鍼灸治療を長くされている先生の治療院だと、難病の方が多く来院されることがありますが、鍼灸は難病の治療に効果的なのでしょうか。

　鍼灸治療は現代医学とは違い、身体の気血津液、臓腑の働きをツボと経絡を使うことで整える治療で、全身に影響すると考えています。そう考えると、どんな疾患にでも対応することができるので、難病の方でも治療の仕方があると言えますね。

　難病は現代医学で考えたときに、治るための方法が確立されていないので、治療方法が確立されていない物なので、治すのが難しいということで難病と言われています。現代医学が発達することで、難病でも治療方法が確立されることが出てくるでしょうが、現在では解明されていないのが難病とも言えますね。

　患者さんに取っては、現代医学では「ここまで」という結論になったら、他にはないのかということで、現代医学とは違う考え方の代替療法で治療が出来るのではないかというのを聞いたり、思い出したりして鍼灸を選択する方がいるという状態ですね。

　最初に書いたように、東洋医学では現代医学の用語を使うのではなく、身体に流れている気血津液、臓腑、経絡を調整すると病が治っていくという考え方なので、どんな状況でも治療はあると言えるので、難病の方が治療として選択をすることが多いと思います。

　他に、漢方を使う人がいますが、漢方も東洋医学なので、現代医学とは違う医療の東洋医学を頼る方も多いと思います。東洋医学以外では、自然療法や健康法、健康食品を使う人が出てきますが、現代医学と考え方が違うから、何か違う結果が出るのではないかと考えていくことはできます。

　ただ、自然療法や健康食品などは、現代医学的に実は危険だったという場合があるので、使用するときには、しっかりと情報を集めておく必要があると思います。情報は、効果だけではなく、副作用をしっかりと見ておくのがいいと思います。

　東洋医学も注意が必要なのですが、長い間、使われてきたという歴史の試練を受けているので、そういった点では副作用はあってもコントロールはしやすい傾向なのかなと思います。ただ、東洋医学の漢方は薬との関係では解明されきっていないので、注意をしないといけない状況があるので、薬を出している医師としっかり相談をしながら服用することが大切だと思います。

　鍼灸は痛みの治療に関して効果があるというのは多くの方がイメージとしても持っているので、痛み系の難病の方、消化器系の難病の方は鍼灸院に来院する可能性が高いと言えますね。

　難病は東洋医学でも治療は難しい物ですし、結果が出るとは保障出来るものではありませんが、気の停滞が病の原因とあれば気の停滞を改善する治療をしていけば症状が変わっていくのではないかと考えて治療をしていくので、治療を続けていくことができます。

　多くの場合は、症状の緩和やQOL（生活の質）、ADL（日常生活動作）の改善がメインになることが多いですが、本当に稀ですが、大きく改善をしていく人もいるようですね。

　どれぐらいの改善をしていくのは、治療をしてきた経験にもよるでしょうし、患者さんの状態など、いろいろな要因があるので、予測をするのも非常に難しいのではないかと思います。

　鍼灸の治療院で難病が来るようになるのは、肩こり、腰痛などの治療をしていたら、痛みの改善にいいという話になり、患者さんが患者さんを呼んできて、どんどんと自分の力を越えた人が来るようになり、悩みながら進んでいたら、気づいたら、難病の方も多くなったという感じなのだろうなと思います。

　目の前の課題をしっかりと行っていくことが、治療技術と治療効果のスキルアップになってくるので、日々の治療に集中をしていくことが重要だと思います。

　何でもそうですが、少しずつ難易度が上がってくると、その時は大変だなという思いですが、数年経つと、大きな変化として感じることがあると思います。もし、成長を感じてないということがあるのなら、学生の時、卒業したてのときの治療と今の治療、知識、経験を比べてみると、どのぐらい成長したのかが分かると思います。

　全く成長していないということはないので、何が成長して、何が停滞をしているのかという自己分析をしていくことで足らないこと、伸びたところが分けて考えられるようになるので、足らないところは補い、伸びたところはさらに伸ばすようにしていくと、多くの疾患に対応できるようになるのだと思います。

　私自身は、まだまだ入口を通り過ぎたところぐらいだという認識ですが、日々、成長を望んでいます。技術系の成長は横S字のような状態になるので、しばらく停滞して伸びにくい時期があり、ある時を境に急激に伸びる感覚があり、また停滞し、また急激に伸びるというのを繰り返すことが多いですよ。焦らないで、日々を積み重ねることが将来の力になりますし、なると信じています。