陰陵泉は有名な経穴になるのでブログに書いていたと思ったら、まだ書いてなかったということに気付いたので、今回は陰陵泉について書いてみたいと思います。
陰陵泉は、陽陵泉と対になってくる経穴であり、内側上顆・腓骨頭という高まりと関係をする場所にあるので、陵という大きな丘という漢字が使われていて、陵の下の凹みにあるので、泉という漢字が使われています。陰陽は内側が陰、外側が陽になるので、陵泉に陰陽をつけて名前が付いていると考えられます。
陰陵泉も陽陵泉も、触り慣れればそれほど問題がない場所だと思うのですが、腓骨頭を触れること、内側上顆に触れることが慣れていないと、どの辺りかと悩んでしまうことが多いでしょうし、内側は気を付けておかないと、後方にずれてしまうことが多いので注意が必要だと思います。
陰陵泉を触れていくときには、内側上顆の下部だけで触れていこうとすると、後方に進んでいってしまうので、脛骨の内側縁を意識することで、後方に進んでいくことがなくなるので、脛骨内側縁の線を意識していくことが大切になります。
私も慣れるまでは前後の場所を把握するのが大変でしたが、脛骨内側縁を上がっていくようにして、さらに陽陵泉と対応するので、陽陵泉と同じ高さというのを意識すると、高さと前後を合わせていくことが出来るので、ずれることが少なくなりました。
ただ、陽陵泉が触れていけないとずれてしまうので、腓骨頭は触れられるようにしていくことが大切だと思います。腓骨頭の前下方に陽陵泉があるので、腓骨頭の一番高いところを触れたら、下方に指をずらすと陽陵泉と同じ高さになるので、陰陵泉を触れていくときには、腓骨頭が重要になります。
陰陵泉を刺入しようとするときには仰向けの状態が多いと思いますが、仰向けのときには、下腿の筋肉が前方に出てくる状態になるので、垂直に刺入をしようとするとベッドに向けて刺入してしまうことがありますが、方向としては陽陵泉の方向に向けて刺入をしていくのがいいのではないかと思います。
陽陵泉の方向に向けて刺入をしていくと、膝裏や下腿に響きが出ることがあり、下腿が一気に緩んでいくことが多いです。膝裏への響きを感じる程度の所で、足三里の方向に響きが抜けていくことがあるので、胃経とは表裏関係にあるのだなと理解できることがありますね。
陰陵泉は下腿の浮腫みがあるときに治療で使っていくと劇的に改善をすることがあるのですが、陽陵泉の方向に向けて刺入をしないと効果が少ないかなと印象があります。刺入深度としては、2㎝程度で膝裏、足三里に感じることがあるので、その程度を目安として刺入をすることがあるのですが、脛骨の骨際を使っていくと、刺入深度がいらないかなという印象もあり、骨際だと5㎜程度の刺入でいいのではないかと思っています。
私の使い方では、骨際で使っていくことが多いのですが、それでもすっきりと改善をしない場合は、やや下方にして刺入することがあります。骨際から刺入していこともあるのですが、骨にひっかかるようなときは痛みが残ってしまうことがあるので、骨際からはあまり刺入をしていないです。
下腿の冷えが生じている場合は、膝裏まで抜けるような強い響きが生じると逆に驚いて冷えてしまうような感覚があるので、浅いところに切皮置鍼をして時間をかけることがあります。
胃部不快感が生じている場合にも使いやすいので、よく使っていますね。腎の問題から発生しているような浮腫みにも効果があるのですが、腎の場合は腎経を使った方が効果は高いので、脾なのか腎なのかは見分けるようにしています。
腎の場合は、年齢とともに生じることが多いですし、身体の状態がかなり悪いときにも強い浮腫みが発生をします。その場合は、湧泉を使った方が効果的なので、湧泉に変えることが多いです。
手技で使っていく場合は、陰陵泉自体を触れていくこともあるのですが、陰陵泉の上の内側上顆を擦るようにすることが多いですね。あまり強くこすってしまうと揉み返しもきついのですが、内側上顆を刺激することで下腿と陰陵泉の付近も大きく緩むので、前処置として良く使っています。
手技の治療で使っている内側上顆に鍼をしてもいいのではないかと思うでしょうけど、やはり陰陵泉を使った方が早いし効果的なので、鍼の場合は内側上顆を使うことはないですね。