東洋医学は気の医学とも言われるので、最初から意味が分からないと感じてしまうことが多いでしょうし、知らない言葉ばかりなので、難しいと感じることが多いのではないかと思います。
東洋医学は現代医学と違って、人が生きている状態や症状を、いろいろな考え方で分類・生理したのをまとめた物であり、現代医学の用語とは違うので、単語が分からないと理解していくのが難しい物だろうと思います。
しかも、気、血、津液、臓腑という物についての話をしているのに、実態がない物になるので、じゃあ一体何なのだということになりやすいですね。私はとにかく国家試験に合格するためには、単語を覚えておかないと難しいと思っていたので、単語は覚えていたのですが、相互に関係をして協調をしているという理解まではいってなかったので、卒業後にいろいろな本を読む中で自分なりに理解をしていきました。
理解をしていく中で感じたのは、名前や症状、働きを覚えることが必要なのですが、実態としてある患者さんとの対話の中で理解が深まったと思っています。
学生時代は単語を覚えて理解をするというのをしていたはずだったのですが、やはり机上の学問になってしまうので、生きた表現として聞いている訳ではないので、説明をされればそんな物なのかなと思ったのですが、実際に理解をして使おうとしたらさっぱり分からなかったですね。
学生時代から臨床を意識して聞いていればよかったでしょうし、もっと力にもなったのでしょうけど、イメージを高めて理解をしていかなければいけない科目だとも思うので、よく理解をするか、症状や生活についての理解が必要だと感じました。
東洋医学の勉強で難しいところは理解とイメージしないといけないのですけど、それがなかなか出来ないから苦労をするのですよね。
例えば、精虚は腎虚とも関係をしやすく、加齢によって出てくる身体の症状とまとめてしまえば簡単なのですが、初めて理解しようとしたときには、どんな状態になるのかなんてすぐに出てこないですよね。
覚えて理解が進めば簡単なことでしょうし、高齢者をよく観察している人であれば出てくることもあるでしょうけど、勉強を始めてすぐの人がすらすらと症状が出てくるとは言えないと思います。
精虚・加齢に出てくる身体の状態としては、耳の聞こえが悪くなり、耳鳴難聴が発生したり、もの覚えが悪いだけではなく忘れっぽくなってしまったり、骨粗鬆症になったことで骨がもろくなってしまって骨折をしてしまったり、歯や髪が抜け落ちてしまったり、視力が低下をしてしまったり、生殖機能が減退してしまったりという状態になりますが、どんな状態になっているのかという観察した経験がないとつかみにくいのではないかと思います。
これが気だったらどういう状態になるのか、血だったらどういう状態になるのかと続いていき、さらに臓腑だったらどういう状態になるのかと重なった知識になっていくので、積木を積みあげるように、知識と理解が積み重なってこないと理解するのが難しくなってしまいますね。
五行を理解したら、深く理解できるという意見もあるのですが、五行だけをしっかり理解をしても、結局、五行の表も覚えて理解しないといけないですし、五行に関係する臓腑や症状を理解していかないといけないので、奇麗に理解が積み重なっていかないと、知識が完成するのが大変だと思います。
さらに、それを会話の中で使っていかないといけないのですから、難解さがさらに増してきますよね。
臨床の中で精虚の典型的な人に一人でも会えば、あれが精虚の状態かというのが理解を出来るので、東洋医学は人との交流、観察が必要なものだと言えると思います。
臨床を経験することで、理解が深まることが沢山あり、不思議なことにも沢山会い、現代医学の考えでは出来ない治療をして治療結果が出ることで初めて理解への扉が開くのではないのかなという気持ちがあります。
実習を多くすれば、到達できるのかというところですが、典型的な方が居たり、治療結果として満足したりしなければ、やはり理解からは遠ざかるので、応用していくのには経験が重要だと思います。
経験していく中で、あがき苦しんだ結果として、ふと理解できることがあるので、東洋医学はそういった点が強いのではないかなと思います。もちろん、どんな物事でも知識だけでは対応できないので、経験によって見に付くというのは当然なことなのですけどね。
一度、理解をしたら、理解をしていなかった状態には戻れないので、あのときには何故、そんなに悩んでいたのだろうと思うことも度々ありますが、それが経験を積み重ねていくということなのでしょうね。