一日程度であれば眠れないと言うのは、次の日が辛いぐらいで済みますが、数週間、数か月にも渡って眠れない状態が続いてしまうと、昼前の眠気、集中力の低下、食欲低下などが出てきてしまいます。
厚生労働省が行っている平成26年「国民健康・栄養調査」によると、1日の平均睡眠時間は男女とも「6時間以上7時間未満」と回答をした人が多く、男性が34.4%、女性が33.9%になります。睡眠の状況では、睡眠で休養が充分にとれていない人の割合は20%にものぼり、増加をしてきています。年齢別でみると40歳代が最も高くなっていて32.5%になります。
快適な睡眠は健康に取って大切ですが、質がよい睡眠が取れていない人は、4人に1人いることになるので、多くの人が不眠を訴えている現状になります。仕事が忙しくて眠れない、疲れすぎて眠れないということもあるので、不眠症は誰でもかかりうる病気になります。今回は不眠についての話、ツボや頭ほぐし、自宅で出来る簡単なツボ療法について書いてみたいと思います。
1.不眠のタイプ
不眠のタイプは4つに分類をされていますが、1つだけではなく、2つ、3つとタイプが重なる場合があります。当てはまるタイプがあり、一過性でなければ不眠の疑いがあります。
①入眠困難
眠るまでに時間がかかり、眠ろうとしているのに、30分~1時間かかるものです。時間がかかる人では1~2時間かかるという人もいます。30分程度ならいいですが、数時間となると眠るまでが布団の中でじっとしていないといけないので辛いと感じる人も多いですね。
②中途覚醒
眠りに入るのはスムーズなのに、途中で何度も目が覚める、同じ時間になると目が覚める、目が覚めると眠れるまで時間がかかるということが多いです。高齢者だと、夜間の頻尿によって中途覚醒を強いられ、中途覚醒の不眠になることがあります。高齢者は夜間頻尿を避けるために、水分摂取を控えてしまうと、脱水症状が起きてしまうこともあります。
③早朝覚醒
本当はもって寝ていたい、目覚ましが鳴る前に目が覚めてしまうという人で、もう一度寝ようとしても眠れないこともあるので、睡眠不足を感じてしまうことになります。もう少し眠れたのに、起きてしまったというと損をした感じがしてしまうだけではなく、睡眠不足が続いてしまうことになります。
④熟眠障害
寝ている時間は短い訳でもないのに寝た気がしない、しっかりと睡眠時間を取っていて眠れているはずなのに全く疲れが取れない場合は、この熟眠障害になっていることもあります。夢を多くみる、小さな音で目が覚めるような人が多いですね。小さなお子さんがいる家庭では、乳幼児に起こされて熟眠障害になることもありますね。
2.不眠の原因
不眠の原因は、ストレス、病気、うつ病、薬の副作用、生活習慣、生活リズム、周辺の騒音、就寝前のスマホの操作があげられます。
日々の生活は、目からの情報、耳からの情報を処理して、考えて感情、行動を出すという非常に多くの処理を必要としているので、脳に多大な負荷がかかっている状態なので、睡眠によって、脳をリセットするものになるのですが、身体に大きな負担などがかかると、緊張が持続をしてしまい、脳をリセットするのが難しくなるので、睡眠障害を発生させてしまうことになります。
1つの原因によって発生することもあれば、複数の原因が絡み合って生じることもあるので、不眠を改善しようとするときには、日々のストレス、生活、食事習慣の見直しが必要になります。
起きているときは緊張と関係する交感神経が働き、寝ているときは休息の副交感神経が働いているので、自律神経のバランス失調が不眠の原因としては多いです。
3.不眠の解消の仕方
不眠の程度が酷い方の場合は、医療機関を受診して身体の状態に異常がないかどうかを確認していくことも必要になります。
不眠症を解消するのには、睡眠と関係する副交感神経を刺激していくのが効果的になるので、過度な緊張をせずに、灯りを暗くし、睡眠前はのんびりと過ごすことが大切になります。
