意味です。本当にそんなことがあるのかというのを理解するのには、劇的な改善を知って、“ツボにはまった”という経験をするとわかるのですが、そういった経験がないと、理解とイメージがしにくいのではないかと思います。
比較的、どの人でも感じやすく分かりやすいものだと、失眠の効果があげられます。失眠は鍼灸師であれば、ほとんどの人が知っているツボの一つですが、不眠に対して効果が高い場所とも言われます。足の浮腫みに対しても効果がある場所でもありますね。
失眠にお灸をしない状態を数か月から数年してみてから、失眠にお灸をしてみると、急激に眠いと感じることや足の浮腫みが一気に解消することがありますが、次の日もやってみると、その時ほどの効果が得られないということがあります。この場合を“ツボが疲れた”と言えるので、多くの人が体感をしやすいのですが、失眠にお灸をしても、効果がないという人もいるので、その場合は、他のツボを探していくしかないですね。
“ツボが疲れる”という状況が知っている鍼灸師は、治療の中でより効果的な新たなツボを発見しようという気持ちになるのですが、患者さんからしてみたら、“あのツボ”をやって欲しいと意見が分かれてしまうときがあります。
継続して使用をして効果が発揮し続けられるのであれば、それほど気にする必要はないと思うのですが、効果が急激に低下をしてくるようであれば、ツボを変えて、使っていたツボを休ませるのも大切だと思います。
この現象自体は、他にも理由を考えることができ、病態が変化をしたから、ツボの効果が無くなったとも考えることが出来るので、そういった考え方に立つと、治療の度に、身体の状態をしっかりと確認をして、どこで治療をするのがいいのかをしっかりと毎回、考えていくことが重要だと言えます。
“ツボが疲れる”なのか“病態が変わった”のかは分かりませんが、治療で効果を感じられなくなった場合は、何かを考えることが必要というのは当たり前で、理由はどちらでもいいのではないかと思いますが、意味を分けて使われる方もいるのではないでしょうかね。
私は、使っていて思ったよりも効果がなくなってきたらツボを変えるようにしていきますが、その時に何故なのかなと考えるようにはしていて、疲れたから変えたとはあんまり考えることはないですね。
ですが、自分の身体に対する実感としては、“ツボが疲れる”というのは納得できるので、自分自身でも意味が分からないです。誰か、答えを教えてくれるのでしょうかね。