刮痧は美容の中で用いられていることが多く、鍼灸師だけではなく、エステに関わる方も使っているので多くの方が知っているのではないかと思います。
刮痧はもともと、中国の民間療法として使われていたもので、水牛の角や玉のヘラで身体を刺激するものですが、中国発祥なので考え方の元には東洋医学が含まれていきます。
刮痧の刮は擦る、削るなどの意味があり、痧には滞ってしまった悪い血という考え方があるので、擦ることで瘀血を取り除く方法と言えます。美容やテレビで使われている場合は、皮膚を軽く擦ることが多いみたいですが、しっかりと擦っていくことで、皮膚に内出血のような痕が出来るので、この痕によって瘀血がある証だと言えます。
初めて刮痧をすると、この痕がひどく残るのですが、数日すると刮痧の痕が消えます。痕が消えた後にもう一度、刮痧を同じ部位に行うと以前よりも痕が残らなくなるので、擦ったことによって痧が消えたので、局所の血流停滞である瘀血が除去できたと考えていくことになります。
痕が強く残るので、衣服から出てしまう部位に行うのをためらう場合もあるでしょうけど、一生残る痕ではないので、一時的であれば気にしないという話になると思います。ただ、最初はどのぐらいの圧加減がいいのかが分からないので、友人や自分の身体に試していく方がいいのですが、痧という痕が出来やすいのは肩や背中になるので、人にやるかやってもらわないと分からないでしょうね。
痕を見ると非常に痛々しいのですが、痛みが出る程度では擦らないので、擦られていてちょっといた気持ちいいぐらいの圧だというのは知っておいた方がいいと思いますよ。もちろん、肌トラブルがあり、肌が弱く、再生能力が低い場合は圧加減には注意をしないといけないので、相手の皮膚の状態によって圧の強さをわけていくことになります。
刮痧は経絡に対して使っていくことが出来るので、右の母指にしびれが生じているようであれば、鍼灸治療で対応した後に、患者さんに自宅で刮痧をしておいてもらうと相乗効果が生まれやすいと思います。
刮痧はオイルを付けて行うこともできますが、そのままでも行うことができます。オイルをつけた方がマイルドに感じやすいと思いますが、オイルを付けると後処理も大変になるので、治療院で使うのであれば、自分のスタイルをどちらにするかを考えればいいと思います。
自宅でやってもらうのであれば、暇で手が空いているときに擦る、お風呂に入っているときに擦ると分けていくことができますが、お風呂でやる場合はボディーソープがありますし、発汗をしている状態なので、滑りやすく痕が残りにくく行えると思います。
東洋医学の考え方を使っていくことが出来るので、脾胃の病証であるお腹の不調が発生しているのであれば、下腿の脛骨内側縁の脾経を流すように行っていくことが出来るので、使い方としては非常にシンプルになります。
刮痧をしていると、ゴリゴリとしている物がある場所がありますが、それは痧が強いと考えていくことが出来るので、そのゴリゴリとした物を集中してほぐすというのにも使えます。
ただ、あまりに強く同じ部位を擦っていくと、揉み返しのように痛みが残ってしまうことがあるので、どのぐらいの間擦るか、どのぐらいの強さで擦るかというのは、少し経験が必要になってくると思います。
私の中のイメージでは表層から刺激をして深部に影響をしていく治療だと思っているので、吸角と似てくるのですが、吸角とはまた違う効果があるので、面白い治療方法だと思います。
吸角は終わった後にすっきりした感覚があり、刮痧も同様なのですが、擦るという刺激があり、硬い痧をほぐされていくので、あん摩・マッサージ・指圧の感覚に近いかなと思っています。
刮痧の道具はいろいろ出ているようですが、角が丸く皮膚面で滑らかに滑れば目的は達成することが出来るのですが、いい道具であれば、道具の力を借りることが出来るので、効果も強く発揮できると思います。
こういった道具の違いまでを考えて行うようになると楽しいでしょうけど、終わりがなくなるので、どこまで自分が取り入れていくのかを考えておくといいと思います。
顔面部や頭部の刮痧は気持ちがいいし、効果もあるので、私は部屋に刮痧が転がっている状態なので、暇な時や思い出した時に使っています。
頭は気持ちがいいのでついついやり過ぎてしまうことがあるのですが、あまりに強く行ってしまうと腫れてしまうことがあるのでやり過ぎには注意が必要だと思います。
刮痧で触れる痧というコリコリとした物は、鍼や手技でも触れにくいものなので、鍼灸師や手技を行う方も刮痧という経験をしておくと身体の構造や硬結に対して違うイメージを持てるのではないかと思います。