鍼治療で神経損傷がおきるか

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 鍼治療の中で鍼は身体の中に刺入をする物なので、刺入をした後に神経損傷を起こすのではないかと心配される人もいるのではないでしょうか。

 鍼で使っていく鍼の構造は、注射針と違い、構造を傷つけるようには出来ていないですし、太さも細いので神経を損傷する可能性は極めて低いです。鍼を刺入してから感じる電撃様の感覚は、肘をぶつけてしばらくしびれていたというようなものと同様で、神経に触れることはあっても、構造を壊す可能性は非常に低いと考えられているので、鍼治療で神経損傷が起こる確率は非常に低いと考えらえています。

 

 中国の書籍を読むと神経損傷の話しが出てくることがありますが、中国では鍼灸師は医師でもあり、ツボに注射をすることもあるので、通常の鍼以外で神経損傷が発生する事例は報告されています。

 

 鍼治療で、神経に当ったときには、その部位だけではなく、神経走行に対応するところに痛みなどの感覚が生じることがあり、鍼をした部位以外に違和感が残ることがあり得ます。

 

 通常は、数日経つと消えていくのですが、長く違和感が残るという人もいるようですが、鍼で神経が傷つけられたのかを調べるのはかなり難しいのではないかと思います。

 

 以上のことから、患者さんから鍼治療で神経損傷が起こるかという質問を頂いたときには、ほぼ生じることはないですし、あまりに痛みとかが強くでると感覚が残ってしまうので、辛い時には教えて下さいと話すことが多いです。

 

鍼灸師は国家試験があり、身体の解剖学を学ばないといけないので、太い神経を避けるように刺入をしていますが、身体の運動や感覚を支配する神経は身体の隅々まで存在していて、細い神経は人によって若干の違いがあるので、どれだけ勉強をしても100%避けることは出来ないですね。

 

 これは現代医学でも同様なので、痛くないように注意をしていますが、注射をするときに痛い時がありますよね。もし、100%神経に触れないようにするのであれば、身体の組織全てを検査して行わないといけないので、現実的ではないですし、神経を完璧に避けるというのは不可能に近いですね。避けるのが不可能なはずですが、鍼治療・注射をされた人全てが神経損傷を起こしているかと言えば、起こしていないので、太い神経を直接狙わない限りは、損傷を起こしにくいと思います。

 

 構造的には鍼治療で使う鍼よりも注射針の方が生体の構造を壊す構造をしていて、まれに違和感や痛みが継続することがあっても、多くは何も感じなくなるので、基本的には神経を損傷させるというのはかなり難しいことですね。もちろん、事故により神経そのものが切れてしまえば神経損傷が発生をしますけど、注射や治療の中では神経を切るつもりでは行っていないので、損傷が発生する確率は非常に低いですね。

 

 私が今まで鍼治療をしてきたかたは、数日は違和感が残ったという話しを聞くことがあっても、何ヶ月も残ったという話しは聞かないので、どれぐらいの頻度や刺入で発生をするのかは、明確には分からないです。

 

 通常は、鍼の違和感が残った場合は、違和感を除去するように施術を行っていくことが多いので、もし、鍼治療中に強い響きが出て、響きが残っているようであれば、治療をしている鍼灸師の方に相談をするといいと思います。

 

 鍼灸師は、鍼を刺入した後に患者さんがどのように感じているのかをしていますが、どのように感じているかは100%分からないので、患者さんの方から伝えてもらうと助かると思います。

 

 治療後、しばらくしても違和感が消えない場合は、温めたり、冷やしたりすることで血流を改善して、症状が消失するようにしていくので、腫れているようであれば冷やし、腫れがないようだったら温めてもらうように伝えることがあります。

 

 私は、鍼で違和感が強く生じた場合には、その部位に鍼を浅く刺入をして置いておくことで違和感が軽減することが多いですし、お灸を使っていくことで、違和感が軽減することがあります。鍼灸師によっては、自分なりのやり方があるので、他の方法を使われる人もいると思います。

 

 神経麻痺については「長胸神経麻痺と鍼灸」についてブログで書いてみました。鍼灸で神経麻痺が生じるのはどうなのかという部分と私の一考察です。

長胸神経麻痺と鍼灸

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