第11肋骨と第12肋骨は、胸骨という胸の前にある骨と繋がっていないので、浮肋や浮肋骨と言われています。
体表を触れていく際には、浮肋の位置を確認しておかないと、肺がどこまであるのかを確認することが出来ないので、触れられるようにしておくことが必要になります。特に、鍼灸治療を行う際には重要ですね。
深く息を吸うと横隔膜が下がってくるので、肺底が下方にきますが、第12肋骨の付近までくると考えられているので、浮肋が触れられないと肺の位置を確認できないので危険になっていきます。
骨粗鬆症の人に対して手技を行う場合は、肋骨は圧迫によって折れやすい物にもなるので、肋骨がどこにあるのかを知っておかないと、浮肋を圧迫してしまい骨折になってしまうことがあります。
浮肋は胸骨に付着をしていないために自由度があるので、圧迫をされても折れにくい傾向があるのですが、折れてしまうと自由度があるために、移動をしやすい状態になってしまうので、危険になってしまいます。
浮肋は人によっても長さが違うので、触れていくのには、経験と予測が必要になるので、最初の内はイメージが付きにくいのですが、大体の場合、第11肋骨は身体の側面付近で尖端があるので、身体の横から触れていくと分かりやすいです。
ただ、お腹の横付近を指で押されたら、くすぐったいと感じてしまう人が多いので、浮肋を触れるためには、触れ方が重要になっていきます。
腹臥位の方が触れる方にとっては指先が浮肋の先端にいきやすいのでお勧めですが、立位であれば後方から触れていくようにすると触りやすいです。
触れかたとしては手に力をいれないようにして、横から身体をかかえるようにして、浮肋付近を触れていくと分かりやすいのですが、いきなり浮肋を想定して触るのは、最初は難しいので、背部で肋骨を触れやすいところから手を当てていき、肋骨の位置を確認していくといいですよ。
肋骨を確認できたら、示指を肋間に入れ、次の肋間に中指、その次には薬指、さらに次には小指を入れていくようにすると、肋骨の太さと肋間の幅が理解できるので、肋骨を数えていくことができますよ。だんだん下方になると、肋骨がなくなる感覚が出てくると思うので、一番下で触れるのが浮肋になります。
浮肋かどうかを確認するのには、手を身体に密着をさせたまま前方に滑らせていくと、側方か前方で肋骨に触れられなくなるのが浮肋になります。浮肋以外はそのまま胸骨の方に向かっていくので違いとして感じると思います。
手のひらを身体に密着をさせて滑らせて触っていくことが大切になるのですが、滑らすような触れかただと、くすぐったく感じてしまう人も多いので、少し圧をかけて触れる方がいいですよ。
第11肋骨は触れやすいのですが、第12肋骨は触れにくい傾向があります。第12肋骨と腸骨稜の距離は短いので、体表を触れるのに慣れていないときには、第12肋骨を触れようとしたら腸骨稜を触れていることもあります。
第12肋骨は深部で触れることも多く、腰部の硬いのを触れていたら実は肋骨だったということもあり、強く押すと骨折をしてしまうことがあるので、慎重に触れていかないといけない物になります。
第11肋骨の先端を触れることができたら、その高さのまま後方に滑らせてくると、だいたい第12肋骨の高さになるので、最初は完璧に触れると言うよりも予測を使っていった方が安全ですし、骨折や痛みを感じさせずに済むので、骨の硬さの感触を覚えていくことが第12肋骨を触れていくためには大切になります。
いきなり完璧に触れられるということはないので、とにかく第11肋骨を触れられるようにして、第12肋骨の大まかな高さを覚えていく方がいいですね。腰椎に近いのは腰椎の肋骨突起の可能性があるので、解剖学の図で肋骨の位置と腰椎の構造を覚えていくことが大切になります。