加味逍遙散は女性の婦人科トラブル、更年期障害で使われていることが多い漢方薬であり、有名な処方の一つです。
加味逍遙散が合う体質としては肝鬱気滞から発生した肝火上炎の状態になっていると同時に脾胃の働きが阻害をされているときに効果を発揮すると考えられています。血の不足が発生している場合にも使えると言えるのですが、陰血を消耗させやすいものでもあるので、陰血不足が強い場合は他の処方に変える方がいいと思います。
肝と脾の働きに関して作用をしていくと考えられますが、肝の疏泄という働きは脾胃の働きを補助する機能があるので、肝鬱が発生して気滞の状態になっていると、脾胃の働きを補助できなくなるので、脾胃にも影響してしまうことが多いです。
病態としては肝気横逆と言って、肝鬱気滞が悪化をして脾胃に影響をしてしまうのがメインと考えることもできるのですが、加味逍遙散は清熱と言って熱を取り除く働きがあるので、肝鬱気滞が熱化をした肝火上炎に対する処方と言えます。
肝の疏泄という働きは、脾胃の働きを補助するだけではなく、月経・妊娠にも関係をしているので、月経の不調が生じている場合にも使っていくことができます。その場合には肝鬱が生じているかどうかを判断することが大切になってくるので、月経前に胸脇部や尾中に脹りが生じやすくて、月経発来とともに消失するような方に効果があると考えることができます。
肝鬱が強くなると脾胃の働きにも障害が出るので、上記の症状にプラスして、腹痛やお腹の脹り、便秘や下痢があるときも適応となっていくと考えられます。ただ、注意をしないといけないのは、肝鬱気滞ではなく肝火上炎に対する処方になるので、のぼせや顔面の赤さが生じているかが重要になっていきます。
加味逍遙散には柴胡(さいこ)・勺薬(しゃくやく)・当帰(とうき)・薄荷(はっか)・牡丹皮(ぼたんひ)・山梔子(さんしし)・蒼朮(そうじゅつ)・甘草(かんぞう)・生姜(しょうきょう)が含まれていきますが、柴胡は理気作用が強い生薬とも言われるので、少陽の病、気滞に対して効果が強い物になります。
柴胡と甘草は副作用が生じる可能性がある生薬なので、疾患を持っている方や他の薬を飲んでいる人は注意をしないといけない処方ですね。
処方の構成としては、理気を図って気滞を改善していくだけではなく、脾胃の働きを補助もしていきます。そして重要になってくるのは肝火ということで熱が血に影響をして血熱の状態になってしまっているので、熱を取り除いて、血熱を改善することで、のぼせ、いらいら、不眠の改善を狙っています。
月経痛、腹痛、のぼせ、不眠、月経異常、消化器症状がある場合に対応する漢方薬なので、更年期障害に対応する漢方薬とも言えるのですが、加齢と共に発生をする月経・体調トラブルであれば、陰虚と関係していることがあるので、その場合は他の処方に変えていく方がいいでしょうね。
当帰は血に対応する生薬になるので、女性に取っては必要な生薬と考えることができますが、日常的に接種をするのは難しいので、その場合はハーブティーを使っていくのも一つの方法ではないかと思います。
アンジェリカ(セイヨウトウキ)というのは当帰を使ったハーブティーになるので、血虚が生じて、肌や髪のかさつき、不眠、肩こり、足のつり、月経が遅れやすいと言う方にはよさそうですね。
当帰を使った商品は他にもサプリメントや入浴剤が売られていますが、海外からの物はリスクがある場合もあるので、専門家に相談をしながら使うか決める方がいいと思いますよ。