がんなど、末期の治療を行っていくことを緩和ケアと言いますが、緩和ケアの中に鍼灸を取り入れると、患者さんのケアには非常に有効ではないかと思っています。
緩和ケアとは、がんと診断された後に亡くなるまでの過程には、心と身体に生じる痛みを改善していくもので、治すことに主眼を置いた医療ではなく、患者さんに寄り添いながら、生活と支援していく物になります。
平成18年に施行された「がん対策基本法」において、がんの治療についての研究を行い、適切な医療を提供し、本人の意向を尊重して治療方法を選択できるようにすると決定をしています。
がんによる死亡率を下げれば、余命を高めるだけではなく、医療や介護で関わる負担を軽減することが出来るので、早期発見をしていくことが大切だと考えられています。この法律の中では、「居宅」という言葉が出てきているので、がんになった場合に居宅において医療が提供できるようにすることという目的もあげられています。
緩和ケアというと、現代医学だけが関わる分野かと言えば、鍼灸に限らず、東洋医学も取り入れていくことが可能です。ただ、緩和ケアにおいては、医師、看護師などの関わりが中心になり、医師による漢方薬での治療が粉割れていますが、鍼灸師が関わる事例というのは、まだまだ少ないのではないかと思います。
病状を現代医学的に管理しているので、違う考え方である東洋医学を合わせていくと管理がしにくいでしょうし、どうやって売上にするのかというのが課題なのかなと思います。
がん患者が抱える痛みとして、身体的苦痛(身体の痛みや不眠など)・社会的苦痛(経済的な問題、仕事や家庭など)・精神的苦痛(不安、いらだちなど)・スピリチュアルな苦痛(死への恐怖、自責の念など)があり、合わせて全人的苦痛と表現をしているようですが、鍼灸は痛みを改善させやすいし、ADLやQOLの向上だけではなく、身体的不定愁訴の改善はしやすいので、導入されると患者さんへの利益になることは多いのではないかと思います。
ただし、治療においては通常の人とは体調が違うので、治療の刺激が多すぎれば、体調を悪化させてしまうことがあるでしょうから、注意をしながら行わないといけないので、誰でもすぐに行えるものではないのかなと思います。
私は、末期の方に対する治療経験が少ないので、どの程度の刺激が適しているのかは、身体の状態を診ながら行っていくしかないですが、臨床経験が少しはある分だけ、対処できる範囲はあるかと思いますが、緩和ケアに対する知識も少ないので、対応するためには勉強と経験は必要なのかなと思っています。
最近だと、訪問鍼灸という分野が伸びていますが、この分野は高齢者が対象となることが多いですが、重病な方もいるので、訪問鍼灸の分野は緩和ケアを担っていると考えて行くことが出来るのかなと思います。
訪問鍼灸を長くやっている方と話をすると、高齢者の対応が多いのは確かだけど、脳血管障害後遺症やがんの末期の方などもいるので、幅広い疾患を行っていることが多いですね。
そういった方と治療についての話しをすると、痛みの改善ということで望まれて、治療効果が出ることも多いけど、便秘の改善、不眠の改善といった不定愁訴の改善も生じることが多いので、患者さんの生活に取っては無くてはならない状態になっている人もいるようですね。
自分の力が不足をしてしまって、排泄をする力がない、眠る力がないと考えてみれば、外部からの刺激によって、力を補ってもらうことで効果として発揮をしているのかなと思います。
治療としては、劇的に改善をしていくことは稀にあるようですが、多くは段々と体力が低下をして亡くなっていくことが多いみたいですね。
今後は、ますます高齢化が進む状況になってくるので、訪問での緩和ケアというのはやはり大切になってくるのだろうなと思います。訪問という関わり方で、鍼灸も緩和ケアに関わることは多いと思うので、これから鍼灸師になろうとしている方は、緩和ケアについての知識もあった方がいいだろうと思いますね。
私は緩和ケアに携わっている訳ではないですが、どこかで繋がることもあると思っているので、少しは勉強をしてみましたが、患者さんがどういった心情になっていくかということだったら、『死ぬ瞬間―死とその過程について』が基本の書籍になるのではないかと思います。
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病気に関しては、どのような方を対応するかによって違うので、事前に病名を聞いて、自分で調べるしかないと思うので、上手くネットを使って勉強するのがいいと思いますし、私だったらその度毎に調べていくと思います。