鍼灸や手技をするときに小指が立っていませんか?

Pocket

 ふと思い出したのですが、鍼灸や手技をするときに小指が立つ人っていませんかね?

 小指が立っているのが悪いのかということですが、基本から考えると小指が立っているのはよくないですね。例えば、手の置場がなくて、本当にどうしようもない状況があるのであれば、小指が立つのは仕方がないと思うのですが、そんな状況はほとんどないので、小指が立っているのであれば癖になるので直した方がいいと思います。

 

 知らないうちに小指が立っているのだから仕方がないと言ってしまうのであれば、技術の向上をしようとするときに、小指が向上を阻害してしまうことになるので、自分の手の動きには注意をした方がいいと思いますよ。

 

 たかが小指で、技術の向上を阻害するなんて大げさではないかと思うかもしれないので、説明をしていきますね。

 

 原理を理解してもらうためには、まずは小指が立つことによって何が問題になるのかをしらないといけないので、これから説明する手順をしっかりと行って頂いて、感じることが大切です。

 

 まず初めに、座っている状態であれば自分の大腿部、机に座っているのであれば、机の上に手をおいて、掌全体が置いたところに密着するように置きます。密着させようとすると、指に力を入れて伸ばさないといけないのですが、手を密着させた状態から指や手の力を抜きます。

 

 そうすると、平らなテーブルであれば、掌の中央、つまり労宮の辺りがテーブルから離れて、少しだけ空間が出来ると思います。大腿部でも指先や指全体、母指側、小指側がついた状態になり、労宮のところが少し離れそうか離れることになると思います。

 

 これが手を置く時のニュートラルなポジションで指関節だけではなく、手関節もニュートラルな状態になり、筋肉の収縮がないので、関節部がリラックスをしている状態になります。

 

 ニュートラルな状態できましたか?

 

 手技をするときにも、押手を構えるときにもこれがニュートラルな状態になるので、筋肉と関節の緩み具合を覚えておくことが必要になります。

 

 ニュートラルな状態を作ってもらった後に、小指だけを立たせてみて下さい。小指を立たせると、母指と示指に力がかかってしまいますが分かりますか?示指と母指の外側(解剖学的肢位)に倒れてきませんか?さらに大げさに小指に力をかけてみると、今度は、肘関節の回内が生じてしまいます。

 

 この状態だと、母指のMP関節の掌側部に圧がかかってしまうので、鍼灸や手技をするときも、筋肉が緩んでいないし、関節の動きが固定をされてしまうので、軟らかい運動をすることが出来なくなってしまいます。

 

 指先を使った細かい運動を行うときも小指が立ってしまうことがありますが、これは、他の指先に集中するあまり、力が入り過ぎている状態になります。

 

 鍼灸と手技は微細な感覚を必要としていますし、微細な動きをしないといけないことがあるので、指先の力が抜けている必要があるので、小指が立っている状態は絶対に避けないといけないです。

 

 細かく優しく触れようとして小指が立ってしまう人がいますが、丁寧に触るつもりが過緊張になってしまっていて、触れかたが硬くなってしまいますし、動きも制限されるので、注意しないといけないですね。

 

 鍼灸に限らずに、手技の講習会に参加することがあるのですが、そういったときには実技を見て真似をするようにしますが、小指が立っている方の場合は、そのまま真似をしないようにして、その技術の本質は何かを考えるようにしています。

 

 考えたからといって、本質を真似られる訳ではないですけど、技術の向上していくためのルールとして小指は見るようにしています。

 

 鍼灸の場合は、押手だけではなく、刺手も見るようにしていて、刺手で小指が立っているようであれば、先ほどの説明のように、母指と示指の外側に力を入れて行っているので、真似をしようとしても特殊な物だと考えています。

 

 治療のときには身体も心もリラックスをしている状態を保っておくことが大切なので、治療中で小指が立っているようであれば、どこかに緊張があるので、それが身体なのか心なのかを考えると、治療中で疲れてしまうことが減ってくると思いますよ。

 

 物事に集中をすると、自分の手先が見えなくなるので、集中しているときでも、たまには自分を客観化して見る必要があるので、冷めた目で自分の手の動きを見るようにするといいのではないかと思います。

Pocket