睡眠前に入浴するもいいですが、熱いお風呂だと身体が緊張をしてしまうので、温めのお湯につかり、温まり過ぎていると眠れないこともあるので、お風呂あがりにゆっくりして、身体がリラックスするのを待つのがいいですね。
寝る前に食べてしまうと、内臓を活発に働かせなければいけないので、身体が緊張状態になりやすくなってしまうので、寝る前に食事をする習慣がある人は改善をしていった方がいいですね。お腹がいっぱいにならないと眠れないと言う人は徐々に生活習慣を変えていく必要がありますね。
仕事でデスクワークの人は頭を使っていても、身体が運動不足になってしまっていて、心身の疲労バランスが崩れてしまっていることも多いので心と身体の疲労バランスを一定にするために、軽い運動やストレッチを取り入れるのもいいですよ。
自律神経は規則正しい生活をすることで整いやすいので、起きる時間・寝る時間を一定にしていくのも大切ですね。最初は慣れないので、改善が見られないかもしれないですが、リズムが戻ってくると自然と眠れていくことがあります。
4.不眠のツボと頭ほぐし
不眠が生じている場合は、鍼灸やマッサージでは頭部を使っていくことが多いですし、不眠を強く訴えている人でも治療中にぐっすりと眠れてしまうことがあります。マッサージはあん摩マッサージ指圧師という資格を持っている人の方が学習量も多く、国家試験も受けているので、安心できると思います。
ツボを使っていく場合は、頭部の一番高いところにある百会(ひゃくえ)と百会付近にある前後左右の四神聡(ししんそう)というところがよく使われています。マッサージ行う場合は強い力だと痛みだけに感じてしまうので、適度な圧で行うと、治療中にぐっすりと寝てしまうことが多いですね。自分でやっていく場合は、押すのは難しいので、刮痧(かっさ)というヘラで擦るのもいいですね。
刮痧は頭部に行っていくと気持ちがいい物なのですが、あまりやり過ぎてしまうと、痛みが出てきてしまうので、ちょっと気持ちいいかなという程度でやめておくことが大切です。
不眠のツボとして代表的なのは「安眠(あんみん)」と「失眠(しつみん)」というツボがあります。安眠はその名の通り、このツボがあるところが硬くなってしまっていると安眠できないということですし、失眠は眠れない人に取って効果的な場所になります。
「安眠」は耳の後ろにある下に向かってとがっている骨の下でおよそ指の横幅の1本分のところにあります。自分で押す場合は頭を両手でつかむようにして、親指で安眠を頭の中心に向かって押し上げるようにするといいですよ。
「失眠」は踵の中央にあるので、お灸を使っていくことが多いのですが、一般の方が使うのは難しいので鍼灸師にお灸をしてもらうのがいいですね。自分で出来るせんねん灸でも効果がある人もいますが、少し効果が弱いと思います。
5.自分で出来る不眠のツボ
安眠は先ほど自分で押す方法を説明したので、安眠はそのまま使ってもらう方がいいですよ。百会や四神聡の頭部に関しては刮痧を使っていくのが簡単な方法なのですが、刮痧がない場合は、ボールペンの蓋をした状態で頭部を擦るようにすると似たような刺激になります。
頭部や腹部にホットタオルや湯たんぽを置くのもいいのですが、のぼせ易い人は頭部に温かい物をおくと気持ちが悪くなってしまうことがあるので、注意をした方がいいですよ。お腹は普段気を付けることが少ない場所ですが、東洋医学では内臓が集まっていて大切な場所として考えていて、腹部を温めると、身体の気血の巡りがよくなって、調子がよくなると考えています。
6.まとめ
眠りたいのに眠れないというのは、本当に辛いことですが、スイッチが切り替わるようにいきなり不眠が解消をすることはなかなかないので、徐々に改善していくと思った方がいいですよ。
本当に酷い場合は、薬を使って眠るのもいいのですが、依存をしてしまう状態になると、薬がないと眠れなくなってしまうことがあるので、出来るだけ自分の力で眠れるようにリズムを作っていくことが大切になります。
私も疲れ過ぎたり、頭を使い過ぎたりすると眠れないなと感じることが多いのですが、その場合は頭部を刺激したり、失眠にお灸をして調子を整えることが多いです。