腰痛の方は非常に多いのですが、人によって病態が違うので治療をするときには、身体の状態を確認して病態を確認する必要があります。
腰痛があると、下肢を治療すると言う人は多いですし、殿部から治療をすると腰痛が改善をするという話も多いです。私も腰痛の治療では下肢・殿部は重要だと思っていますが、広背筋は腸骨稜から肩に付着をしている筋肉で身体の動きに大きく関係をしていくので、治療の中で重視をしている筋肉の一つです。
広背筋自体は、筋層が薄く、圧をかけるのが非常に難しいところなのですが、治療で使っていくと肩の疾患だけではなく、腰痛に対しても効果的になっていきます。
広背筋を触る時に重要だと思っている場所は腸骨稜の1cm程度上方を確認することが多いですね。この部位には、内・外腹斜筋とも関係をするので、位置的には内・外腹斜筋も関係していますね。
広背筋は、広い範囲に走行をしている筋肉で、腰部の動きだけではなく、体幹の動きにも関与をし、さらには肩の伸展、内旋にも関与をしている筋肉なので、身体の動きに取っては非常に重要な働きをしています。
例えば、肩こりが酷くて肩の動きが悪くなっているようであれば、広背筋の動きが制限をされることになり、広背筋の可動域が低下をするので、肩付近の広背筋が可動することが出来ない分、他の部位で動いていく必要があります。
筋肉は全体が伸びて縮む動作をすることで、鍛えられ、柔軟性が高まっていくので、どこかが制限をされてしまうと、その影響は全体に及ぶことになるので、肩こりから腰痛は発生しても当然と言えます。もちろん、広背筋だけが問題になるのではなく、他の筋肉が影響をすることはあるので、状況によってどこが問題なのかは確認していくことが大切ですね。
腰が反ってしまうような方であれば、腰椎が腸腰筋によって前方に引っ張られていると考えることが出来るので、腸腰筋にアプローチをする人も多いですが、広背筋が重要だという意見はあまり聞かないですね。
しかし、肩が内旋をして下方に引っ張れている場合は、広背筋の短縮を考えることができますね。腰椎が前方に出てきていて、反り腰になっているようであれば、肩の状態の確認をして、腸腰筋だけの問題なのか、広背筋に問題がないのかを確認する必要があると思います。
腰痛の治療では、下腿、殿部、腸腰筋がよく中心で行われるところで、これに腹部を足して、4方向からアプローチをする人は多いですが、腰痛は背部や肩の硬さを取り除くことでも大きく改善することがあるので、何の筋肉が問題なのかを考えていたのですが、広背筋にいきつきました。
広背筋を治療で使うポイントとしては、広背筋の付着部位である、腸骨稜と小結節陵は治療効果が高い場所だと感じているので、広背筋の治療をするときには、肩の前方からのアプローチと腹臥位で腸骨稜にアプローチをすることが多いです。
腸骨稜は触り慣れるまでは時間がかかる場所の一つですが、触れるようになると腸骨稜の上部、腸骨稜の際、腸骨稜の下部を触り分けられるようになるので、腸骨稜の上部は広背筋、腹斜筋、腸骨稜の際は大殿筋・中殿筋が関係をしやすいので、殿筋を狙うときには、腸骨稜の際から下部を使っていくことが多いですね。
大殿筋は腸骨稜の一番高いところから内側に付着をすることが多いので、大殿筋へのアプローチを考えるのであれば、腸骨稜の高いところから内側が大殿筋、外側が中殿筋と分けていくこともできます。
広背筋から話しが反れてしまいました。広背筋へのアプローチではかなり気に入っている場所があるのですが、それは肋骨の付着部位です。広背筋は第9~12肋骨の側面に付着をしているので、触れていこうと思えば、腸骨稜から広背筋の際を上がっていくと、肋骨まで辿り着きます。
広背筋の肋骨部を施術することで、肩・腰部に緩みが生じることが多いのですが、身体の側面なので、患者さんや触れ方によってはくすぐったいと感じてしまうことが多いので、触れ方がかなり重要になります。
触れ方の基本通り、掌全体を密着させるようにした状態でアプローチをするのであれば、くすぐったく感じることを軽減させることができます。コリコリとした小さい硬結として触れられることが多いので、患者さんと中落ちの治療をしているという話しになっています。
経穴は側面には少ないですが、広背筋・前鋸筋が関係するところには経穴があるので、治療効果としてはやはり重要な場所なのかなと思います。