外感表証

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 外感表証と言えば、単純に風邪(かぜ)を引いたときと考えていたのですが、外感表証は原因と症状を現す言葉でもいいのかなと思うようになりました。

 外感という言葉は病因の一つであり、病がどのように発生したのかを考えたときに、身体の外側が問題だったのか、身体の内側が問題だったのかを考える単語の一つであり、外側が問題だった場合を外感と言います。

 

 身体の内側からの問題の場合は内傷という言葉で表現をするので、寒暖の差で調子が悪いというのであれば病因としては外感ですね。精神的なストレスが貯まってしまったことで調子が悪くなったのであれば、身体の内の問題になるので、内傷ですね。

 

 外感か内傷を分けていくのは東洋医学の考えでは基本ことであり、外感か内傷かによって治療が変わるので重要な情報になります。例えば、咳が止まらないという話しがあったとしても、会社の冷暖房が古く、汚れているので、社内の人全てで咳が止まらないのであれば、治療をしても会社に戻れば症状が出てしまうので、治療以前に外感を防ぐ手立てを考える方が治るまで早いですよね。

 

 病気の原因である病因が何かによって治療や予後指導のアドバイスを決定していくことができ、複数の症状があるときには、病因を知ることで、標本を考えていくことが出来るので、治療に入る前に病因を確定しておくのが大切になります。

 

 お腹の調子が普段から悪くて、食事をあまり多く食べないようにしているので、力が出ないような感じがあり、風邪をひいたので、咳が止まらないというのであれば、まずは、外感から始まった風邪は治るのが早いので、早い段階で対処を行って、内傷のお腹や食べられないことに対処をした方がいいという標本の鑑別をしていくことができます。

 

 標本は標が症状や局所をあらわし、本が体質や全身をあらわしていくので、治療の順序としては標が強ければ標から治療をするとも言われています。

 

 表裏を鑑別に足していくことが出来るので、外感表証という話しになってくることが多いのですが、表裏は病がどこにあるかを示す表現であると同時に症状がどこにあるのかという場所を現す用語になります。

 

 表証・裏証と言えば、八綱弁証で鑑別しなければいけない物の一つなのですが、鍼灸で考えていくときには、風邪のひき始めは表証でそれ以外は裏証という大まかな鑑別になっていると思います。

 

 病と症状がどこで発生をしているのかを示すのが表裏という概念なので、外感は身体の表側から侵入をしてくるので、表証と考えていくことができ、内傷は身体の内側から問題になってくるので、裏証と考えていくことが出来ます。

 

 八綱弁証では、表裏は病位(深浅)を示す表現だと言われているので、病(症状)が発生している場所という概念で考えていけば、表裏の使い方をもう少し変えていくことができます。

 

 例えば、外感表証であれば病で考えていくこもできますが、寒さに当ったら、湿疹が出たのであれば、外感が原因で、症状は皮膚と言う表にあるので、外感表証ですね。そう考えると外感裏証があると言えるのですが、外関裏証という概念は出てこないですね。

 

 例えば、冷えが影響をしてお腹の調子が悪くなったのであれば、原因は外感ですが、病が生じているのが腹部機能の臓腑なので、病位は内になるので、裏証ですよね。外感は皮毛から侵入をしてくることで肺の機能低下を生じるので、肺は外邪にやられやすいということで矯臓と言われていますが、外邪によって皮毛・肺に影響がいけば、肺経の流注にも障害が発生するので、肺経は腹部につながっていくので、お腹の調子が悪くなることがあります。

 

 内傷に関しても同様に考えていくことが出来ると思うのですが、そういった概念の解説はほとんどないですね。内傷は臓腑の病が多いので、裏証と考えるのは当然なのですが、ストレスから湿疹になったというのであれば、肺に影響をしていると言えば、裏証ですが、皮膚という身体の表面に症状が発生しているということで考えれば表になるので、内傷裏証と考えていくことが出来ると思います。

 

 言葉として使用されることがないので、実際のあるのかどうかは分かりませんが、東洋医学の考えを使っていくと当たり前のように発生することなので、外感裏証、内傷表証というのは理解をする上ではありだと思うのですけどね。

 

 ただ、私が学生や勉強し始めの頃にこんな話を聞いたら、意味不明でしばらく東洋医学から遠ざかりそうですね。

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